何でも言ってやろう

国や政治についてタブーなしに語っています。誰も見なくても、炎上しようとも。

日本の給与はなぜ上がらないのか?③

お金

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前回に引き続いて、日本の給料はなぜ上がらないのかについて、「都市・大企業」に焦点を当てて語りたいと思います。

 

日本の「都市・大企業」の問題として、新卒一括採用によるメンバーシップ型雇用により人材を採用し、研修やOJTで会社に染まり切った人材を作り出し、年功序列や終身雇用という旧来の制度により、会社に貢献できていないオジサンに高い給与と権限を与えています。
デジタル導入や改革に積極的な若い優秀な人が権限を与えられず、給与も低いため、モチベーションが上がりません。
また、正社員と契約社員派遣社員・アルバイトなどの間では、同じ仕事をしていても、待遇面で大きな格差があり、従業員に不平不満があったことから、政府は「働き方改革」のテーマの一つとして「同一労働同一賃金」を掲げています。

 

同一労働同一賃金」とは聞こえがよいですが、これは従来の「メンバーシップ型雇用」から、海外と同様に、業務に人を割り当てる「ジョブ型雇用」へ制度を変革することを目指しています。
デジタル化などの変革の中で高度人材が不足する一方、新たな仕事のやり方に切り替えができず、知識の吸収が難しい中間層が改革を阻害しており、日本企業が海外企業と競争していくために、企業の人材の新陳代謝を促す必要があります。

 

さて、大企業はメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変更すれば、日本の大企業は海外と肩を並べるまでに復活しますでしょうか?

 

■メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変更すればよいのか?

 

www.persol-group.co.jp

ジョブ型雇用とは企業と個人が仕事内容や役割をもとに雇用契約を結び、その仕事の難易度や責任の重さなどによって報酬が定められています。
会社の中の各組織の仕事内容や役割が一つひとつ定義されていて、ポスト(席)の数が決まっています。
ポストが空いた場合は社内で公募を行い、応募する人がいなかったら、社外から採用します。

 

自分の仕事の範囲が決まっていますので、基本的にそれ以外の仕事は行いません。
仕事には雑務やそれぞれの役割の間に落ちてしまうものもありますが、柔軟な対応は行いません。

また、ジョブ型雇用では仕事と報酬が決まっていますので、
「昇進」するためには、今より上のポストに移る必要があり、ポストが空くのを待つのか、誰かをポストから追い出すしかありません。

 

メンバーシップ型雇用では手取り足取り、仕事を教えますが、ジョブ型雇用ではその仕事ができるから、そのポストに座っているはずなので、人を育てることはありません。
より上の仕事にチャレンジするにも、事前に自分でスキルを身に付けておき、チャンスを待ち、やっとお鉢が回ってきたら、自分の力だけでその仕事の成果を上げる必要があります。
新たなポストに就いたときのプレッシャーは、これまで以上になるでしょう。

 

また、ジョブ型雇用が当たり前のアメリカでは、上司にとても気を使い、ゴマスリを行うと言われています。
仕事の結果を出せなければ、ポストから外して別の人材を充てる必要がありますので、いつでも上司は部下をクビにします。
実際にはアメリカでは意見が合わなかったり、会社の方針で組織変更を行う場合でも、部下をクビにします。
アメリカではジョブ型雇用の社会が長らく続いており、社外からも簡単に人を集めることができるので、今の社員を大切にしようと思う気持ちはありません。
アメリカの企業で成功するタイプの人は、「人の足を引っ張るのが上手い」「強いコネクションを持っている人」とも言われています。
アメリカでは「一緒に仕事をしたい同僚は、僕より能力の低い人だよというジョークもあるそうです。

 

また、日本でジョブ型雇用を取り入れた企業もそれに習っていますが、住宅手当・家族手当などの仕事の責任の重さに関係のない報酬はありません。
アメリカでは育休も、通勤交通費の支給もないそうです。

 

派遣社員は給与が低いように言われていますが、例えば、デジタルに関しては月単価150~300万の人たちもいます。
派遣社員の誰もが、給与が低いわけではありません。
派遣社員はジョブ型雇用になりますので、会社の制度としてジョブ型雇用を採用した場合、正社員の給与を下げることにはつながりますが、派遣社員の給与アップにはつながりません。
派遣社員の問題は、派遣会社の営業力のなさ(単価を下げてでも派遣するなど)、派遣会社がピンハネを行う点です。
また、派遣社員・アルバイトは事務処理など簡単な業務が多く、ジョブ自体の単価が低いため、会社としてより価値のないと判断し、もっと報酬を下げるかもしれません。

 

確かに、これまで日本ではメンバーシップ雇用を採用し、型にはめた社員を作り出してきましたので、組織が硬直し、成長ができなくなってしまった問題があります。
また、定期的に異動を行って、様々な部署を経験したジェネラリストばかりを育てました。
ジェネラリストは、柔軟な思考力やコミュニケーション能力があり、人をまとめる力がありますが、日本の大企業では、スペシャリストの育成を疎かにしていました。
各業務の専門性が高くなる中、各分野のスペシャリストが必要になってきていますが、スペシャリストの育成プランや評価制度を設けておらず、自己努力でスキルを身に付けても評価・報酬が見合わず、社外に人材が流出しています。

 

それでは、制度としてジョブ型雇用を取り入れて、高い報酬を払って、スペシャリストを集めれば良いでしょうか?

それである程度は改善するかもしれませんが、効果は限定的です。
例えば、デジタル人材の必要性が急務と言われてますが、デジタルだけに詳しければその会社を改革できますでしょうか。
デジタルを活用し、その企業を改革するためには、企業文化や現行業務を理解し、適合したシステムや新たな業務フローを再定義する必要があります。
デジタルは単なるツールであり、そのツールを使って何を成すかが重要です。
また、変革には必ず反対派も現れますので、社内に協力する仲間(コネ)も必要になり、デジタルの知識があるだけでは企業の変革は実現できません。
高いコンサルティング費用を払って、高尚なビジョンや新たな業務フローを作っても、絵に描いた餅になってしまい、結果、社内は何も変わらなかったというのは、DXあるあるでよく聞く話です。
会社を変えるためには実行力が必要ですが、それはプロパー(新卒から採用した社員)の生え抜き社員にしか、それは担えないと思います。
ジョブ型雇用で人材が流動的な会社でそれを実現できるのでしょうか?
部分最適は可能ですが、全体最適ができない問題が残ると思われます。

 

会社を変革しようとすると、魔法の杖のようなものを欲しがります。
ジョブ型雇用さえ、導入すれば会社がより良くなると勘違いしてしまいます。

 

本当に取り組むべきなのは、これまで多くの企業が取り組んできた成果主義を、より効果的な制度になるように改善するべきなのではないでしょうか?
平等かつ会社の変革を促す成果主義を生み出すことは困難ですが、その難問から逃げてはいけないのではないでしょうか?
また、スペシャリストを正しく評価し、報酬も中途採用の市場や派遣社員の契約金額に近付ける努力を行う必要があります。
現在の人事制度のすべてが悪いわけではないと思いますので、魔法の杖を探すのではなく、今の人事制度の課題に真っ正面からぶつかって、改善するべきではないでしょうか?

 

日本の給与が上がらない問題は根が深いですね。

引き続き、次回も同じテーマで語りたいと思います。

 

日本の給与はなぜ上がらないのか?②

お金

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前回に引き続いて「日本の給与はなぜ上がらないのか?」を考えていきたいと思います。

前回、「都市・大企業」「地方・中小零細企業」に分けて考える必要があることを説明しました。
今回は「都市・大企業」にスポットを当てて考えたいと思います。

 

■日本の「都市・大企業」の経営者が能力が低いのか?

