何でも言ってやろう

国や政治についてタブーなしに語っています。誰も見なくても、炎上しようとも。

日本の給与はなぜ上がらないのか?⑨

お金

※写真はイメージです


これまで、日本の給与はなぜ上がらないのかについて語ってきましたが、第9回目になります。
長いですが、まだまだ語り切れませんね。

 

さて、日本の給与を上げるために、私が言うまでもなく、当たり前ですが、日本企業と労働者の変革及び成長が必要です。
特に「地方・中小零細企業」を変革し、生産性向上や業務効率化を実現する必要があります。

 

とは言え、「地方・中小零細企業」はリソース(人・物・金)が不足していますので、変革を行うことが難しいと思われます。
変革のヒントとして、「キュウリ農家のAIによる自動選別装置」の事例を紹介させていただきます。
特殊な事例なので、こんなことは自分たちにはできないという意見があると思いますが、まずは内容をご覧ください。

 

agri.mynavi.jp

 

元々、組込系エンジニアであった小池誠さんは、家業を継ぐことになり、それまでの経験を生かし、農業のスマート化に取り組みました。
キュウリ農家の事例は、個人レベルでも、AIを活用してイノベーションができた事例としてもてはやされていますが、普通の農家では技術力がなく、このような取り組みは難しいと思われますので、これは一例と考えて頂ければ良いと考えております。
また、AIなどの目新しいデジタル技術を活用しなくても、業務を改善することができますし、ありふれたツールを活用して小さな改善を積み上げることも大切です。

 

GAFAなどのプラットフォーマーが世界経済を席巻していく中、日本でもDXによる変革が叫ばれています。
DXにより顧客体験(CX)が変革される言われていますが、Amazonで本を購入したり、iPhoneで電話したり、遠い異国のGAFAにより、以前とは、日本の私たちの生活すら変わりつつあります。
こうしたデジタルによる変革が続くと、今後、世界はどのように変容するのでしょうか。
将来のデジタル社会の変容について、筑波大学図書館情報メディア系准教授の落合陽一さんの記事を取り上げたいと思います。

 

ch.nicovideo.jp

 

落合陽一准教授はメディアアーティストとして、社会学的な側面から、将来のデジタル社会の姿を予言されていますが、世俗に生きる私は、この変革の予言を、自分のビジネスにどのように生かせるのか考えたいと思います。
落合陽一准教授は「デジタル発酵」という言葉で、地方で自然発生的にデジタルのプロダクトやサービスが生まれることを予言していますが、ビジネス上の重要なポイントとしては、中小零細企業個人事業主でも、費用を掛けずに、デジタル技術を活用し、
プロダクトやサービスを自然に生み出せるようになるといった点になります。

 

少し補足すると、近年、OSSオープンソースソフトウェア)と無料サービスが増え、お金を掛けずにデジタルを活用することができる状況になりつつあります。

 

OSSオープンソースソフトウェア)

OSSオープンソースソフトウェア)とはソースコードが公開されていて、誰でも無償で自由に利用できるソフトウェアのことです。 

 

OOSの代表格としては、Apacheソフトウェア財団が有名ですが、Apache HTTP Server(Webサーバ)を筆頭に、Tomcatアプリケーションサーバ)、Hadoop(ビックデータ)、Spark(ビックデータ)などをOSSとして提供しています。
最近、ビックデータがバズワードとして注目を浴びていますが、Hadoopによりビックデータを分散処理することが可能です。
また、非構造化・半構造化データ(Excelの列が定義されていないデータ)も管理できますので、IoTなどのセンサーの情報をそのままHadoopに保存して管理できます。
また、Hadoopは専門の技術者ではないと扱えない問題がありますが、Sparkの登場によって、PythonR言語SQLという分かり易い言語で、データを取り扱うことができるようになりました。

 

OSSにおいても、企業が利用する場合には一定のルールに則って利用する必要がありますが、Apache licenseは柔軟なライセンス条件になっており、企業でも活用し易いOSSと言われています。

なお、OSSは非常に有難い活動なのですが、Log4jのようなセキュリティの問題も発生しています。
セキュリティや不具合発生時の保守サポートが受けられないなどの課題はあります。

