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ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー⑧

戦車

※写真はイメージです


5月2日に、ロシアのクレムリン(大統領府)で、ウクライナ側がドローン攻撃を行い、
プーチン大統領の命を狙った言われるテロが発生しましたので、本件について語りたいと思います。
詳細は以下のニュースをご覧ください。

 

www.bloomberg.co.jp

 

ウクライナは自国のテロ行為ではないと主張しており、アメリカも含め、各国が事実関係を調査していますが、まだウクライナ側のテロ行為なのか、それ以外のテロ行為なのか判明していない状況です。
本件は3つの可能性が推測できると思いますので、個々についてコメントします。

 

■想定される可能性

 ①ウクライナによるテロ行為
 ②ロシア国内の反プーチン派のテロ行為
 ③ロシアの自作自演

 

ウクライナによるテロ行為

ウクライナは「春季大反撃」を予告していますので、軍事作戦として行ったのではないかという推測もあるかもしれませんが、個人的には可能性が低いかと思います。
ゼレンスキー大統領が「モスクワでの出来事は明らかに状況をエスカレートさせる試みだ」と言っている通り、テロ行為は失敗する可能性が低く、ロシアにウクライナ侵攻の名目を与えるだけでしょう。

 

また、ドローンを数百キロも離れたモスクワまで飛行させて攻撃するのは、不可能に近く、ロシア国内の人物(例えば、反プーチン派のロシア人など)に攻撃を依頼したように思われますので、ゲリラ的な活動は、正式な軍事作戦ではなかったように思います。

ウクライナでは、テレビで火炎瓶の作り方を放映していることを筆頭に、国を挙げてゲリラ戦争を推進していますので、ウクライナ国民がゲリラの活動として、ロシア国内の反プーチン派の友人に依頼し、ウクライナ軍部が把握していないところでドローン攻撃が行われた可能性があるのではないかと思います。

 

②ロシア国内の反プーチン派のテロ行為

ロシア国内では、反プーチン派が活発に活動しており、例えば、先月、ロシアの第2の首都「サンクトペテルブルク」のカフェで、国民共和国軍がウクライナ侵攻を支持している軍事ブロガー「マクシム・フォミン氏」を爆死させた事件が発生しました。
ロシアでは反プーチン派の国民を次々と逮捕し、撲滅しようとしていますが、したたかに活動を継続しており、クレムリンのドローン爆撃も、ロシア国内の反プーチン派のテロ行為である可能性は否定できないように思います。

 

ただし、これは一歩間違えると大問題となる危険性を秘めていて、それは①と②の区別が付かないことです。
カフェの事件でも、ウクライナ側が手引きしたのではないかと関係性が疑われています。
戦争の道具としてSNSが使われるようになり、国を超えて簡単に話し合うことができるようになってしまったため、目的が同じことから、ウクライナ国民とロシアの反プーチン派が友達になることはあり得ることのように思います。
SNS上で、友人同士でどんな攻撃ができるのかチャットで検討する中、クレムリンのドローン爆撃の案もチャットに履歴が残っていた場合、これはウクライナ側の関与があったとみなされる可能性もあるかもしれません。
チャットの履歴が残っていると、ウクライナの軍部は国民にゲリラ戦を推奨しており、国から依頼された国民が、反プーチン派に依頼したようにも見えてしまいます。
クレムリンのドローン爆撃に関して、現在、ウクライナとロシアの国としての見解が異なっている状況ですが、ロシア側がグレーの証拠をこじつけに利用して、ウクライナ側のテロ行為だと主張する可能性があるように思います。

 

③ロシアの自作自演

3月に、中国の習近平がロシアを訪問しましたが、ウクライナ侵攻について対話と和平に向けた仲裁役を担う立場で臨んだと言われています。
頼みの綱の中国からも、ロシアのウクライナ侵攻の正当性を疑われたことから、名目作りのために、自作自演でクレムリンのドローン爆撃を行った可能性もあるかもしれません。

 

クレムリンのドローン爆撃により、ロシアはどのように反撃するのか?

さて、私は素人なので、首謀者の議論は、各国の専門家の調査に任せるとして、重要な点についてコメントしたいと考えております。
今回の事件が①であったり、または②にもかかわらず、ロシアがこじつけで①と言い張ってしまうと、戦術核使用の理由ができあがってしまうように思います。

まずは戦術核兵器について簡単に説明します。
詳細は下記の記事をご覧ください。

 

www.cnn.co.jp

 

戦術核兵器とは、通常兵器として射距離が短い核兵器を攻撃に利用することです。
再三、ロシアは核兵器の使用の可能性に言及してきましたが、戦略核兵器を使用した場合、世界中からの批判が集中し、ロシア寄りとも言われる中国からも見放される可能性があるのではないかと思われます。
そのため、ロシアが核を利用するとしても戦術核兵器になりますが、破壊力や被害などはそれほど変わらないのではないかと言われています。

 

また、ロシアは、2020年に「核ドクトリン(ロシア核兵器の方針)」を発表していますので、こちらの条件に従って核兵器を使用すると考えられます。
なお、意外にロシアは冷静であり、この機密情報を公表したのは、越えてはならない「レッドライン」を示すことで、アメリカなどのNATOとの核戦争にならないために、抑止力として発表したと思われます。

 

■核ドクトリン

 ①敵国に弾道ミサイルを発射された場合
 ②敵国が核兵器大量破壊兵器を使用した場合
 ③重要な政府や軍の施設に対して、敵国が干渉を行った場合
 ④ロシアが侵略され国家の存立が危機的になった場合

 

個人的には今回の事件が①や③に該当したとみなされる可能性があるのではないかと不安に感じています。
クレムリン(大統領府)の攻撃は成功率が低いとは言え、成功していれば、政府機能は停止してしまった可能性があり、ロシアに戦術核の使用の言い訳を与えてしまったように思います。

 

とはいえ、プーチンは頭がおかしい人といった日本の報道とは異なり、個人的には、冷静に物事を考えていると思われ、戦術核兵器であっても使用してしまっては、中国やグローバルサウスなどからも、見放されるため、抑制的に動くのではないかと思います。

 

ただ、クレムリンのドローン攻撃は、衝撃的な事件のため、日本のテレビでも取り上げられましたが、実は、ロシアの各地でドローン攻撃が行われています。
ロシア南部の製油所がドローン攻撃により、石油製品備蓄施設が炎上し、ロシア南西部のブリャンスク州の鉄道でも爆発があり、貨物列車が脱線し、いずれもウクライナの関与が疑われています。
これはウクライナミンスク合意を破ったとロシアが主張したときと似ており、ロシアが過剰な行為に至らないのか不安を覚えます。

 

今後、ロシアが戦術核兵器を使用するのか予想することは難しい状況ではありますが、それは専門家に任せるとして、個人的に不安に感じるのは、結局、戦争はエスカレートしていくものだということです。
自由民主主義諸国の支援と、ゲリラ戦争によりウクライナが、防衛や一部の反転攻勢を成功させている一方、広大な国土を有するロシアは自給が可能な大国で、物量に任せ、戦争に兵士や資材を投入し、戦線が一進一退で膠着する中で、結局、両国の争いがエスカレートし、戦術核兵器の使用も視野に入ってしまうような状況となっています。
これ以上、エスカレートする前に、休戦協定を望みますが、両国の主張の隔たりの溝の深さを知っているため、難しいと諦めざるを得ませんが、それでも神に祈るように実現不可能と思われる休戦協定を願います。