 

経済学者やコメンテータの中には、日本の経営者の改革への対応の遅さや能力の低さなどを指摘する人がいます。

日本の「都市・大企業」は、サラリーマンから成り上がった経営者が多く、出世コースから外れないように失敗しなかった人が社長まで上り詰めるため、経営者になった後も事なかれ主義で、リスクを取った抜本的な改革ができないと言われています。

また、任期もあり、自らが代表取締役社長のポストに座っていられる年数も限られていることから、自分の担当中に問題を起こさず、次へバトンを渡すことを重視し、長期的な改革ができないと言われています。

 

私もサラリーマンなので、思い当たることが多々ありますので、総論としては大賛成しますが、各論としては誤っていると思われます。

 

日本の「都市・大企業」の経営者はそれなりに優秀であり、多くの経営者がDXや働き方改革などの必要性を感じ、経営理念として掲げ、会社を挙げて成長に取り組んでいます。
また、経営者が万能ではなくとも、大企業では優秀な部下も一定程度はいますので、ボトムアップでも改革を促進することができます。

また、実際の改革は、社長がトップダウンで決定すれば、会社が変わるわけではありません。
DXの失敗あるあるで、社長が「デジタルやAIを使って何かやれ」と指示し、形だけのPoCを行って失敗するケースがあります。
部長や課長といったミドルマネジメントがビジョンを打ち出し、優秀なリーダーや若手に企画の具体化を任せ、現場担当と協議し、業務プロセスやシステムを見直して、やっと改革が実現します。
社長が途中で変わろうが、実際には現場の社員が改革の成否を握っていますので、あまり関係ありません。

 

また、リスク面を気にして判断が遅いという指摘もありますが、改革にはお金も、人的リソースも投資する必要があり、失敗したら大損害を受けますので、経営者としては部下にリスクの説明を求め、時間を掛けてリスクと費用対効果を熟考しないと判断できません。

社長のポストは一時的なものだという制約もありますが、経営者に話を聞くと、足掛けだと思っている経営者は少なく、自社をより良く改革し、永遠に続く企業にしたいと願い、日々経営を行っています。

 

■日本の教育制度が悪いからカリスマ経営者が生まれない?

 

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上記のとおり、日本ではそれなりに優秀な経営者がいますが、世界トップのプロ経営者やカリスマ経営者と比べると見劣りするのは否めないでしょう。
日本の経営者は傾向として優等生タイプが多く、リスクを取った判断やドラスティックな改革ができません。
そもそも教育制度が悪く、スティーブ・ジョブズみたいなカリスマ経営者が生まれる土壌が、日本にはないと言われています。

 

一例に過ぎないので、スティーブ・ジョブズだけを取り上げても仕方ないですが、日本でスティーブ・ジョブズのようなカリスマ経営者が必要でしょうか。
スティーブ・ジョブズは下記のエピソードのとおり、異端児になります。

 

スティーブ・ジョブズのエピソード
 ・ヒッピー文化に心酔し、アタリ社や大学を長髪・裸足やサンダルで歩く
 ・風呂にあまり入らない
 ・菜食主義
 ・LSD愛用
 ・下らないプレゼン、反対意見を言う、週90時間働かない社員は、その場でクビ
 ・すい臓がんは手術せず、東洋医学代替医療で治療

 

スティーブ・ジョブズは本にも、映画にも取り上げられるような、世界的に有名な異端児になりますが、こんな人を教育で生み出せるでしょうか。
また、スティーブ・ジョブズは大学に半年間通いましたが、興味のない必修科目の勉強が嫌になって中退しています。 
教育でできることは限られており、ましてやカリスマを生む教育なんてありません。

 

■日本の「都市・大企業」の経営者は何も改革を行っていないのか?

 

「都市・大企業」の経営者は、歩みは遅いかもしれませんが、改革を行っています。

一例として「DX銘柄2021」「DX注目企業2021」を引用しておきましょう。
遅れていたと言われているDXも、少しずつ日本企業は取り組んで、結果を出しつつあります。

www.meti.go.jp

日本人には、日本人の長所があり、やると決まれば、真摯に改革に取り組みます。
リスクヘッジや改革への抵抗感などを解決する必要があり、実行までには時間はかかりますが、改革が始まれば少しずつ結果を出していくのが、日本人だと思います。
日本人には「がんばる」という努力の精神がありますので、その強みを生かして、会社を変えるべきではないでしょうか。

 

最近はシステム開発だけではなく、製品開発などでもアジャイル手法を活用するケースが増えています。
アジャイルで一番有名な開発手法はスクラムになりますが、スクラムトヨタウェイとトヨタ生産システムを参考に作られたフレームワークになります。
カイゼン(KAIZEN)という言葉も、海外で知られるようになりました。
日本にも、日本人が生み出した素晴らしい仕事のやり方がありますので、日本人らしく、がんばって良い仕事を行って、会社を変える方法もあると思われます。

 

今回は、根性論で終わってしまいました(笑)。

大企業には多面的な問題がありますので、引き続き「都市・大企業」の改革について検討していきたいと思います。

 

P.S.

アジャイルスクラム、PoCなどを詳しく解説せずにすみません(ググってください)。

 

日本の給与はなぜ上がらないのか?①

お金

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岸田総理は、国会の施政方針演説で「近年、賃上げ率の低下傾向が続いていますが、このトレンドを一気に反転させ、新しい資本主義の時代にふさわしい賃上げが実現することを期待します」と宣言しました。
安倍政権のときから継続になりますが、企業への賃上げ要請を行うようです。

 

総理大臣たちが賃上げを求める背景には、日本人の給料は、1997年から20年間変わっておらず、世界における日本の平均年収の順位は4位から22位にまで落ちたことが要因でしょう。
一方、アメリカの平均年収は2倍にもなっています。

 

president.jp

お金だけがすべてではありませんが、幸せに生きていくためには、豊かな生活を送れるだけの給料が必要になります。
誰でも自分の給与を増やしたいと考えているはずです。

 

それでは、日本の給料はどうすれば上がるのでしょうか?

 

昔の統計で恐縮ですが、2014年の統計では、全国382万企業のうち、99.7%が中小企業、85.1%が小規模企業となっています。
小売、宿泊・飲食、生活関連サービスなどは、個人経営の小規模企業の割合が高くなっています。
また、資本金一億円以下の中小企業の90%は、同族会社がほとんどで、家族経営が大半と言われています。

 

つまり、日本の企業のほとんどが中小零細・個人経営の企業と言えましょう。

 

また、全体の従業員数4,794万人に対して、大企業は1,433万人、中規模企業が2,234万人、小規模事業者は1,127万人です。
割合で示すと、大企業が29.9%、中小企業が70.1%になります。

 

これは都市と地方の傾向とも一致します。
日本の各地の就業者の割合は、東京都を代表とする主要都市の就業者は3割程度で、それ以外の7割が大都市以外で働いています。
大都市では大企業が多く、地方では中小零細・個人経営の企業が数多く存在している傾向があります。

 

最近、連合(日本労働組合総連合会)は、岸田総理の奨励の追い風も受けて、ベースアップをより声高に叫んでいます。
日本の労働者の代表のように大声で叫んでいますが、連合は労働組合を有する大企業の労働者の代弁者であって、3割程度の労働者の意見しか反映していないと考えられます。

 

また、3割の「都市・大企業」の改善も必要ですが、日本全体の平均給与を上げるためには、3割を改善しても全体への影響は小さく、7割を占める「地方・中小零細企業」を改善する必要があります。
また、3割の「都市・大企業」の社員はそれなりの暮らしができていますので、社会問題となっている生活困窮者を救うためには、7割の「地方・中小零細企業」の社員の賃上げが急務と思われます。

 

賃上げの議論になると、サヨクの人たちは大企業を仇のように批判し、搾取されている従業員の給与を上げるべきだと言います。
100年以上前に書かれたマルクス資本論」のようなことが、現代の日本でも起きていますでしょうか?

 

現代では、大企業は影響力の大きさから社会的責任を負わされており、また優秀な人材を集める必要があることから、給与や福利厚生が充実している傾向にあります。
ホワイト企業の一覧を見ても、大企業が多く、労働基準法などのコンプライアンスを遵守しなくてはならないことから、大企業の方が給与も高く、従業員に還元しているのではないでしょうか?