 

www.ipa.go.jp

無料サービス

Googleアプリを代表格として、一定の条件下(一部機能が利用できないなど)では、無料で利用できるサービスが増えています。
身近なものとしては、携帯アプリのゲームは有料アイテムを購入しなければ、無料で遊ぶことができます。
ビジネスで利用できるGoogleアプリをいくつか挙げたいと思います。

Googleアプリ
アプリ 概要 無料の制限
Gmail 言わずもがなのメールアプリ Googleアカウントとして15GBまで無料
Google meet 最大250人まで参加できるビデオ会議アプリ 会議の録画、ライブ配信、管理機能などは有料
Googleドライブ ファイルを複数の端末で共有できるクラウドストレージサービス Googleアカウントとして15GBまで無料
Googleマップ 訪問先の会社までナビゲーション API利用は別途有料
Googleドキュメント Wordのようなドキュメント作成 Googleアカウントとして15GBまで無料
Googleスプレッドシート Excelのような表計算 Googleアカウントとして15GBまで無料
Googleカレンダー カレンダーでスケジュール管理できる。会議調整も可能 すべて無料

 

まだまだ多数の無料のサービスがありますが、紹介しきれませんので、この辺にしておきたいと思います。
Googleドキュメントなどのアプリは、スマホでも操作でき、取引先との議事録を電車内でスマホで入力し、続きを帰社後にPCで追記することも可能です(スマホとPCが連動)。

 

このようにOSSや無料サービスの出現によって、デジタルの限界費用が限りなくゼロに近付いていますので、このようなツールやサービスを活用することによって、ソフトウェアライセンスの費用削減を行うこともできますし、また、デジタイゼーションとして新しいツールを試し、上手く活用できるようであれば、そのまま無料のまま活用したり、最低限の有料プランでコストを抑えて、社内で活用することもできます。


1995年に、Windows95のOSが発売され、PCの普及が広がりましたが、それでも当時は、PCは高価で購入するのはそれなりの決心が必要でした。
現在では、日常生活で利用するために、スマホを購入すると、便利な無料サービスを多数利用できるようになっています。
また、レノボやエイサーなどのPC自体も数万円で購入できるものもありますし、数千円でレンタルしているサービスもあります。
最近、日本はデジタル庁が新設され、DXに取り組まなければならないと言われていますが、すでにデジタルが当たり前に溢れかえっている世界に住んでいる私たちは、それらのツールを活用することで、酵母を入れれば自然に発酵して美味しい食品を作るように、自然発生的にデジタルのプロダクトやサービスが生まれるようになったのではないかというのが、落合陽一先生が考えている世界観だと思われます。

 

個人的には「デジタル発酵」の社会が出来上がるまででには、もう少し時間が掛かるのではないかと考えていますが、それよりもビジネスとして考えなければならない点としては、世界の動きよりも先行して、OSSや無料サービスをビジネスに活用する点ではないでしょうか。
ただ、OSSはセキュリティ、無料サービスは本格的な利用では追加費用が発生するなどの課題がありますので、全てのツールが業務に活用できわけではありませんが、中小企業、零細企業、個人事業主ではこれで十分だと言えるものも多数あります。

 

前述のキュウリ農家の小池誠さんは、AI処理にGoogleが開発したTensor Flowを活用しています。
Tensor Flowはオープンソースとして公開されており、Apache 2.0 license(ApacheOSS基準)に準拠しているため、誰でも無料で利用することができます。

また、現代ではインターネットでは情報が溢れ返っていますが、Tensor FlowとPythonの情報もご多分に漏れず、インターネットに無料で公開されています。
高価な書籍を買わなくても、誰でもある程度は勉強できる環境が整いつつあります。
Tensor Flowは少ないですが、Pythonについては無料のセミナーや勉強会も盛んに行われています。

 

小池誠さんのようなイノベーションは、自分たちで取り組もうと思っても技術力がないと難しいですが、コストや情報の側面では敷居が下がっていますので、努力すれば、手の届く距離に来ていると思います。
日常の業務で忙しい状況ではあると思いますが、熱意があるスタートアップ(ベンチャー企業)や個人事業主であれば、こうした無料及び低コストの技術を活用して、DXやデジタイゼーションに取り組み、誰もが変革を実現できる時代になりました。
また、日本のデジタル分野はまだ成熟していませんので、中小企業がイノベーションによりゲームチェンジを実現し、大企業の市場を奪い取る下剋上も可能かもしれません。

