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ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー④

戦車

※写真はイメージです

 

戦後、日本では軍事のことを話題に上げると、アレルギーのごとく過敏に反応し、考えることすらタブーとなっていました。
専守防衛しかできない日本では、戦争になった場合の戦術を考えることはできませんでした。
他国から侵略されたら、敵を押し戻し、増援部隊を送ってくる本国を攻めるのが正攻法ですが、日本は相手国に攻め込むことを禁止しており、地政学的な議論を行ってきませんでした。

 

戦争アレルギーの日本では、地政学的な議論を封印してきましたが、そんな日本にはロシアのウクライナ侵攻を理解するのは不可能と思われます。
アメリカの核の傘で安全を保障されている日本では、ロシアやウクライナの問題を考えることはできないでしょう。

 

ウクライナ地政学的な位置付けを振り返ってみましょう。

 

ユーラシア大陸全体から見ると、ヨーロッパは突き出した「半島」となっており、そのヨーロッパ半島の付け根が、東欧であり、ウクライナに当たります。
ヨーロッパ半島の付け根(東欧)が政治的に不安定になると、モンゴルの騎馬民族が内陸から攻め込んだように、ヨーロッパは脅威にさらされることになります。
また、敵国にヨーロッパ半島の付け根を占領されると、陸路ではどこにも出ていくことができなくなり、ヨーロッパの各国は狭い半島に閉じ込められることになります。
現代地政学の事実上の開祖のハルフォード・マッキンダーは、東欧を「ハートランド」と名付け、「東欧を制する者がハートランドを支配し、ハートランドを制する者が世界島を支配し、世界島を制する者が世界を支配する」と言っています。
ハートランドシルクロードの一部であった通り、陸上交通の要衝であり、世界を制するために、アレキサンダー大王も、ナポレオンも、ヒトラーも、ハートランド(東欧)を掌握しようとしました。

 

地政学上、東欧は最重要な地域のため、現在のウクライナが存在している地域は歴史上、繰り返し勢力争いが行われました。

 

9~12世紀にキエフ公国が誕生し、この地域に安定をもたらし、ウクライナ・ロシア文化の基礎となりましたが、13世紀になると、モンゴル帝国の侵攻によりキエフ公国が滅ぼされてしまいました。

その後、ポーランド・リトアニア共和国オーストリアハンガリー帝国、オスマン帝国ロシア・ツァーリ国など、様々な国によって支配されて分割されました。
17~18世紀にコサック・ヘーチマン国家が誕生しましたが、最終的にポーランドロシア帝国の間で分割されています。
ロシア革命後、ウクライナ民族自決運動が起こり、1917年、ウクライナ人民共和国が宣言されましたが、第二次世界大戦後、ウクライナウクライナソビエト社会主義共和国に合併され、国全体がソビエト連邦の一部となっています。
その後、ソビエト連邦の崩壊に伴って、やっと1991年にウクライナは独立を果たしています。

 

また、ウクライナでは、ウクライナ語が公用語となっていますが、いまだにロシア語も使われています。
東側はロシア語しか話せない住民もいて、首都キエフでも、仕事中はウクライナ語で話すが、自宅での会話はロシア語といった人もいます。
ウクライナ語には、ロシア語も、ポーランド語も混ざっていて、同じような単語がたくさんあります。

 

また、島国で同一人種の日本にはイメージしにくいですが、ウクライナ人(77.8%)、ロシア人(17.3%)、ベラルーシ人(0.6%)、モルドバ人、クリミア・タタール人ユダヤ人等の様々な人種が暮らしています。
また、ひとえにウクライナ人と言っても、コーカソイドイラン系スキタイ人サルマタイ人、東スラヴ系などと混血を重ねたことによって形成されたと考えられています。
ロシアも東スラブ系と言われており、2021年に「キエフ国際社会学研究所」がウクライナ国内で行った調査では、回答者の5人に2人が「ロシアに近い親類がいる」と答えたそうです。

 

以前にも書きましたが、こうした背景からウクライナとロシアは兄弟国と言えます。

 

歴史を振り返ると、様々な国家の支配を受けてきたウクライナ人はしばしば「歴史なき民」と形容されてきました。
時の為政者によって様々な文化の下に置かれることで、独自文化は薄れ、いくつかの文化の混ざり合ったモザイク国家として成り立ちました。

 

現在、ウクライナはロシアからの侵攻により、ナショナリズム一色に染まっていると、日本のニュースでは報道されています。
一般市民の女性も銃を取って、ロシアに立ち向かおうとしている映像が流れる等、愛国心を応援する報道が繰り返されています。
恐らくは民族や文化の背景からではなく、「やっと平和な国家を手に入れたのに、武力行使で平和を乱すロシアを許さない」といった気持ちでナショナリズムが台頭していると思われます。

 

まるで日本の報道は西側のプロパガンダのようで、ウクライナのすべての国民がナショナリズムに傾倒しているかのように報道していますが、個人的には疑問が残ります。

 

ウクライナには経済の問題があります。
1998年にロシアのデフォルトにより、ウクライナも経済危機に直面し、2008年に生じたリーマンショックにより、またもウクライナは経済の危機に陥りました。
欧米のIMF、もしくはロシアのどちらに支援を求めるのかで、ウクライナ国内は揺れていました。
残念ながら、経済的にはGDPで韓国よりも下で、第11位のロシアを頼るよりは、欧米の経済圏につく方がよいでしょう。

(申し訳ございません。本ブログではなるべく事実を書きたいと思っており、ウクライナは文化や民族的背景よりも、お金で国の方向性を決めたと書いてはいません)

 

日本では偏った報道がなされていますが、上記のとおり、ウクライナはモザイク国家であり、ドニエプル川を挟んで東ウクライナと西ウクライナでは文化や経済的背景などが異なると思われます。

他国の私が言うことではありませんが、ゼレンスキー大統領はウクライナの統一を理念としていますが、かなり難しいのではないかと考えております。

 

今回は上手く書けませんでしたが、西谷公明さんが分かり易くまとめてくださっていますので、紹介させて頂き、終わりたいと思います。

 

西谷公明さん(ウクライナ日本国大使館専門調査員)

n-relations.com

 

上記にリンクもありますが、いい記事ですね。

https://n-relations.com/pdfs/sekai_20220315.pdf