 

www.recme.jp

また、サヨクがよく指摘する点としては、大企業は内部留保を増加しているのに、社員の給与は増やしていないと言われています。
投資目的ではなく、利用予定のない内部留保を貯めているだけであれば、社員に還元するべきだという論調が見受けられます。

 

近年、交通・物流の改善、インターネットによって経済のグローバル化が進行しました。
グローバリゼーションの台頭の中で、日本企業も株主重視が必須となり、株主価値の最大化が強く求められるようになってきました。
また、日本企業の不祥事や想定外の下方修正により、株価が下がり、株主が損失を被るという問題も起こり、海外投資家や若い投資家の中には「もの言う株主」が増え、企業はより一層、コーポレートガバナンスに注力する必要が生じました。
いまだに海外投資家は、日本企業のコーポレートガバナンスに満足していないと言われており、グローバルな株式取引所の競争の中では、東証の地位が低下していると言われています。

 

上場企業は自己資本比率が40%以上であれば、平均以上に健全な財務体質であると言われています。
このような株主重視の中、株主にアピールするために、他の指標よりも安易に、利益を続ければ達成することができる自己資本比率40%以上を目標にしてしまうのではないでしょうか。
(それを目標にすることが、日本の経営者が有能ではないことを証明していると言う人もいるかもしれませんが……)

債務超過黒字倒産のリスクを避け、経営の安全性を株主や取引先に示すためにも、自己資本比率を高める必要があります。

 

大企業にも課題は数多くあり、より良い経営・社員への還元は必要ですが、何もかも大企業のせいにしても、賃上げの問題は解決しないものと思われます。
小零細企業はブラック企業も一定程度存在しますので、優先順位としてはまずはそちらを改善するべきと考えられます。

 

テレビでも、インターネットでも、「日本の給与はなぜ上がらないのか?」をテーマに数多くの意見が交わされています。
簡単には語りつくせませんので、次回以降も、このテーマで検討したいと思います。

 

最後に、カタカナで「サヨク」と表記していますが、漫画家小林よしのりさんが作った造語を利用させていただいています。
従来の「左翼」は社会主義共産主義といった政治的立場を示す用語として使っていましたが、最近は、イデオロギー的な議論を避け、「平和・国際協調・人権・民主主義・環境保護」といった口当たりのよいスローガンを掲げて活動する思想・立場の人たちが現れていますので、旧来の「左翼」と意味を分けるため、「サヨク」と表記しています。
非常に的を得た用語のため、利用させていただきました。

小林よしのりさんに感謝します。

 

ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー⑤

戦車

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日本のテレビでは、プーチン大統領は精神状態に異変が生じているとか、頭がおかしくなったのだと、冷静な分析ができておりません。
ここでは、プーチン大統領の言う通り、ウクライナにネオナチはいるのか? について、あらためて検討したいと思います。

 

念のため、私は親ロシアでも、プーチン擁護でも、ネトウヨでもありません。
こういった記事も参考しているという例として、先に古谷経衡さんの記事を引用しておきます。

 

news.yahoo.co.jp

 

プーチン大統領がネオナチとして指摘している組織で、最も有名なのはアゾフ連隊だと思われます。
他のグループについても、いくつか下記にまとめさせていただきます。

 

■アゾフ大隊

2013年、親ロシア派であったウクライナ大統領ヤヌーコヴィチが、EU欧州連合)加盟を見送ったことにより、デモが発生し、組織的な政治運動は革命として成就し、ヤヌコビッチとその政権を退陣させました。
ヤヌコビッチを支持するウクライナ南部の一部の人達は、この革命を認めず、ロシアとの緊密な関係を支持して抗議活動を始め、行政庁舎を占拠し、分離独立を目指しました。
クリミアではウクライナを離脱してロシア連邦への加盟を支持する様々なデモが行われ、ウクライナからの独立を宣言することにつながりました。
その間、民族主義派の民兵組織「アゾフ」は、分離主義者(親ロシア派)と争い、港湾都市マリウポリの庁舎を奪還しました。
2014年4月、アルセン・アバコフ内務大臣代理は、南東ウクライナでの親ロシア派騒乱を鎮圧するために、特別警察大隊を創設しましたが、その一つとして、兵組織「アゾフ」をアゾフ大隊として正式に任命しました。

 

アゾフ大隊は、「パトリオット・オブ・ウクライナ」と「ネオナチ・ソーシャル・ナショナル・アッセンブリー(SNA)」と呼ばれる過激主義グループから生まれたボランティアグループです。
アゾフ大隊には欧米出身者を中心とした白人至上主義を信奉する人が所属しており、ユダヤ人やその他の少数民族を「人間以下」とみなしているとも言われています。

また、ネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされています。
同部隊を含め、ウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされています。
なお、アゾフ大隊の名前は、最初に大規模な戦闘を行ったアゾフ海沿岸に由来しています。

 

ウクライナ政府高官のアルセン・アヴァコフ内務大臣とその副官アントン・ゲラシチェンコは、アゾフ大隊およびパトリオット・オブ・ウクライナの司令官であるアンドリー・ビレツキーの国会出馬を積極的に支援し、キエフのオボロンライオンの選挙区で当選させました。
大隊のメンバーのオレフ・ペトレンコも、同選挙でチェルカシの選挙区で勝利後、ペトロ・ポロシェンコブロックの議員にもなりました。
アゾフ幹部でパトリオット・オブ・ウクライナのメンバーでもあるヴァディム・トロヤンは、最近キエフ地域の警察署長に任命されました。
ウクライナではアゾフ大隊のメンバーが、政治家や政府組織に入り込んでいます。

 

アゾフ大隊は、音楽コンサートやSNSなどによって、ヘイトメッセージや陰謀論を振り撒き、テロを美化し、若者や白人極右を惹きつけて、義勇兵として参加するようにリクルート活動を行っています。
安全保障コンサルタントで元FBI捜査官のアリ・スーファンは、過去6年間に、50カ国から1万7,000人以上の外国人戦闘員がウクライナに渡ったと推定しています(極右との関係性は不明)。

 

また、アゾフ大隊は、欧米から参加した義勇兵の軍事訓練も行っています。
ウクライナの首都キエフで、一般市民向けの軍事訓練会も主催しています。
自動小銃を模した木型を用いて、基本的な銃の取り扱いから指導しています。
子供やティーンエイジャーがウクライナナショナリズムに関する講義と、戦闘訓練を受けるサマーキャンプも主催しています。

 

アゾフ大隊の資金援助としては、世界上位2,000人に入る億万長イーホル・コロモイスキーが有名です。
金属王で前ドネツク州知事のセルゲイ・タルタも、アゾフ大隊の資金と装備を援助したと言われています。
それ以外にも、アメリカでは、2015年、2人の下院議員が下院国防歳出法案の修正案を作成し、「ネオナチのウクライナ民兵、アゾフ大隊への武器、訓練、その他の支援」を制限することを提案しましたが、「ペンタゴンからの圧力」により修正案は削除されたそうです。
アメリカから提供した武器や資金は、直接ネオナチであるアゾフ大隊には提供していないと言われていますが、それならば修正案を削除する必要はなかったと思われます(状況証拠でしかありませんが……)。

また、ロシアのウクライナ侵攻後、ヨーロッパの極右民兵組織の指導者たちが、インターネット上で資金集めや戦闘員の勧誘、侵略者と対峙するための前線への渡航計画などの活動を活発化させていると言われています(エビデンスなし)。

 

また、以前からアゾフ大隊は世界中のテロとの関連性を疑われています。
2019年、米国の議員が、国務省に宛てた書簡の中で、「アゾフ大隊と米国内でのテロ行為の関連性は明らかだ」と指摘しています。
アゾフ大隊に協力しようとしていた米国のネオナチ集団「アトムワッフェン師団」のメンバー2人を、米国の議員は国外退去させたと言います。
アゾフ大隊と親しい組織としては、「Rise Above Movement」(RAM)という極右ギャングがおり、そのメンバーの一部はカリフォルニアの暴力事件でFBIに起訴されています。
RAMのリーダーであるロバート・ルンドは、ウクライナのアゾフ大隊からインスピレーションを得たと語っています。
2017年9月にロバート・ルンドは右派系ポッドキャストでこう語ったそうです。
「アゾフ大隊は自分たちのクラブを持っていて、彼らなりのファッションスタイルがある。彼らは本物の文化をもっている。アゾフ大隊こそが、私たちの未来の姿だ」

 

ウクライナの国家警備隊のアゾフ戦士は、イスラム教徒であるカディロフのチェチェン軍を標的にする際には、ラードで弾丸に油を塗ったそうです。
イスラム教では、豚肉は不浄なものとされいるため、ラードが塗られた弾丸で銃殺されたイスラム兵士は穢れた存在となり、天国へ行くことができなくなると言われています。

 

2019年に、ニュージーランドで、28才のオーストラリア国籍のブレントン・タラントが、モスクにいた51人を大虐殺するテロが発生しましたが、以前に、タラントはアゾフ大隊で訓練していた可能性を疑われています(関連性は論争中)。

 

■アンドリー・ビレツキー
2014年、新政権に就いたウクライナの指導者たちは、最初の公式任務として極右扇動者を含む23人の囚人に特赦を与えました。
その中に、殺人未遂の罪で2年間を刑務所で過ごしていたアンドリー・ビレツキーも含まれていました。
過去に、アンドレイ・ビレツキーは人種差別・反ユダヤ主義を表明していたと言われています。
釈放後、数日のうちに、ビレツキーは極右民兵の組成に乗り出し、アゾフ大隊を創設しました。


ビレツキーをはじめとするアゾフ大隊の指揮官たちは、東ウクライナの親ロシア派騒乱の鎮圧に参加し、戦場での勇敢な行動から、国民的英雄として称賛され、当時のウクライナペトロ・ポロシェンコ大統領から軍事勲章「勇気勲章」を授与され、内務省警察部隊の中佐に昇格しています。
また、前述のとおり、キエフのオボロンライオンの選挙区で当選し、ウクライナ議会議員となっています。