 

また、このような無料及び低コストの技術を活用した取組によって、個人の給与を上げることもできると思われます。
変革の取り組みにより、今の会社を変革して収益向上を実現し、結果的に給与を上げることができますし、また、個人でこのような取組を行ってその技術をアピールし、より高い年収の企業に転職することも可能と思われます。
小池誠さんは貴重な人材で、農機具メーカーがノウハウを欲しいと言って、仕組みごと買い取るかもしれませんし、SIerイノベーションの事例を啓蒙するコンサルタントとして採用するかもしれません。
2030年にはデジタル人材が45万人も不足すると言われていますので、これからチャンスが巡ってくるように思われます。

日銀・黒田総裁批判への批判

お金

※写真はイメージです

6月3日の参院予算委員会に出席した日銀・黒田総裁が「家計が値上げ許容度も高まってきている」と発言したことを発端として、テレビやSNSでは庶民の生活が苦しい中、値上げで生活が困窮すると不満が広がっています。
質疑応答でも、立憲民主党白眞勲議員が

「最近、黒田総裁は(スーパーで)食料品を買った際、以前と比べて、価格が上がったと感じるものはあったか」との質問に

「家内がやっておりますので。物価の動向を直接買うことによって感じているというほどではありません」と答弁したことに、

庶民の生活を分かっていないと批判が続出しています。

また、2021年度の黒田総裁の年間報酬は、およそ3,500万円で、金持ちには庶民の生活は分からないと、黒田総裁の退任論まで噴出してしまい、後日、黒田総裁は値上げ許容度について「発言が適切ではなかった」と火消しに追われる事態になっています。

 

news.yahoo.co.jp

 

さて、冷静に判断するためにも、これまでの黒田総裁の取り組みを振り返りましょう。

 

■黒田総裁の取り組みの振り返り

アベノミクスの一本目の矢として、黒田総裁は異次元の金融緩和に取り組みました。
これは賛否両論がありますが、日本経済という実験場でMMT(現代貨幣理論)を試しているという側面もあるように思われます。

 

実験結果としては、異次元緩和により、リーマンショック以降、円高方向が続いていましたが、円安方向に転じ、円安が追い風となり、輸出企業を中心として業績が大幅に改善しました。

 

また、黒田総裁就任前は給与は徐々に下がり続けていましたが、コロナの影響を除けば、微増するようになりました。

 

また、昨年(2021年)には、日経平均株価が30年半ぶりとなる3万円台を回復しました。

これは、日本企業の稼ぐ力が強まったことが一因だと思いますが、もちろん、日銀の異次元緩和が下支えしたと考えられます。

 

また、2%を目標としていた物価上昇率は、黒田総裁就任後にマイナスからプラスに転じ、2014年に1%台の半ばとなり、目標に届かないまでも、デフレ方向を改善することができたように思われます。
消費税率引き上げやコロナの影響もあって、物価上昇率が低い時期(マイナス)もありましたが、外部要因がなければプラスに転じたと判断しても、差し支えないように思われます。

 

また、黒田総裁の就任前に、4%台だった完全失業率は、コロナ禍前の2019年に2.2%にまで低下して改善しました。

 

■現状(2022年5月)の日本経済の状況

私は経済の専門家ではありませんので、民間調査機関の経済見通し(2022年5月)を紹介します。

 

www.dlri.co.jp

 

サマリーとしては、原油価格上昇やロシアのウクライナ侵攻など、外部環境が悪化する中、WITHコロナへのシフトにより、個人消費の持ち直しが見込め、2022年度のGDP成長率は、前年度比+2.2%と予想されると言われています。
実際、足元でも設備投資は持ち直しており、これから下振れる可能性も指摘されていますが、回復を維持する見方をしている専門家もいます。

また、足元で個人消費は持ち直していましたが、4月の値上げにより、上昇が抑えられる形になりました。
ただ、今後の予測としても個人消費がマイナスになることはないと見込まれていて、値上がり要因よりも、WITHコロナにシフトすることで、個人消費の持ち直しによる影響が下支えるすると考えられてます。

