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ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー⑤

戦車

※写真はイメージです

日本のテレビでは、プーチン大統領は精神状態に異変が生じているとか、頭がおかしくなったのだと、冷静な分析ができておりません。
ここでは、プーチン大統領の言う通り、ウクライナにネオナチはいるのか? について、あらためて検討したいと思います。

 

念のため、私は親ロシアでも、プーチン擁護でも、ネトウヨでもありません。
こういった記事も参考しているという例として、先に古谷経衡さんの記事を引用しておきます。

 

news.yahoo.co.jp

 

プーチン大統領がネオナチとして指摘している組織で、最も有名なのはアゾフ連隊だと思われます。
他のグループについても、いくつか下記にまとめさせていただきます。

 

■アゾフ大隊

2013年、親ロシア派であったウクライナ大統領ヤヌーコヴィチが、EU欧州連合)加盟を見送ったことにより、デモが発生し、組織的な政治運動は革命として成就し、ヤヌコビッチとその政権を退陣させました。
ヤヌコビッチを支持するウクライナ南部の一部の人達は、この革命を認めず、ロシアとの緊密な関係を支持して抗議活動を始め、行政庁舎を占拠し、分離独立を目指しました。
クリミアではウクライナを離脱してロシア連邦への加盟を支持する様々なデモが行われ、ウクライナからの独立を宣言することにつながりました。
その間、民族主義派の民兵組織「アゾフ」は、分離主義者(親ロシア派)と争い、港湾都市マリウポリの庁舎を奪還しました。
2014年4月、アルセン・アバコフ内務大臣代理は、南東ウクライナでの親ロシア派騒乱を鎮圧するために、特別警察大隊を創設しましたが、その一つとして、兵組織「アゾフ」をアゾフ大隊として正式に任命しました。

 

アゾフ大隊は、「パトリオット・オブ・ウクライナ」と「ネオナチ・ソーシャル・ナショナル・アッセンブリー(SNA)」と呼ばれる過激主義グループから生まれたボランティアグループです。
アゾフ大隊には欧米出身者を中心とした白人至上主義を信奉する人が所属しており、ユダヤ人やその他の少数民族を「人間以下」とみなしているとも言われています。

また、ネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされています。
同部隊を含め、ウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされています。
なお、アゾフ大隊の名前は、最初に大規模な戦闘を行ったアゾフ海沿岸に由来しています。

 

ウクライナ政府高官のアルセン・アヴァコフ内務大臣とその副官アントン・ゲラシチェンコは、アゾフ大隊およびパトリオット・オブ・ウクライナの司令官であるアンドリー・ビレツキーの国会出馬を積極的に支援し、キエフのオボロンライオンの選挙区で当選させました。
大隊のメンバーのオレフ・ペトレンコも、同選挙でチェルカシの選挙区で勝利後、ペトロ・ポロシェンコブロックの議員にもなりました。
アゾフ幹部でパトリオット・オブ・ウクライナのメンバーでもあるヴァディム・トロヤンは、最近キエフ地域の警察署長に任命されました。
ウクライナではアゾフ大隊のメンバーが、政治家や政府組織に入り込んでいます。

 

アゾフ大隊は、音楽コンサートやSNSなどによって、ヘイトメッセージや陰謀論を振り撒き、テロを美化し、若者や白人極右を惹きつけて、義勇兵として参加するようにリクルート活動を行っています。
安全保障コンサルタントで元FBI捜査官のアリ・スーファンは、過去6年間に、50カ国から1万7,000人以上の外国人戦闘員がウクライナに渡ったと推定しています(極右との関係性は不明)。

 

また、アゾフ大隊は、欧米から参加した義勇兵の軍事訓練も行っています。
ウクライナの首都キエフで、一般市民向けの軍事訓練会も主催しています。
自動小銃を模した木型を用いて、基本的な銃の取り扱いから指導しています。
子供やティーンエイジャーがウクライナナショナリズムに関する講義と、戦闘訓練を受けるサマーキャンプも主催しています。

 