 

■セルヒイ・コロツキー
セルヒイ・コロツキーは極右のロシア民族統一党の党員であり、ロシアのネオナチ国家社会主義協会(NSS)の創立メンバーでもあったと言われています。
ウクライナの学者アントン・シェホフツォフによると、NSSの主な目的は「人種戦争に備えること」とのことです。
シェホフツォフによると、コロツキーは2007年にモスクワ中心部で起きた爆破事件に関与したとして起訴され、2013年にはベラルーシの首都ミンスクで反ファシスト活動家を刺殺したとして拘束されたが、証拠不十分で釈放されたそうです。
なお、 コロツキーはアゾフ大隊のメンバーでもあります。

 

親露派(分離主義者)がドネツク州の主要空港を占拠しようと攻撃した際、コロツキーを含む戦士たちが必死で防衛しようとしました。
後日、ウクライナの指導者はその防衛戦を称賛し、コロツキー含む戦士たちにメダルを授与しました。
ポロシェンコ大統領はコロツキーを「勇気ある無私の奉仕」として称賛し、ウクライナ国籍を与えました。

 

■C14
C14は、イェフヴェン・カラスがリーダーとして創設した極右・ネオナチグループで、ウクライナの首都キエフで、警察と協力してパトロールを行っています。
また、アゾフとともに退役軍人省が主催する審議会のメンバーでもあります。

C14は米国務省からテロ組織と指定されています。
C14の「14」は、アメリカのネオナチ、デヴィッド・レーンが作った14の言葉を指しており、オナチや白人至上主義者の有名な暗語になります。

 

We must secure the existence of our people and a future for white children.
日本語訳:我々は、我々の種族の存続と白人の子どもたちの未来を確かなものにしなくてはならない

 

C14は、ウクライナのインド系少数民族ロマーニ族のキャンプを破壊し、ロマ人排斥の暴行に関与したと言われています。

 

C14は青年スポーツ省から資金供与されて「愛国教育プロジェクト」を主催しており、
その中で子供たちの教育訓練キャンプを行っています。
プロジェクトを通じて、愛国心を芽生えさせ、新たなメンバーをリクルートすることで、組織を拡大しています。

 

■右派セクター
右派セクターは、極右団体トライデントのリーダーであったドミトリー・ヤロシが中心となって設立されました。
設立時のグループには、「パトリオット・オブ・ウクライナ」のホワイト・ハンマー、カルパチア・シッヒも含まれています(後にグループから脱退)。

右派セクターは、ウクライナの右翼から極右の準軍事組織であり、民族主義ネオナチ政党にも発展しています。
2013年、キエフで発生したユーロマイダンの反乱において、複数の過激な民族主義組織の準軍事連合体として発足し、機動隊との衝突に参加しました。
2014年、政党に発展し、およそ1万人のメンバーを擁していると主張しています。

 

デモの間、右派セクターは、政敵を「ジド(ユダ)」と呼び、ネオナチのシンボルの旗を掲げ、反ユダヤ的事件を起こしたそうです。
右派セクターは独立広場のデモ隊に「我が闘争アドルフ・ヒトラー)」と「シオンの長老の議定書(世界の不都合をユダヤ人のせいにする陰謀計画書)」の翻訳版も配布していたと言われています。

 

2014年のウクライナ議会選挙では、右派候補としてのヤロシが1人区で29.8%の得票を獲得し、議会の議席を獲得しました。
右派のスポークスマンであるボリスラフ・ベレザも無所属候補として29.4%の得票率で議席を獲得しました。

 

このブログをまとめるにあたり、同じことを言っているような人がいましたので、共有しておきます。

 

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ウクライナ政府はネオナチと指摘を受けないように火消しを行い、欧米ではロシアのウクライナ侵攻以降、極右やネオナチの報道を控えるようになりました。
上記情報がどこまで真実なのか不明ではありますが、プーチン大統領の言う通り、ウクライナをネオナチ勢力が蝕んでいるのは、ある程度事実と思われます。

 

ゼレンスキー大統領は、ミンスク合意2でウクライナの分割に合意しましたが、手のひらを返して、ウクライナの統一を叫ぶようになりました。
私の所感では、これには政府内で勢力を伸ばしている右派が、ウクライナ分割に強硬に反対したのではないかと思われます。

 

民主・自由主義諸国は、極右には目をつむり、ウクライナ朝鮮戦争ベトナム戦争などのように代理戦争に仕立てようとしています。
近い将来、物量で勝るロシアが戦況を有利に進め、ウクライナはゲリラ戦にシフトするでしょう。
代理戦争で悲惨な思いをするのは、ウクライナ国民です。
この悲劇を回避するためには、フランスおよびドイツが検討に参加し、深夜まで疲れた身体に鞭を打って妥協点を探し、やっとこさ締結したミンスク合意に戻すしかないのではないでしょうか。

 

戦争アレルギーで客観的に思考できない日本では、こんな意見は、ウクライナ国民の愛国心を無視していると批判されると思いますが、この戦争の悲劇を少しでも小さくするために、誰も見ないかもしれないブログで伝えておきたいと思います。

 

ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー④

戦車

※写真はイメージです

 

戦後、日本では軍事のことを話題に上げると、アレルギーのごとく過敏に反応し、考えることすらタブーとなっていました。
専守防衛しかできない日本では、戦争になった場合の戦術を考えることはできませんでした。
他国から侵略されたら、敵を押し戻し、増援部隊を送ってくる本国を攻めるのが正攻法ですが、日本は相手国に攻め込むことを禁止しており、地政学的な議論を行ってきませんでした。

 

戦争アレルギーの日本では、地政学的な議論を封印してきましたが、そんな日本にはロシアのウクライナ侵攻を理解するのは不可能と思われます。
アメリカの核の傘で安全を保障されている日本では、ロシアやウクライナの問題を考えることはできないでしょう。

 

ウクライナ地政学的な位置付けを振り返ってみましょう。

 

ユーラシア大陸全体から見ると、ヨーロッパは突き出した「半島」となっており、そのヨーロッパ半島の付け根が、東欧であり、ウクライナに当たります。
ヨーロッパ半島の付け根(東欧)が政治的に不安定になると、モンゴルの騎馬民族が内陸から攻め込んだように、ヨーロッパは脅威にさらされることになります。
また、敵国にヨーロッパ半島の付け根を占領されると、陸路ではどこにも出ていくことができなくなり、ヨーロッパの各国は狭い半島に閉じ込められることになります。
現代地政学の事実上の開祖のハルフォード・マッキンダーは、東欧を「ハートランド」と名付け、「東欧を制する者がハートランドを支配し、ハートランドを制する者が世界島を支配し、世界島を制する者が世界を支配する」と言っています。
ハートランドシルクロードの一部であった通り、陸上交通の要衝であり、世界を制するために、アレキサンダー大王も、ナポレオンも、ヒトラーも、ハートランド(東欧)を掌握しようとしました。

 

地政学上、東欧は最重要な地域のため、現在のウクライナが存在している地域は歴史上、繰り返し勢力争いが行われました。

 

9~12世紀にキエフ公国が誕生し、この地域に安定をもたらし、ウクライナ・ロシア文化の基礎となりましたが、13世紀になると、モンゴル帝国の侵攻によりキエフ公国が滅ぼされてしまいました。

その後、ポーランド・リトアニア共和国オーストリアハンガリー帝国、オスマン帝国ロシア・ツァーリ国など、様々な国によって支配されて分割されました。
17~18世紀にコサック・ヘーチマン国家が誕生しましたが、最終的にポーランドロシア帝国の間で分割されています。
ロシア革命後、ウクライナ民族自決運動が起こり、1917年、ウクライナ人民共和国が宣言されましたが、第二次世界大戦後、ウクライナウクライナソビエト社会主義共和国に合併され、国全体がソビエト連邦の一部となっています。
その後、ソビエト連邦の崩壊に伴って、やっと1991年にウクライナは独立を果たしています。

 

また、ウクライナでは、ウクライナ語が公用語となっていますが、いまだにロシア語も使われています。
東側はロシア語しか話せない住民もいて、首都キエフでも、仕事中はウクライナ語で話すが、自宅での会話はロシア語といった人もいます。
ウクライナ語には、ロシア語も、ポーランド語も混ざっていて、同じような単語がたくさんあります。

 