 

日本銀行ができること

基本的な話になりますが、中央銀行としての日本銀行の役割とは何でしょうか。

 

いくつかありますが、主な役割としては、お金を発行し、市場に流通させることです。

日銀がどのように発行したお金を流通させているかというと、いくつかの方法がありますが、現在、金融市場の調節に利用されている主な方法は、銀行からの国債の買い入れになります。
銀行からの国債を買い入れ、市場にお金をばら撒くことによって、企業への融資を促進し、設備投資につなげ、生産性向上や新たな事業の創出を支援しています。

 

■個別論点

テレビのニュースでは町中の買い物中の主婦やスーパー経営者が黒田総裁の発言に眉をひそめ、批判的なコメントを行っていますが、本件に関して、ここまでが議論の前提として必要な知識になります。
厳しいことを申し上げますが、上記のことを理解していない人は、日本国民を代表した顔をしてコメントすることは控えるべきと思います。
言い過ぎかもしれませんね、謝罪しておきます。

 

さて、個別の論点について下記にコメントします。

 

■黒田総裁は普段スーパーに行かない
立憲民主党白眞勲議員が、黒田総裁が普段スーパーに行っていないのではないかと指摘しましたが、日銀は、恐らく総務省が統計から算出している物価上昇率で物価を分析しています。
実は、物価上昇率の統計を集めるときには、調査員がスーパーなどに訪問して、ウォッチ対象の商品の値段を記録しています。
黒田総裁はもちろん有能な方なので、他の高度な仕事をするべきで、スーパーに行ってすべての品目をチェックするべきではありません。
そのような雑務に時間を取られてしまっては、取り組むべき仕事がおざなりになりますので、それこそ日本経済にとって有害以外の何物でもありません。

 

参議院比例代表で、自分の名前で票を集めて当選したわけではない白眞勲議員が、
経済の専門家ではないにも拘わらず、参議院選挙前のパフォーマンスとして次元の違う指摘をするのは、個人的には問題があるように思われます。
私の個人的な思いではありますが、参議院選挙が迫っていますが、比例代表立憲民主党には投票しないようにしたいと考えております。
(日本では自身の投票行動を語らないことが正しいと言われていますが、あえて公言します)

 

■値上げ許容度
日銀・黒田総裁の「家計が値上げ許容度も高まってきている」との発言に批判が殺到しており、SNS上には「#値上げ受け入れてません」というハッシュタグも登場し、釈明に追われる状況となっています。

 

日銀・黒田総裁の値上げ許容度が高まっていると判断した統計は、東京大学の渡辺努教授が、日本を含む5カ国を対象に定期的に行っている家計の調査が元になっています。

 

〇質問
 馴染みの店で、馴染みの商品の値段が10%上がったときにどうするか?

〇2021年8月
 ・その店でそのまま買うという人:43%
 ・他店に移るという人:57%

〇2022年4月
 ・その店でそのまま買うという人:56%
 ・他店に移るという人:44%

 

2021年では他店に移る人の方が多かったのですが、今年(2022年)の調査では10ポイント以上増加し、その店でそのまま買うという人の方が多くなっています。
このアンケート通りであれば、「値上げ許容度」は高くなっていると言えるとは思われます。

ただ、各専門家が指摘している通り、このアンケートだけで「値上げ許容度」を測定するには、論拠して弱い統計情報ではあると思います。

この点は、黒田総裁も認めており、「1つの有力なアンケート調査だ」、「1つの統計を強調しすぎたかもしれない」とも発言しております。


また、ベアによる雇用者総所得の増大で、値上げ許容度が上昇しているという別の調査結果もありますので、このアンケートだけで「値上げ許容度」が高くなっているとは言っておりません。

 

また、黒田総裁は強制貯蓄という言い方をしていますが、コロナ禍により貯蓄が増加しています。
2021年の総務省の家計調査報告によると、2人以上の世帯の平均貯蓄は5%増の1,880万円で、2002年以降で過去最高となっています。
1,880万円の貯蓄がある世帯は、5円、10円の値上がりは許容できるように思われます。
ちなみに、有価証券による貯蓄が伸びており、庶民の中でも、NISAなどの制度を活用した投資が広まっていると考えられます。

