何でも言ってやろう

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日本の給与はなぜ上がらないのか?⑧

お金

※写真はイメージです

引き続き、「地方・中小零細企業」の給与向上を検討したいと思いますが、今回は「何でも言ってやろう」というブログのタイトルに相応しく、厳しい内容を書かざるを得ません。
不快な想いをする人もいると思われますので、先に謝罪しておきます。
申し訳ございません。

 

さて、前回と同じデービッド・アトキンソンさんの記事の引用になりますが、コアコンピタンスを有していない中小零細企業が、日本の生産性が低く、給与が上がらない一因になってしまっているように思われます。

合理的な意見過ぎますが、スタートアップ(ベンチャー企業)など、コアコンピタンスを有している企業はその強みを生かしてマルチチャネルによるビジネスを展開し、投資を集め、企業規模を拡大し、コアコンピタンスを有していない企業は吸収合併により編成を進め、または赤字が続く場合は、安易に再生は行わず、整理を行い、市場に人材を流出させて、必要に応じて、国や地方自治体による職業訓練を実施し、人材を育成し、人手不足で喘いでいる企業に再就職した方が良いと考えております。

 

diamond.jp

 

2019年に、国税庁が公表した「国税庁統計法人税表」によれば、法人の7割近くが赤字決算となっています。
中小企業の中には、税金の支払を減らすために、決算書をわざと赤字にして欠損金を出している会社もあると言われています。
例えば、中古ベンツは節税に利用できると言われており、中古品のため、耐用年数が短く、一気に費用計上ができるため、利益調整に最適です。
また、償却後、簿価がゼロ円になっても、中古市場では価値が下がりませんので、本業が上手くいかない際の隠し手(売却して収益を上げる)として利用できます。

 

こうしたテクニック以外にも、中小企業は国から税制優遇を受けています。

コアコンピタンスを持たず、赤字すれすれの企業が、このような税制優遇により延命している現実があります。

 

■交際費課税の特例
・交際費は800万円までの交際費等の全額損金算入が認められています。

 

⇒取引先や従業員の基準が曖昧であり、場合によっては家族・友達との飲食や弁当代なども経費計上可能なため、平等性に問題があると思われます。

 

■欠損金の繰越控除
青色申告書を提出した事業年度において欠損金(税務上の赤字)が生じた場合には、その事業年度の後の事業年度以降に繰り越して、後の事業年度の所得から欠損金を控除することで、法人税の負担を軽減できます。
・また、欠損金の繰戻還付が認められており、遡って前年の法人税減税も欠損金により法人税の負担を軽減できます。

 

⇒何年かに1回大型投資を行って赤字決算にしておけば、欠損金の繰越もしくは繰戻還付によって、法人税の負担を軽減できます。

 

■中小企業投資促進税制
・一定の機械装置等の対象設備を取得や製作などした場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除を行えます。

 

⇒決算月に機械を購入するなどの対策で、費用計上により節税を行うことができます。

 

■少額減価償却資産の特例
取得価額が30万円未満の少額減価償却資産であれば、即時にその全額を経費として算入することができます。

 

⇒決算月に備品を購入するなどの対策で、一括費用計上により節税を行うことができます。

 

■事業承継税制
・株式の贈与・相続に掛かる税額全てについて納税猶予を行うことができ、その後も、株式を売らなければ「納税猶予」を継続することができ、次の後継者にこの制度を使って贈与することで、猶予されていた税金が免除となります。
また、先代経営者の死亡による継承の場合、納税が免除されます。
・将来、事業を売却・廃業する際に株価が下落していた場合には、その株価を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免することができます。

 

⇒つまりは、一般的な家族は亡くなった親族が投資で株式を持っていても相続税を支払う必要がありますが、家族経営の親族の間であれば相続税を逃れる方法があるということです。
親族に限らず、優秀な部下に代表取締役社長を任せれば良いように思われますが、税逃れのために、無能な親族が代表取締役社長に就任することを促してしまいます。
優秀な経営者であれば、後継者育成は常に取り組むべき仕事として認識しているはずですので、高齢になるまで何もして来なかった無能な経営者が運営する会社に、支援は不要と思われます。

 

■消費税の特例
消費税の納税について6か月における課税売上高が1,000万円以下である場合、納税義務が免除されます。

 

⇒スタートアップでまだ売上が少なく、これから成長する企業は支援する必要がありますが、恒常的に年間売上高2,000万円程度の企業を支援する必要がありますでしょうか。
個人では12円のうまい棒を買っても消費税を支払うのに、その預けたお金をお店が懐に入れるのは、税制優遇ではなく、補助金のような気がします。

 

企業全体の99.7%を占める中小零細企業は、大企業よりも生産性が低いと言われています。
生産性向上のため、中小企業の合併・再編が必要と思われますが、国や政府は「雇用維持」という名目で、中小企業優遇策を取り続け、市場から淘汰されるべきゾンビ企業を生き永らえさせています。
外資企業やスタートアップなどの税制に詳しくない企業は、割を食ってたくさんの税金を払い、長らく、地元の税理士と相談を重ねてきた老舗の中小零細企業は、税金を抑えることができるのは、企業の新陳代謝を遅らせているように思います。
中小零細企業の改革を促進するため、不必要な優遇税制は廃止し、平等な環境で、企業が競い合うようにするべきと思われます。

 

■大企業の優遇税制

実は、日本では大企業の法人税率が低い現状があります。
一般に諸外国と比較すると、日本の法人税は高いと言われていますが、それは名目上の税率であって、多くの企業は税制を上手く活用し、法人実効税率(実際に課税される税率)は低く抑えている現状があります。
日本の特有の税制に詳しい経営者だけが優遇されると、日本へ外資企業が参入しづらくなりますので、改善が必要と思われます。

 

大企業で税制改正した方が良い点の1つとしては、「受取配当等の益金不算入制度」になります。
これは子会社が儲けを出したときには法人税を支払うため、親会社が子会社から配当金を受け取る際、受取配当金を益金不算入(課税対象外の儲け)として処理することができます。
サヨクは、この制度自体が大企業の税金逃れだと問題視していますが、例えば、成人した息子が働いてお金を稼いだ時には所得税が掛かりますが、定年退職した親に給与の一部を生活費としてあげた場合に、さらに所得税が掛かるのは不合理だと思います。
こうした二重課税を回避するための特例になりますので、税制そのものは良いと考えています。

 

問題点は、この税制が海外子会社にも適用される点で、海外企業の場合、現地の国で課税されていない場合でも、同様に95%を益金不算入にすることができます。
日本の税制を基準にするという考え方からのようですが、それだと実際にキャッシュアウトしていない場合でも、益金不算入のメリットを享受できるため、日本国内に子会社を作るよりも、法人税が発生しない海外に子会社を作る方が税制上はメリットがあり、企業が海外に流出する可能性が考えられます。
従来の制度では、外国で納めた税額のみ控除し、日本の税率で計算した税額との差額を納税していましたが、平等性を考えると従来の制度に戻すべきと思われます。

 

今回は、日本の税制を語ってきましたが、中小企業向けの税制も、大企業向けの税制(大企業が良く利用する税制)のいずれも問題があると思います。
複雑な税制により、税理士の仕事を増やして儲けさせるためだけの税制になっていると思われます。
弱者救済の名の下に、肥大化した税制は、すでに弱者のためではなく、日本の税制に詳しい人だけが得をする仕組みになってしまっています。
不平等をなくすために不平等を生み出している税制を撤廃し、税制の簡素化により、それなりの競争社会に戻し、企業の成長を促す必要があるように思われます。