また、島国で同一人種の日本にはイメージしにくいですが、ウクライナ人(77.8%)、ロシア人(17.3%)、ベラルーシ人(0.6%)、モルドバ人、クリミア・タタール人ユダヤ人等の様々な人種が暮らしています。
また、ひとえにウクライナ人と言っても、コーカソイドイラン系スキタイ人サルマタイ人、東スラヴ系などと混血を重ねたことによって形成されたと考えられています。
ロシアも東スラブ系と言われており、2021年に「キエフ国際社会学研究所」がウクライナ国内で行った調査では、回答者の5人に2人が「ロシアに近い親類がいる」と答えたそうです。

 

以前にも書きましたが、こうした背景からウクライナとロシアは兄弟国と言えます。

 

歴史を振り返ると、様々な国家の支配を受けてきたウクライナ人はしばしば「歴史なき民」と形容されてきました。
時の為政者によって様々な文化の下に置かれることで、独自文化は薄れ、いくつかの文化の混ざり合ったモザイク国家として成り立ちました。

 

現在、ウクライナはロシアからの侵攻により、ナショナリズム一色に染まっていると、日本のニュースでは報道されています。
一般市民の女性も銃を取って、ロシアに立ち向かおうとしている映像が流れる等、愛国心を応援する報道が繰り返されています。
恐らくは民族や文化の背景からではなく、「やっと平和な国家を手に入れたのに、武力行使で平和を乱すロシアを許さない」といった気持ちでナショナリズムが台頭していると思われます。

 

まるで日本の報道は西側のプロパガンダのようで、ウクライナのすべての国民がナショナリズムに傾倒しているかのように報道していますが、個人的には疑問が残ります。

 

ウクライナには経済の問題があります。
1998年にロシアのデフォルトにより、ウクライナも経済危機に直面し、2008年に生じたリーマンショックにより、またもウクライナは経済の危機に陥りました。
欧米のIMF、もしくはロシアのどちらに支援を求めるのかで、ウクライナ国内は揺れていました。
残念ながら、経済的にはGDPで韓国よりも下で、第11位のロシアを頼るよりは、欧米の経済圏につく方がよいでしょう。

(申し訳ございません。本ブログではなるべく事実を書きたいと思っており、ウクライナは文化や民族的背景よりも、お金で国の方向性を決めたと書いてはいません)

 

日本では偏った報道がなされていますが、上記のとおり、ウクライナはモザイク国家であり、ドニエプル川を挟んで東ウクライナと西ウクライナでは文化や経済的背景などが異なると思われます。

他国の私が言うことではありませんが、ゼレンスキー大統領はウクライナの統一を理念としていますが、かなり難しいのではないかと考えております。

 

今回は上手く書けませんでしたが、西谷公明さんが分かり易くまとめてくださっていますので、紹介させて頂き、終わりたいと思います。

 

西谷公明さん(ウクライナ日本国大使館専門調査員)

n-relations.com

 

上記にリンクもありますが、いい記事ですね。

https://n-relations.com/pdfs/sekai_20220315.pdf

 

 

ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー③

戦車

※写真はイメージです

日本のテレビは「ロシアは悪」といった空気一緒に染まっています。
自由民主主義諸国のニュースを、プロパガンダのように、そのまま鵜呑みにして放送しています。

 

私は親ロシアでもなく、親米でもありませんが(親日です)、一方に偏った情報にはある種のキモチワルサを感じざるを得ません。

 

ネットでは専門家の方々が、貴重な情報発信を行ってくださっていますので、ここに紹介させて頂きます。


なお、専門家の方々のご意見ですが、もちろん、全てを鵜呑みにせず、何が正しいのかは自分で考える必要があることを注意書きとして付け加えさせて頂きます。

 

■小泉悠さん(東京大学特任助教
 日本でのロシア軍事の第一人者です。
 

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テレビ東京:豊島晋作キャスター
 日本テレビとは違いテレビ東京は素晴らしい放送をしてくれています。
 感謝します!
 

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■角茂樹さん(元駐ウクライナ大使)
 

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馬渕睦夫さん(元駐ウクライナモルドバ大使)
 

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ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー②

戦車

※写真はイメージです


これまでもニュースやネットではウクライナでは徹底抗戦の為、ゲリラ戦を準備していると言われていましたが、恐らく、すでに各処でゲリラ戦が始まっているようです。
作戦として指示していないものも含まれるので、ゲリラ戦に始まるも何もないのですが、これは悲惨な戦争に突入する分岐点になるため、注視する必要があります。

 

戦後、戦争アレルギーと呼べるほど、軍事のことを語るだけで大騒ぎになる日本では、戦争の中にも、通常の戦争と、より悲惨な戦争があるということは理解できないと思いますが、今回、その点について検討したいと思います。

 

――ゲリラ戦とはどのような戦術でしょうか?

 

ゲリラ戦の概要を抜粋しておきます。

 

kotobank.jp

 

概要は上記の内容になりますが、ゲリラ戦には悲惨な現実があります。

 

例えば、人が戦車を止めるという戦術があります。
火炎瓶だけを持った民間人(場合によっては残兵)が、戦車に特攻し、戦車前面の光学機器を破壊して目潰ししてから、背面の換気口を破壊し、エンジンを止めるといった戦術になります。

 

――この戦術は日本の特攻隊を思い出すのは、私だけでしょうか?

 

国を守りたいと想いがあったとしても、自分が同じ立場になって、火炎瓶の数本とライターを持って、巨大な戦車に立ち向えと言われたら、恐怖を感じ、躊躇してしまいます。

 

また、成功確率がどれくらいなのかも気になります。

もちろん、人 vs 戦車なので、多くのケースでは作戦は失敗し、戦車にひき潰されたり、戦車の砲弾の餌食になってしまうでしょう。
日本の特攻隊のように、何人もの命を踏み台にすることで、やっと損害を与えることができるのではないでしょうか。

 

また、ひとたびゲリラ戦が始まると、今度は、相手は民間人を攻撃し始めるようになります。

ゲリラ戦が展開されたベトナムでは、普段着を着た民間人が近付いてきて、仲良く話した後、突然、隠していた武器によって、アメリカ兵を殺すこともありました。
また、アメリカ兵に好意的な村落で、休息を取って食事をしていたところ、裏でベトコンとつながっていて、一気にベトコンが押し掛けてアメリカ兵を倒すといったこともありました。

 

このような状況下、アメリカ兵はどう思ったのでしょうか?

 

――ベトナム人に対していつ騙されるのか疑心暗鬼になり、ベトナム人が全員ベトコンに見えるようになったのです。

 

アメリカは、ベトナムのいくつかの村をベトコンとつながっていると言い張り、民間人を殺戮し、村を焼き払いました。
戦地に行っていないアメリカ人は、人道的に戦争をするべきだと考えていた人もいると思いますが、戦地の兵士たちは、今にもベトナム人に騙されて殺されるかもしれないという恐怖にさいなまれ、少しでも怪しければ、自分や仲間が殺される前に、先制攻撃を仕掛けるべきだと考えるしかなかったのです。
アメリカはベトコン一掃の作戦だと言っていますが、実際にはベトナムで多くの民間人を殺害しました。

 

また、ベトナムでは20年もの間、戦争が続きましたが、ゲリラ戦は先に音を上げた方が負けるといった持久戦になります。
一方の政府や軍隊を撃破したとしても戦争は終わらず、軍人や民間人の協力者が地下に隠れて、散発的にヒット・エンド・ランを繰り返します。
ベトナム戦争5万8000人の犠牲者が出たと言われていますが、長期に及ぶ戦争では、その分犠牲者も多く出ることになります。

 

このようにゲリラ戦は、どちら側にも不幸な結果をもたらせます。
ゲリラ戦を行うことで、より悲惨な戦争に突入し、双方に多くの犠牲者を出します。

 

さて、現在、日本ではTwitterで「#橋下徹をテレビに出すな」で署名活動が行われています。

 

mobile.twitter.com

 

この署名活動の発端になったのは、ウクライナ人の国際政治学者グレンコ・アンドリーさんとの討論になります。

 

ウクライナの立場のアンドリーさん
ウクライナ人は国を守るために徹底抗戦に持ち込んで戦う」
との発言に対して、橋下徹さんは、
「ゼレンスキー大統領が18歳から60歳までの一般市民、戦闘員でない者の国外退去を認めないことに対して、逃げたい人はどんどん逃がしてあげた方がいい」
と発言して、激しい討論となりました。

 

戦争という悲惨な状況下に置かれたウクライナに対して、橋下徹さんがウクライナ人の愛国心を理解せずに偉そうな意見を述べたと、ネットで大騒ぎになっているようです。
日本の恥だと「#橋下徹をテレビに出すな」で署名活動が行われています。

 

前述の通り、ゼレンスキー大統領が想定しているのはゲリラ戦になります。
ロシア軍がキエフを陥落したとしても、戦争を継続し、18歳から60歳までの一般市民も参加させ、終わらない戦争を行おうとしているように見えます。

 

第二次大戦中にゲリラ戦を展開して、悲惨な状況に置かれた沖縄を、多くの方は忘れてしまったのでしょうか?
二度と同じ想いをする人がいないように、沖縄戦を経験した日本人が、より悲惨な戦争を避けてはどうかと、アドバイスしてもよいのではないでしょうか?

