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マイナンバーと言うなんちゃってDX③

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※写真はイメージです

連日、報道されている通り、政府は、現在利用されている健康保険証を、2024年に廃止して、マイナンバーカードに切り替える方向で調整しています。
昨年、マイナンバーカードを保険証の代わりに利用できるようになりましたが、保険証廃止後は「マイナ保険証」に一本化を検討しています。

 

マイナポイントにより、マイナンバーカードの普及率上昇を目指していますが、2022年10日時点での申請枚数は、全国民の56%に留まっています。
このような現状を打破するために、政府としては、健康保険証をマイナンバーカードと一体化することで、全国民への普及を行いたいようです。

 

2024年以降も、マイナンバーカードを取得しない人が不便をこうむったり、医療機関もマイナ保険証に対応した機器の導入などを行う必要があり、世間を騒がせています。
各論点を下記に検討します。

 

医療データの共有

政府は医療データの共有し、一元化するためにマイナンバーが必要だと言われていますが、その理由が理解できません。

 

もちろん、各病院の医療データが別々のシステムに登録されているため、そのデータを結合するために、プライマリーキーとしてマイナンバーが必要だというのは分かります。
(プリマリーキーとは別々に分かれているデータを結合するための目印となるもの)

プライマリーキーは元々、保険証には記号・番号がありますので、当該情報を目印に結合を行えばよいと思われます。

 

ちなみに、補足しておくと、記号・番号は被保険者の世帯番号であり、個人番号にはなっておりません。
昨今、オンライン処理が増えておりますので、個人を識別するための枝番(2桁の番号)が追加されることが増えています。
こうした取組を加速させれば良く、特にマイナンバーをデータのプライマリーキーにしなければならない理由はありません。
恐らく「マイナ保険証」への一本化への理由付けに使われているのではないかと思います。

 

どちらかというと、病院ごとに個別開発されたシステムが標準化されておらず、医療データの一元化の弊害になっていると言われています。
政府も関わって標準化の議論を行っていますが、対応を加速させるため、議論を早める必要があります。

 

他方で、パッケージソフト導入も促進する必要があるように思われます。
パッケージソフトとは、広義として市販されるソフトウェアのことを言いますが、パッケージソフトによりデータを標準化することで連携し易くなります。
また、SaaSパッケージソフトであれば、パブリッククラウド(複数の病院が利用するクラウド環境)上で、同システムを利用する他病院との情報連携が容易に対応できるようになり、Web上でのAPI(データ連携を行う窓口)連携により、その他のSaaSとのデータ連携も実現し易くなりますので、医療データの共有の実現が可能と思われます。

 

上記の通り、医療データの共有は、そもそもマイナンバーが問題ではないと思います。
医療データの共有により様々な新たなサービスが生まれる可能性がありますので、課題から目を背けずに、ちゃんと直視し、実現を目指してほしいです。

 

マイナンバーカードの紛失

「マイナ保険証」に一本化した場合、普段からマイナンバーカードを持ち歩く必要が生じ、紛失リスクが高まります。

 

これまでも保険証の紛失はあったため、何も変わらないという意見もありますが、マイナンバーカードにはICチップが組み込まれていますので、パスワードを持ち歩いているようなものと言えます。
また、将来的にはマイナンバーが広範に利用されるようになると、番号自体が漏洩するだけで、生活に大きな影響が生じます。
そのため、今でも、各企業や団体などでは、マイナンバー管理を厳重に行っており、マイナンバーカードの紛失が、これまでの保険証と同程度だとは思えません。

 

この問題には、2023年5月のマイナンバーカードのアプリ化がどのような機能になるのかが、重要かと思います。

 

Suicaのアプリのように、Suicaカードの代わりに、携帯アプリにて認証できるようになれば、マイナンバーカードを持ち歩く必要がなくなります。
また、携帯電話を紛失したとしても、アプリが指紋認証などの二要素認証を備えていれば、リスクを軽減できます。
マイナンバーカードのアプリ化には、50億程度、費用を掛けるように聞いていますので、ぜひともこのような機能も組み込んでほしいと思います。

 

かかりつけ医

政府はコロナ禍にオンライン診療を開始し、その後、恒久的に認める方針を示しました。
しかしご存じのとおり、医師会は、遠隔医療の安全性・医療事故時の責任の所在などを理由に反対を示していました。
しかし、一説によるとそれは建前であって、本当の理由は、患者を大病院に取られてしまうことと、遠隔医療が診療報酬体系上、低いためだとも思われます。

 

地方や僻地の医師不足が叫ばれる中、オンライン医療により支援できると思われます。
また、土日や夜間の医療でも、オンライン医療により受け入れる患者を平準化することで、適切な人数の医師で土日や夜間の医療を担えるようになります。

 

マイナンバーカードの保険証統合に関しても、同じ人たちが反対しているように思われます。
ステレオタイプ、かつ差別的な表現で申し訳ございませんが、かかりつけ医と呼ばれている医者の中で、変革に抵抗する医師が存在していて、それは、所謂、高齢の町医者が主に反対している傾向があるように思われます。

 

日本は医師不足にもかかわらず、病院の数は5,000程度あり、世界1位になります。
多すぎるクリニックが、患者を大病院に取られることを恐れているのではないでしょうか。
日本では42兆円程度も医療費が掛かっていますので、病院の統廃合を行って効率化し、サービスが行き届かない部分はオンライン医療で賄うべきではないでしょうか。