アゾフ大隊の資金援助としては、世界上位2,000人に入る億万長イーホル・コロモイスキーが有名です。
金属王で前ドネツク州知事のセルゲイ・タルタも、アゾフ大隊の資金と装備を援助したと言われています。
それ以外にも、アメリカでは、2015年、2人の下院議員が下院国防歳出法案の修正案を作成し、「ネオナチのウクライナ民兵、アゾフ大隊への武器、訓練、その他の支援」を制限することを提案しましたが、「ペンタゴンからの圧力」により修正案は削除されたそうです。
アメリカから提供した武器や資金は、直接ネオナチであるアゾフ大隊には提供していないと言われていますが、それならば修正案を削除する必要はなかったと思われます(状況証拠でしかありませんが……)。

また、ロシアのウクライナ侵攻後、ヨーロッパの極右民兵組織の指導者たちが、インターネット上で資金集めや戦闘員の勧誘、侵略者と対峙するための前線への渡航計画などの活動を活発化させていると言われています(エビデンスなし)。

 

また、以前からアゾフ大隊は世界中のテロとの関連性を疑われています。
2019年、米国の議員が、国務省に宛てた書簡の中で、「アゾフ大隊と米国内でのテロ行為の関連性は明らかだ」と指摘しています。
アゾフ大隊に協力しようとしていた米国のネオナチ集団「アトムワッフェン師団」のメンバー2人を、米国の議員は国外退去させたと言います。
アゾフ大隊と親しい組織としては、「Rise Above Movement」(RAM)という極右ギャングがおり、そのメンバーの一部はカリフォルニアの暴力事件でFBIに起訴されています。
RAMのリーダーであるロバート・ルンドは、ウクライナのアゾフ大隊からインスピレーションを得たと語っています。
2017年9月にロバート・ルンドは右派系ポッドキャストでこう語ったそうです。
「アゾフ大隊は自分たちのクラブを持っていて、彼らなりのファッションスタイルがある。彼らは本物の文化をもっている。アゾフ大隊こそが、私たちの未来の姿だ」

 

ウクライナの国家警備隊のアゾフ戦士は、イスラム教徒であるカディロフのチェチェン軍を標的にする際には、ラードで弾丸に油を塗ったそうです。
イスラム教では、豚肉は不浄なものとされいるため、ラードが塗られた弾丸で銃殺されたイスラム兵士は穢れた存在となり、天国へ行くことができなくなると言われています。

 

2019年に、ニュージーランドで、28才のオーストラリア国籍のブレントン・タラントが、モスクにいた51人を大虐殺するテロが発生しましたが、以前に、タラントはアゾフ大隊で訓練していた可能性を疑われています(関連性は論争中)。

 

■アンドリー・ビレツキー
2014年、新政権に就いたウクライナの指導者たちは、最初の公式任務として極右扇動者を含む23人の囚人に特赦を与えました。
その中に、殺人未遂の罪で2年間を刑務所で過ごしていたアンドリー・ビレツキーも含まれていました。
過去に、アンドレイ・ビレツキーは人種差別・反ユダヤ主義を表明していたと言われています。
釈放後、数日のうちに、ビレツキーは極右民兵の組成に乗り出し、アゾフ大隊を創設しました。


ビレツキーをはじめとするアゾフ大隊の指揮官たちは、東ウクライナの親ロシア派騒乱の鎮圧に参加し、戦場での勇敢な行動から、国民的英雄として称賛され、当時のウクライナペトロ・ポロシェンコ大統領から軍事勲章「勇気勲章」を授与され、内務省警察部隊の中佐に昇格しています。
また、前述のとおり、キエフのオボロンライオンの選挙区で当選し、ウクライナ議会議員となっています。

 

■セルヒイ・コロツキー
セルヒイ・コロツキーは極右のロシア民族統一党の党員であり、ロシアのネオナチ国家社会主義協会(NSS)の創立メンバーでもあったと言われています。
ウクライナの学者アントン・シェホフツォフによると、NSSの主な目的は「人種戦争に備えること」とのことです。
シェホフツォフによると、コロツキーは2007年にモスクワ中心部で起きた爆破事件に関与したとして起訴され、2013年にはベラルーシの首都ミンスクで反ファシスト活動家を刺殺したとして拘束されたが、証拠不十分で釈放されたそうです。
なお、 コロツキーはアゾフ大隊のメンバーでもあります。

 