 

また、現在、ロシアは経済制裁に参加した日本を敵国とみなしていますが、ロシアとは隣国でありながら、平和条約を締結しておりません。
ロシアが北海道に進軍した場合、北海道から18歳から60歳までの日本の男性について、本州への移動を制限しますでしょうか?

 

ウクライナ人の「必ず国を守る」という愛国心は、気高く尊いものだと思います(勘違いのないように、ここを強調しておきます)。
また、ウクライナ人の問題なので、他国がとやかく言う問題ではないと思います。
日本の特攻隊の手紙を読んだときに、私は泣いてしまいましたが、同じような想いをウクライナ人にも感じます。
ただ、ゲリラ戦という悲惨な戦争を考えると、アドバイス程度はしてもいいのではないでしょうか?

 

#橋下徹をテレビに出すな」で署名活動を行うよりも、もっと他にやるべきことがあるような気がします。
戦争アレルギーで軍事のことをタブー扱いし、議論してこなかった日本人は、そもそも戦争について学ぶ必要があるように思われます。

 

戦争とは非常に難しい問題で、対立する意見があった場合に、どちらか一方が正しいとは言い切れません。
誰の発言が悪いとか、どこの大統領が悪いとか、短絡的に考えて解決できる問題ではありません。

 

もしそんなに簡単に解決できるなら、戦争なんかしていませんので!

 

ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー①

戦車

※写真はイメージです


今回は「タブーなしで語ります。誰が見ずとも、炎上しようとも」というコンセプトに従って、日本のニュースや言論の空気は無視して、書くべきことを書きたいと思います。

 

ロシアがウクライナ侵攻を開始して以来、テレビでも、ネットでも、ロシアの極悪非道ぶりを批判する報道ばかり流れています。
欧米がロシアに対抗するために行った経済制裁を、もろ手を挙げて賛辞し、ロシア国内でも戦争に反対するデモが行わている情報に小躍りして喜んでいます。
また、プーチン大統領の発言を切り取って、頭のオカシイ人物としてイメージ像を作り上げようとしています。
日本は同調圧力が強いと言われていますが、日本のメディアも、一般人も「ロシアは悪だ、プーチンは残虐者だ」という空気一色に染まっています。

 

――まるで戦時中の軍国主義のようなプロパガンダに思えてしまうのは、私だけでしょうか?

 

戦争は悲惨なのは言わずもがなで、平和なのが一番よく、戦争は起きない方がよいに決まっています。
それは大前提の上で、戦争している両国の一方の意見だけで物事を考えるのは間違っているのではないでしょうか?

 

日本では、下記の発言はできないように言論統制が行われています。

 

「ロシアはロシアの立場があって戦争しているのではないか?
 先に戦争を仕掛けた方が、一方的にすべてが悪いというのは短絡的な見解ではないのか?」

 

歴史を振り返ると、ロシアの国の始まりは、ウクライナの首都の名前ともなっているキエフ公国が基礎となっています。

 

www.y-history.net


9世紀末から13世紀にかけて、キエフ公国が周辺諸公国に君臨したことにより、ロシア最初の統一封建国家となりました。
10世紀にはギリシア正教会を取り入れて、キリル文字を用いるようになりました。
ギリシア正教キリル文字は、いずれもロシア国家に引き継がれ、ロシア文化の基礎となっています。
かつてキエフ公国が治めていた場所は、ほとんどが現ウクライナであり、ロシアはウクライナから派生した国家と言えます。

 

ロシア人は、よくウクライナのことを兄弟だと発言していますが、このような歴史観から来ています。

 

日本の京都府が、キョートー国という独立国になりたいと言って、投票で決まってしまったら、どう思うでしょうか?
もちろん、戦争は仕掛けないまでも、個人的にはどうしても独立を受け入れることが難しいです。
キョートー国が中国語で書いて話すようになり、清水寺も、平等院鳳凰堂も、外国のものになってしまっては、
日本のアイデンティティが成り立たなくなってしまいます。

 

また、イギリスの特殊部隊SASは、戦争開始前からウクライナに部隊を派遣済みであったと言われています。
キョートー国に、中国の特殊部隊が展開されていたら、どうしますでしょうか?
戦争はしたくないですが、どうしてもキョートー国から中国軍を追い出すために、強硬手段に出るのも選択肢の一つとして挙がってきてしまうのではないでしょうか。

 

――国の起源の場所であれば、戦争を仕掛けてもよい?

 

そうは思いません。
他国には理解しがたい事情があり、すべてがロシアが悪いと断罪するのは良くないと言っています。
子供のケンカのように、ケンカ両成敗ではないですが、それぞれの国に立場や事情があり、それを確認した上ではないと、他国が断罪するのは難しいのではないでしょうか?

 

もし、国の起源の場所が戦争の理由にならないのであれば、イスラエルも批判するべきです。

 

第二次大戦後、ホロコーストという悲惨な経験をしたユダヤ人は、アラブ人が住んでいるパレスチナに押し掛けて、勝手にイスラエルという国を建国しました。
ヘブライ語聖書に書かれているカナンの地だったし、エルサレムには「嘆きの壁」と呼ばれる聖地があるから、行き場のないユダヤ人が住むのによいのではないかといった意見もあるかもしれません。
しかしながら、エルサレムにはムハンマドが昇天し、天界に旅立ったと言われる「岩のドーム」があり、イスラム教徒の聖地でもあります。

 

――ロシアとアメリカは何が違うのでしょうか?
私はロシアも、イスラエルも、悪い点があったと思っています。
すでに長く住んでいる人もいるので、イスラエルは解体までは要求しませんが、パレスチナとの共存共栄に最大限努力するべきではないでしょうか。

 

また、冷静に検討するために、ロシアのウクライナ侵攻と、アメリカのイラク戦争と比較してみましょう。

 

項目 ロシアのウクライナ侵攻 アメリカのイラク戦争
理由 ・兄弟国が違う文化に取り込まれようとしている
・「ドネツク民共和国」「ルガンスク人民共和国」を守らねばならない
地政学的にNATOとの緩衝国が必要
大量破壊兵器を持っているとウソの理由で侵攻
フセイン独裁政権で国民を弾圧
独裁国家が全て悪いわけではなく、アメリカによる解放後、政権が安定せず、内戦勃発
国際法 違反 違反
デモ ロシアのウラジオストクイルクーツク等でデモが発生し、2034人が拘束 アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、日本、東アジア、中近東で反戦デモが発生
デモの参加者数はニューヨーク35万人、サンフランシスコ25万人(ベトナム戦争時を上回る史上最大規模)
国内の志願兵 国を守ろうと志願兵が戦場へ 志願兵が数多く参加し、民兵組織を作って戦争に参加
武器 ウクライナアメリカが生物兵器の開発(ウソ) 大量破壊兵器保有(ウソ)
大統領 NATOに対する強硬姿勢を貫き、軍事侵攻も辞さない構え ブッシュ大統領を始め、政権幹部の多くが石油産業との密接な関係を持っている
ネオコンの強い影響力

 

ロシアのウクライナ侵攻と、アメリカのイラク戦争は何が違うのか判りません。
イラク戦争中、ニュースでも、ネットでも、一般人も、辛い状況に置かれたイラク人を支援しましたでしょうか?
私は両方の戦争とも、反対の立場ですが、短絡的にロシアが悪だという意見に染まった日本の空気が理解できません。

 

ロシアの立場を考える上で、 ウクライナ東部の「ドネツク民共和国」「ルガンスク人民共和国」の問題を考えなければなりません。

2013年、ウクライナ大統領ヤヌーコヴィチが、EU加盟を見送ったことにより、ユーロ・マイダン革命が発生し、大統領を追い出しました。
クリミア併合と同時期に、それに対抗するウクライナ国民の親露派のデモとして、ロシア系住民が多いウクライナ東部では独立を求める住民運動が発生しました。
ドネツク州では政府の建物を占拠した親露派勢力が「ドネツク民共和国」の建国を宣言し、翌月、ルガンスク州でも親露派勢力が「ルガンスク人民共和国」の独立を宣言しました。
内戦が続く状況の中で、ウクライナ、ロシア、ドネツク民共和国、ルガンスク人民共和国は和平に向けて、フランス・ドイツも協力し、2014年・2015年にミンスク合意に調印し、休戦に合意しています。
その後、ドネツク州及びルガンスク州自治を認め、地方分権化を約束していましたが、2021年にウクライナは、ドネツク州の都市近郊で分離独立派の武装組織を攻撃し、ロシアはミンスク合意に反していると非難し、ロシアのウクライナ侵攻のきっかけを作りました。