 

医療は様々な課題を抱えており、新たな取組が、課題解決の一助になる可能性のあるのであれば、それを否定せず、建設的な意見を述べて、それを促進するべきではないでしょうか。
多くの医師は人を助けたいと思って、医師になったのでしょうから、デジタルというツールに変わっても、その目的は変わりませんので、若き頃の想いを思い出し改革を支援しても良いように思われます。

 

マイナカードの読み取り機器

病院が「マイナ保険証」のオンライン資格確認に対応するためには、読み取り機器とインターネットへの接続環境が必要になります。
厚生労働省は、オンライン資格確認の普及を促進するため、顔認証付きカードリーダーを無償で提供し、さらに、既存の電子カルテやレセコンのシステム改修などの費用を補助しています。

 

実際には、オンライン資格確認の導入に際して、システムベンダーが補助金以上の見積を提示するケースもあり、病院側が費用の捻出に苦労しているようですが、これには2つの問題があるように思われます。

 

1つはシステムベンダーが病院に深く入り込み、何年もかけて、少しずつ病院に投資させ、医師の使い勝手の良く、かつ複雑な仕組みを作り上げ、ベンダーロックイン(特定ベンダーを利用し続けなくてはならない状態を作ること)を実現している点です。
ベンダーロックイン状態では、価格交渉の余地もなく、高い見積もりを提示され、今回のように変革に対応できなくなります。

 

一方、病院側は、医師の使い易い仕組を作り上げるという短期的な目的のために、複雑な仕組みを作り過ぎてしまった状況もあるものと思われます。
パッケージソフトを活用すれば、問題となっている電子カルテやレセコンのシステム改修は不要となり、費用を抑えた対応も可能かと思います。
前述のベンダーロックインは、ベンダー側だけの責任ではなく、柔軟かつ標準的なシステムを目指して来なかった病院の責任でもあるように思われます。

 

政治家としては、ビジョンを打ち立てるために、2024年という期日を決めることは大切かもしれませんが、少々期間が短いとは思います。
期間が短ければ、安価な機器やパッケージソフトが販売されるのを待つことができませんし、ベンダー側も、期日を理由に早く導入することを迫り、病院側の価格交渉を避けることができますので、費用が高くなる傾向になるように思われます。
変革を実現するためには、目標があった方が良いので、期日は重要ですが、個人的には2025年でも良いように思われます。

 

ちなみに、クリニックなどの開業医は平均2,300万円程度の年収であり、勤務医よりも高い収入を得ていますので、数百万円程度の投資であれば、設備投資を行ってほしいものです(割賦やリースを活用する方法もあります)。
また、勝手を申し上げて恐縮ですが、私としては、数百万円程度の設備投資が難しいクリニックは、前述の通り、統廃合を行って効率化し、行き届かなくなるサービスをオンライン医療で賄うべきだと考えております。

 

幼児と認知症の人への対応

マイナ保険証ではパスワードを入力する必要があるため、幼児と認知症の人への対応が難しいのではないかと言われています。

 

この課題はマイナンバーカードのアプリにて対応しなければならないと考えられます。
代理で家族や介護者が認証する機能があれば良いように思われます。
ただし、当該機能は、「マイナ保険証」の不正利用につながる可能性もありますので、慎重に対応する必要があります。

 

ちなみに、マイナンバーカードは代理の申請及び交付も可能となっています。

 

「マイナ保険証」のメリット

「マイナ保険証」のメリットは何があるでしょうか。

 

巷で語られているものは省略しますが、「マイナ保険証」の一本化に伴い、お薬手帳マイナンバーカードの仕組みで管理できるようになると言われています。
紙のお薬手帳の普及率は50%程度と言われていますが、マイナンバーカードの仕組みの導入により、誰もがお薬手帳を利用するようになれば、「飲み合わせの悪い薬」や「薬の重複を避ける」ことができるようになります。

 

また、将来的には、アプリの機能として、高齢者向けに、お薬ごとの服用時間にアラームを鳴らしたり、カレンダーに記録したり等、様々な活用方法が考えられます(すでにお薬手帳Linkなど、対応済みのアプリもあります)。
民業圧迫の側面もありますが、既存のアプリを買い取るなど、政府には上手いやり方がないか検討してほしいところです。

 

また、すでに民間のサービスでは、ポイントカードや会員証などのアプリ化が行われています。
カードを探して、手渡しするのは面倒なので、アプリと読み取り装置の仕様にもよりますが(アプリ側の認証を実現すれば)、スマホでかざすだけで受付処理が全てが完了できるようになれば、手続きの簡素化を図ることができるでしょう。

 

最後に

マイナ保険証は使い勝手の良いアプリとセットであれば、政治家の将来ビジョンとして賛同したいと思いますが、マイナンバーカードのアプリの仕様しだいではありますので、今後、注視する必要がありそうです。
これまでの政府の対応を考えると、政府が提供するアプリに期待はできませんが、ぜひとも上記の機能を実現し、新たな社会の礎を築いてほしいと思います。

 

政治家やアプリ開発者などが、私のブログを見ることはないように思いますが、それでも淡い期待を抱き、上記ブログを掲載しておきます。