 

また、4月の値上げラッシュの主な要因としては、石油価格が高騰したことで、輸送コストや製造原価が増えたため、商品の価格に転嫁せざるをえなかった状況になります。
石油価格が高騰した原因としては、主要国がWITHコロナにシフトする中で、石油需要が急増したのだと考えられます。
今後、ロシアからの石油供給が止まる不安要素もありますが、コロナのリベンジ消費が落ち着けば、原油価格も安定してくるように思われます。
また、利下げにより石油価格の高騰による弊害を和らげることはできますが、効果が薄い点と、また、石油という1つの製品だけのために利下げを行う必要があるのかは疑問があります。

 

■円安

2022年3月からの円安の進行により、原材料の輸入コストが増加し、輸出企業以外の製造業の業績に悪影響を与えています。

 

前述で、円安のメリットのみを述べましたが、円安にも、円高にも、メリット・デメリットがあり、急激な為替相場の変動には問題があります。
円安は輸出企業の業績を押し上げる一方、原材料費の高騰により、製造業の製造原価を増大させ、利益を低下させます。
円高はその逆になります。
昨今、生産工場の海外移転により、円高の影響を受けにくくなっていると言われていますが、今のところ総論としては、円高が日本経済に及ぼす悪影響の方が大きいと言われています。

 

もちろん、黒田総裁も為替相場の動向は注視しており、3月からの円安に関して「かなり急な為替変動だ」のコメントを残しています。
恐らく、これ以上の円安が続けば、日本政府次第ではありますが、為替介入のコメントを行うと思われます。
為替(株価も含む)は少し先のトレンドを見て動きますので、黒田総裁が「為替介入」と口にしただけで、円売りが抑制され、円買いが増加することになります。
また、それでも止まらなければ、本当に為替介入に踏み切る可能性もあります。
利上げの議論が噴出していますが、段階がありますので、まずは為替介入ではないかと思われます。
市場関係は為替介入は140円なのか、145円なのかと、今か今かと待ち受けているように思われます。

 

円安による原材料価格の弊害が製造業の業績を悪化させているため、立件民主党の江田委員などの野党が、異次元緩和の出口戦略(利上げにシフトし、円安を是正)について黒田総裁に詰め寄った質問をしています。
野党も判っているはずですが、日銀総裁の言葉は非常に重いものがあります。
前述のとおり、日銀総裁の言葉だけで市場が動きますので、安易に出口戦略を、いつ頃行うのかなどは口にすることはできません。
秘密裏に、物価上昇率が5%を超えたら利上げに踏み切ろうなどと、異次元緩和の出口戦略を考えてはいると思われますが、経済が詳しくない庶民の安心させるために、出口戦略のことを説明することは日銀総裁の役割ではなく、政府の役割にように思われます。
そもそも野党は、答えられない人に聞いているので、政治的なパフォーマンスであり、本当に答えを得ようとしていないように思われます。

 

スタグフレーション

日本経済は、1990年代半ばから続くデフレを脱却するために、アベノミクスの一本の矢として、2%の物価上昇率を目指して、ゼロ金利政策を行いました。
日本経済にとってデフレ脱却は、必達の目標になりますので、今回の値上げによる物価上昇は、2.7%のため、許容範囲だと思いますが、昨今、経済学者の間でも、日本は悪い物価上昇、いわゆるスタグフレーションだと言われています。

スタグフレーションとは、不況で賃金が上がらないにもかかわらず、物価が上昇するという厳しい経済状態で、「スタグネーション」と「インフレーション」を組合わせた合成語になります。

 

円安進行を止めるために、諸外国が利下げにシフトする中、日本は利下げしなくても良いのかという議論があります。
欧州は7%程度、アメリカは8%程度の物価上昇率となっているため、インフレを抑えるため、金利引上げにシフトせざるをえない状況です。
日本では急激な物価上昇とニュースで騒ぎになっていますが、4月の各社の一斉値上げでも2.7%程度で、また、欧州と比較すると、たいしたインフレではないように思われます。
ロシアのウクライナ侵攻による値上げを控えていますが、その要因がなければ物価の上昇は一服するように思われます。
黒田総裁も物価上昇率の2%が安定的な状況となれば、出口戦略を検討すると言っていますので、この物価上昇が継続するようなことがあれば、金利引上げにシフトすると考えられます。