 

また、イラク戦争ではありませんが、これはアルカイーダから同時多発テロで攻撃されたとして、アメリカはアフガニスタン侵攻を開始しましたが、ウクライナの私兵集団アゾフからドネツク州を攻撃されたとして、ロシアがウクライナ侵攻を開始したことは似ていますね。

 

両国間の問題は非常にこじれており、どちらが正しい・悪いとは言えない状況で、仲裁するにも困難な難題が山積しています。

 

――日本には何ができるでしょうか?
NATOとは国際パートナーであり、ロシアとは隣国の日本は、両方の立場に立って、助言するべきではないでしょうか。

近代の戦争は悲惨で、すべての戦争がなくなることを願います。
私は専門家でもなく、勉強もまだまだですが、個人的な意見を述べさせていただきます。
この戦争を終わりにするためには、ミンスク合意を履行し、東ウクライナと西ウクライナで分割するしかないと思っています。
もちろん、ウクライナの西側の人々には、自国を守りたいという愛国心があると思いますが、ここまでこじれてしまうと、それが現実的な折衷案ではないでしょうか。

 

今回、日本の戦争アレルギーについては語れませんでした。
ロシアのウクライナ侵攻について、何回かに分けて語りますので、次回以降に説明できれば幸いです。

 

引き続きよろしくお願いします。

 

国や政治について語ろう④

国会議事堂

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前回から引き続いて、なぜ日本人は国や政治に興味を持たなくなってしまったのかを考えたいと思います。

 

それでは、日本の近代史を振り返りながら考察したいと思います。

 

第二次世界大戦の末期、日本は軍国主義に一色に染まり、教師は戦時教育を行い、町内会・村の集会といった生活に近い場でも、子供から老人まで、天皇を中心とした国と政治のことを賛美していました。
現代とは違い、多くの日本人が国や政治に興味を持っていましたが、軍国主義という思想に偏ったものでした。
政府や軍は、ラジオや新聞を検閲し、プロパガンダを発信していました。

 

第二次世界大戦後、連合国軍が日本を占領すると、GHQによってこの価値観が大転換されました。
二度と日本がアメリカや東アジアにとって脅威にならないようにするために、「非軍事化」と「民主化」を占領政策の目標として掲げ、日本社会を改造しました。

 

GHQのその政策により、日本は「平和」、「自由」、「平等」を手にし、戦後の荒廃から復興したと思われていますが、内実は異なっており、日本の弱体化が目的でした。
その最たる例が愚民化政策だと思われます。
戦争中、日本人は死を恐れず、アメリカ兵と戦ったと言われています。
日本人の強靭な精神力に恐れをなしたアメリカは、GHQが中心となり、秘密裏に愚民化政策を行ったと言われています。

 

それが「3S政策」であり、「Screen(映画やテレビ)」、「Sport(スポーツ)」、「Sex(性産業)」の頭文字を取って付けたそうです。

 

ja.wikipedia.org

 

この政策の陰には、読売新聞の経営者であった正力松太郎が関わっていたとされています。

戦前、正力は倒産寸前の読売新聞を日本一にし、日本にベースボールを定着させた興行師として活躍していました。
戦後、正力はA級戦犯としてGHQに逮捕されますが、スパイ活動を行うことを条件に許されたと言われています。
その後、正力は日本放送を創設し、NHKよりも早くテレビ放送を開始しました。
正力が創設した読売ジャイアンツは、国民的スターを数多く輩出し、ナイターがある日は、人々はテレビにくぎ付けになり、読売新聞のスポーツ欄に載る野球の結果を楽しみにするようになり、
野球は、国技である相撲を超えた国民的なスポーツとなりました。

 

東京都知事猪瀬直樹さんは、日本はアメリカに守られたディズニーランド」なのだと言っていました。

 

 

言い得て妙とはこのことだと思います。

欧米では聖なるクリスマスは、伝統的に家族で過ごすのが一般的ですが、日本では男女で美味しい食事をして、ホテルでエッチする日となっています。
ディズニーランドが始めたハロウィンイベントを、いまや渋谷に留まらず、日本の一大イベントとして、全国の小学生や幼稚園児が仮装して楽しむようになりました。
自国の新嘗祭明治節紀元節などのイベントを捨て、クリスマスやハロウィンのイベントを取り入れました。
欧米に憧れを抱き、ラーメンやカレーライスのように、誤った形で文化を取り込んでいきました。

 

3S政策に洗脳された日本人は、戦後70年を迎えましたが、いまだにアメリカが作った夢の国の中にいます。

 

また、日本人がこのような弱体化政策をもろ手を広げて受け入れた理由としては、戦後の日本人の哀しい精神状態もあると思います。

歴史上、初めて敗戦を経験した日本人は、欧米に逆らったことを「一億総ざんげ」で反省し、GHQ天皇の代わりに崇拝したと言えるのではないでしょうか。

 

きっかけは「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」です。

 

ja.wikipedia.org

 

GHQは、連合国にとって都合のいい解釈で戦争を振り返る新聞記事を10日間掲載し、2か月間、ラジオを放送し、その後、聴取者からの質問に答える番組を9か月放送しました。
このプロパガンダにより、戦争が悪かったものと思わせ、日本人に反省を促すことに成功しました。
個人的には、保守派が言うほど、このプロパガンダはすぐには効果がなかったと思いますが、日本人に欧米に対する土下座根性を植え付けるきっかけになったと思います。
メディアや言論は、この当時のプロパガンダを踏襲するようになり、「戦争を忘れないように」という枕詞を使って、現代でもこの内容をコピーして繰り返して発信しています。

 

日本人の土下座根性を表した象徴的な事例としては、日本占領軍総指揮官として日本にやってきたダグラス・マッカーサー将軍に宛てた手紙でしょう。
日本人はマッカーサー将軍にたくさんの手紙を送り、マッカーサー将軍への絶対服従を誓ったり、「あなたの子どもを産みたい」などと書いたラブレターを送ったと言われています。

 

また、戦後の日本人の精神性を表すには、虚無感があると思います。

 

戦後、日本では、教科書を黒塗りしたと言われていますが、その暗喩が表すように、過去の歴史をすべて臭いものとしてフタをして閉じてしまいました。
戦前にもいいところもあったはずですが、すべてを一緒くたに悪いものとして封印してしまいました。
戦後は、虚無感に抗うことができず、自殺やヒロポン中毒が流行し、無為のまま働かない人もいたそうです。

 

この何とも言えない虚無感は、戦後派作家と言われた三島由紀夫さんの金閣寺に象徴的に描かれています。
戦後派作家の多くは、戦後の虚無感やキモチワルサとの葛藤の中で生まれたように思います。

 

www.nhk.or.jp

 

また、戦後から70年以上が経過し、勉強家の孫(場合によってはひ孫)の世代は、祖父母に戦中のことを教えてもらいたいと思っていた人もいますが、語らない人が多かったと言います。
今では多くの日本人が「終戦によって社会が劇的に転換して、新しい素晴らしい時代が始まった」と考えています。
天皇」も、「軍事」も、「愛国心」も、「アイデンティティ」も、「欧米批判」も、「歴史の修正」も語れない空気ができてしまったのです。
国や政治のことを語ろうとしても、日本人は片手落ちの言葉でしか語れなくなりました。

 

――戦中は軍国主義に洗脳されていた?
――前後は資本主義に洗脳されているのではないでしょうか?

 

私は、国や政治について語ることができないと書きましたが、これは間違っています。

謝罪いたします。

申し訳ございません(……謝罪の多いブログですね)。

 

日本では、アメリカから強制された「平和」、「自由」、「平等」だけはいくらでも、賛美して語ることができます。
アメリカは「平和」、「自由」、「平等」の大義の元で、イラク大量破壊兵器保有しているとウソをつき、戦争を始め、フセインを処刑し、アフガニスタンアルカイダをかくまったとして侵攻し、政権を崩壊させました。
日本人は悪い面には目をつむり、アメリカの戦争に称賛し、宗教のように「平和」、「自由」、「平等」を妄信しています。

 

長くなりましたので、まとめです。

 

前後はアメリカ資本主義に洗脳されることによって、自分の頭で国や政治のことを考えることができなくなり、「平和」、「自由」、「平等」という片手落ちの言葉でしか、国や政治のことを語ることができなくなったと思います。
戦後70年以上が経過しますが、いつまで占領下のつもりなのでしょうか?