親露派(分離主義者)がドネツク州の主要空港を占拠しようと攻撃した際、コロツキーを含む戦士たちが必死で防衛しようとしました。
後日、ウクライナの指導者はその防衛戦を称賛し、コロツキー含む戦士たちにメダルを授与しました。
ポロシェンコ大統領はコロツキーを「勇気ある無私の奉仕」として称賛し、ウクライナ国籍を与えました。

 

■C14
C14は、イェフヴェン・カラスがリーダーとして創設した極右・ネオナチグループで、ウクライナの首都キエフで、警察と協力してパトロールを行っています。
また、アゾフとともに退役軍人省が主催する審議会のメンバーでもあります。

C14は米国務省からテロ組織と指定されています。
C14の「14」は、アメリカのネオナチ、デヴィッド・レーンが作った14の言葉を指しており、オナチや白人至上主義者の有名な暗語になります。

 

We must secure the existence of our people and a future for white children.
日本語訳:我々は、我々の種族の存続と白人の子どもたちの未来を確かなものにしなくてはならない

 

C14は、ウクライナのインド系少数民族ロマーニ族のキャンプを破壊し、ロマ人排斥の暴行に関与したと言われています。

 

C14は青年スポーツ省から資金供与されて「愛国教育プロジェクト」を主催しており、
その中で子供たちの教育訓練キャンプを行っています。
プロジェクトを通じて、愛国心を芽生えさせ、新たなメンバーをリクルートすることで、組織を拡大しています。

 

■右派セクター
右派セクターは、極右団体トライデントのリーダーであったドミトリー・ヤロシが中心となって設立されました。
設立時のグループには、「パトリオット・オブ・ウクライナ」のホワイト・ハンマー、カルパチア・シッヒも含まれています(後にグループから脱退)。

右派セクターは、ウクライナの右翼から極右の準軍事組織であり、民族主義ネオナチ政党にも発展しています。
2013年、キエフで発生したユーロマイダンの反乱において、複数の過激な民族主義組織の準軍事連合体として発足し、機動隊との衝突に参加しました。
2014年、政党に発展し、およそ1万人のメンバーを擁していると主張しています。

 

デモの間、右派セクターは、政敵を「ジド(ユダ)」と呼び、ネオナチのシンボルの旗を掲げ、反ユダヤ的事件を起こしたそうです。
右派セクターは独立広場のデモ隊に「我が闘争アドルフ・ヒトラー)」と「シオンの長老の議定書(世界の不都合をユダヤ人のせいにする陰謀計画書)」の翻訳版も配布していたと言われています。

 

2014年のウクライナ議会選挙では、右派候補としてのヤロシが1人区で29.8%の得票を獲得し、議会の議席を獲得しました。
右派のスポークスマンであるボリスラフ・ベレザも無所属候補として29.4%の得票率で議席を獲得しました。

 

このブログをまとめるにあたり、同じことを言っているような人がいましたので、共有しておきます。

 

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ウクライナ政府はネオナチと指摘を受けないように火消しを行い、欧米ではロシアのウクライナ侵攻以降、極右やネオナチの報道を控えるようになりました。
上記情報がどこまで真実なのか不明ではありますが、プーチン大統領の言う通り、ウクライナをネオナチ勢力が蝕んでいるのは、ある程度事実と思われます。

 

ゼレンスキー大統領は、ミンスク合意2でウクライナの分割に合意しましたが、手のひらを返して、ウクライナの統一を叫ぶようになりました。
私の所感では、これには政府内で勢力を伸ばしている右派が、ウクライナ分割に強硬に反対したのではないかと思われます。

 

民主・自由主義諸国は、極右には目をつむり、ウクライナ朝鮮戦争ベトナム戦争などのように代理戦争に仕立てようとしています。
近い将来、物量で勝るロシアが戦況を有利に進め、ウクライナはゲリラ戦にシフトするでしょう。
代理戦争で悲惨な思いをするのは、ウクライナ国民です。
この悲劇を回避するためには、フランスおよびドイツが検討に参加し、深夜まで疲れた身体に鞭を打って妥協点を探し、やっとこさ締結したミンスク合意に戻すしかないのではないでしょうか。

 

戦争アレルギーで客観的に思考できない日本では、こんな意見は、ウクライナ国民の愛国心を無視していると批判されると思いますが、この戦争の悲劇を少しでも小さくするために、誰も見ないかもしれないブログで伝えておきたいと思います。