 

――日本人として自ら考えて、自ら語りませんか?

 

それでは、また次回!

 

<追伸>
私は片手落ちは差別用語ではないという考えです。

 

国や政治について語ろう③

国会議事堂

※写真はイメージです

 

前回、日本人は政治に興味がないと断定的に言ってしまいましたが、少し補足します。

 

客観的なデータとして、日本トレンドリサーチで実施したアンケートを紹介します。

 

prtimes.jp

アンケート結果のとおり、「関心がある」「どちらかといえば関心がある」を合わせると69.2%で、関心がある人が多い結果となっています。
――ほら見たことか、日本人は政治に関心があるじゃないか! 謝罪しろ! と言われそうですね(笑)。

 

申し訳ございませんでした。

 

さて、最近、政治家の間では、統計をベースとした科学的な政治をするべきだと言われています。
これまで日本の政治は、客観的な統計データを元に、科学的に判断した決断を行うのではなく、声の大きい政治家が、数の暴力で、他の政治家や官僚を動かして政治を行っているので、大いに賛成です。

ただ、注意しないといけないのは、統計はウソを付きます。
そうそう2019年に厚生労働省で賃金構造基本統計の不正が発覚したこともありました。
御多分に漏れず、このアンケートもどう読み解けばよいのか、考察を行う必要があると思います。

 

今回のアンケートでは、「どちらかといえば関心がある」が問題になります。

www.hojosen.co.jp

上記のとおり、「どちらかといえば関心がある」には「どちらでもない」と考えている人が含まれます。
今回、最も回答が多いのは、「どちらかといえば関心がある」35.7%のため、
「どちらでもない」が最も大きい可能性があります。
「どちらかといえば関心がない」も3番目の19.3%のため、それも「どちらでもない」
に含めるとかなり大きいように思われます。

 

「どちらでもない」という人はどのような人でしょうか。
例えば、政治に関心がないと言ってしまうと、周りから何も考えていないヤツだと思われてしまうため、義務化感から政治に興味を持っているふりをしている人もいます。
(アンケートは誰が見ているわけでもないので、自分に対する言い訳だと思います)
よく聞きますよね? 「政治には興味を持たないといけないと思っているんだ、でも、よく分からないんだよね」って。
「??? それって興味ないよね? ググりなよ」とツッコミたくなります。

 

つまり、確実に信じられるのは、「関心がある」33.5%の数字だけなのです。

 

それでは、どうして日本人は政治に興味を持たなくなってしまったのでしょうか?

 

文章が長くなってしまったので、また次回に!

 

国や政治について語ろう②

国会議事堂

※写真はイメージです

最近は、「政治家追っかけタレント」としても認知されつつある春香クリスティーンさんですが、スイスから日本の高校に編入したときに、日本では政治を話す友だちがいなくて、ビックリしたと言っていました。

 

www.asagei.com


海外では高校の授業でも政治の議論を行うことがあり、友だち同士でも自然に話題に上がるようです。
海外では教育がしっかりしているからと思いがちですが、「花火大会に行く?」といったノリで、政治的なイベントやデモに参加したり、自分が好きな政党のポスターを自分の家の窓に張ったり、政治が生活の一部として溶け込んでいることが、本当の日本との違いと思われます。

 

日本では、どうして海外のように政治に参加したり、語ったりすることができないのでしょうか。

 

日本では同調圧力があるのが、原因だと言われています。
政治のことを語ると、意見の衝突を起こして人間関係に影響するから、人付き合いを円滑にするために、当たり障りのないオモシロい話や流行だけ話題にあげるようにしている。
国や政治のことを話したいと思っている人も少しはいるはずなのに、国や政治を語ることがタブーのような空気を読んで、自ら口を閉じることが多いのではないかと言われています。

 

海外は個人主義で、日本は集団主義だから政治を語らなくなったと考えればよいでしょうか。

 

最近、興味深い記事がありました。
日本、アメリカ、イギリスを比較した場合、日本が一番同調圧力が弱かったという実験結果です。

 

gendai.ismedia.jp

 

先生方の結果に異論はありませんが、個人的には額面通りに受け取れないとは思います。

 

恐らく、実験結果のとおり、日本人は同調圧力に屈することなく、アメリカやイギリスと同じように(もしくは、それよりも強く)、自分の意見を持っているはずなのですが、人と仲良くするために、自分の意見を抑えている可能性があると言えます(未確認ですが、実験は知らない人同士だと思われます)。
仲のよい人が間違ったことをしていても、あえて目をつむることはないでしょうか。
わざわざ政治や宗教の話はタブーだと、自分にも周りにも言い聞かせ、自分の意見を殺し、コミュニケーションを円滑にしているのではないでしょうか。
日本でも、深く話すと興味深い意見を持っている人がいたり、ブログで自分の意見を書いている人もいます。

 

国や政治のことを語らない理由として、確かに同調圧力はあるものの、実験結果のとおり、自分の意見は持っていて、意見を言える場さえ、用意すれば、考え抜いた意見を語ることができるはずなのです。

農耕民族で集団主義だから、自分の意見を言わないと思われてきましたが、明治維新では維新志士たちが新たな世を熱く語り、学生闘争では大学生たちが授業をサボってでも、日米安保に反対の声を上げていました。

歴史を見ても、日本人は自分の意見を抑えて言わない民族ではないことが判ると思います。

 

もちろん、同調圧力も自分の意見を言わなくなった一因ではあると思うのですが、主な原因は別にあると思います。
本当の原因は何なのでしょうか?

 

こんなことを言うと、嫌に思う人もいると思いますが……

誰も言わないので、あえて言おうと思います。

 

――日本人が政治について語らないのは、みんなが政治に興味がないから!

 

これについては、日本人として言い訳もあるため、次回に詳しく書こうと思います。

 

国や政治について語ろう①

国会議事堂

※写真はイメージです



若い頃、食事の席や飲み会で、国や政治のことを語ると、多くの人に嫌な顔をされました。
たいていは聞き流されるか、生返事をされるか、いずれにしても、早く別の話題に変わらないかと、つまらなそうにしている人がほとんどでした。
女性とのデートのときに、国や政治の話をしたら、そんな堅い話はつまらないとフラれてしまいました(笑)。

 

たまに、意見を返してくれる人もいましたが、テレビの受け売りをそのまま自分の意見のように話す人、批判を言いたいだけの人、……建設的な意見を交わせたことはありませんでした。

 

遅まきながら、社会人になって、「人と接するときに政治の話はタブーだ」と教わりました。
そのときは社会人として周りに溶け込むために、そのしきたりを飲み込みましたが、喉に刺さった小骨のように、ずっと僕の心に引っかかっていました。


――本当に国や政治のことを話さないことが正しいのでしょうか?

 

最近、日本が先進国の中でも、経済成長や改革の遅れが指摘され、中国はおろか、かつて発展途上国であった韓国にも一部の分野で抜かれはじめています。
国民の間にも、日本が没落しつつあることが浸透しはじめていて、その反動なのだろうけども、テレビでは日本のイイところを探す番組が増えています。

 

よく取り上げられる日本の凋落を示す情報を下記に紹介します。

 

〇2020年平均賃金は22位

president.jp

 

〇2022年世界時価総額ランキングで50位以内は31位のトヨタのみ

prtimes.jp

 

〇一人当たりGDPは19位

www.nikkei.com

 

〇男女平等指数は120位

www.nikkei.com

 

ランキングはそのまま信じてはいけないのですが、これを見て何も思わない日本人はいないと思います。
日本を良くしたいと思いませんでしょうか?

 

もう一度、言いたい。
――本当に国や政治のことを語らないことが正しいのでしょうか?

 

「政治について語ろう」と題しましたが、タブーだとか、話が面白くないとか言っていないで、日本を良くするために、国や政治のことを考えるべきではありませんでしょうか。
私も不勉強ではありますが、分からないながらも知っている知識を共有したり、政策論争を交わしたりすることもできるのではないかと思います。
また、Google検索がこんなに便利になりましたので、議論するための情報も入手しやすくなりました。

 

まずは、ブログで国や政治について語ろうと思いますので、今後、お付き合い頂ければ幸いです。
(炎上しようが、誰も見なくても)

 

<追伸>

タイトルは、小田実さんの著書「何でも見てやろう」から頂きました。

大変感謝いたします。

odamakoto.jp