 

また、前述のとおり、日銀ができることは、お金を市場にばら撒くのか、抑制するのかしかありません。
お金をばら撒いて、物価を上昇させることはできますが、直接庶民の給料を上げることはできません。
市場にお金をばら撒いているため、銀行は既存顧客だけでは資金が余ってしまい、新たな投資先を探していますし、スタートアップ(ベンチャー)企業にも資金が回るようになりました。
中小企業では生産性向上やDX補助金がありますので、その資金を元手に、設備投資や人材確保を行って、生産性向上や新規ビジネス創出に取り組めば良いのですが、中小企業にコアコンピタンス(強み)がなく、成長できず、給与も上がっていません。
一方で大企業ではベースアップも増えている状況もありますので、当たり前ではありますが、給与が上がらないのは、単純に、個々の成長できていない企業の問題と言えます。

 

■日本の異常な価格に対する反応

日本の消費者は、値上げに関して非常にうるさいと言われています。

 

2016年4月、赤城乳業は25年ぶりに、アイスの「ガリガリ君」の価格を60円から70円に値上げしました。
当時、日経新聞に全面広告と、60秒のテレビCMを放送し、会長・社長をはじめ社員が頭を下げて、消費者に対して謝罪しました。
ニューヨーク・タイムズは、風変わりな東方島国の状況を、「棒アイス値上げで日本国民に謝罪」と題して1面で報じました。
「一般的に他の国ではコスト高による10円程度の値上げであれば、消費者の理解が得られるものだが、デフレ下の日本では10円程度の値上げもためらわれる」と「デフレの象徴」として紹介されました。
ちなみに、新聞広告やCMの効果なのか、値上げ以降、ガリガリ君の売り上げはむしろ10%増えたと言われています。
一例だけ取り上げても意味はないですが、テレビで町中の主婦から訊く消費者心理と、実際の消費者行動には乖離があるように思われます。


このように値上げに過剰に反応する国民なので、町中の主婦のコメントで判断するのではなく、統計データから値上げが許容できるのか冷静に分析する必要があります。
また、携帯電話料金が何千円も値下がりして、家計の負担を和らげている側面もありますので、それも含めて、本当に5円、10円の値上がりを許容できないのか、冷静に分析する必要があります。

 

■スーパーアキダイ・秋葉弘道社長のコメント

秋葉弘道社長は、スーパーアキダイをわずか一代で従業員200人を抱える企業へと成長させた敏腕社長です。
スーパーアキダイは生鮮食品を中心に、激安で販売するスーパーとして人気があります。
秋葉社長は昼食やトイレに行く時間も惜しんで、お客様のために頑張る努力家です。
最近、テレビではコメンテーターのように社会問題をコメントするようになりました。
本件に関しては下記のように語っています。

「5円、10円の値上がりでも皆、敏感になっている。
受け入れているわけではなく、買わなければ生活ができない」

スーパーアキダイは激安で有名なため、訪れるお客さんは、5円、10円の値上がりでも敏感な顧客層が集まっていますので、少しの値上げでもスーパーアキダイの売上に影響します。
また、経営方針が薄利多売になりますので、仕入価格が少しでも上がると、スーパー側で利益を削ることが難しいので、価格に転嫁せざるを得ず、原価高騰には過敏になっていると思われます。
そういった意味では、値上げに過敏な人たちがどう思うのかという参考情報にはなりますが、このコメントが日本の消費者全員を代表した意見のように、テレビが報道するのは誤っていると思います。
また、秋葉社長には国民を代表した意見を言った意図がないようにも思われますので、テレビの切り取り方が、秋葉社長に失礼であるように思われます。

 

■対策はどうするべきなのか?

円安による原材料価格の高騰が、製造業の業績を悪化させているため、日銀は利上げに踏み切ればよいでしょうか?

利上げに踏み切る場合、日銀は国債の買い入れを減らし、市場に出回っているお金を減らしますので、これまで資金が余っていた銀行を中心に、企業に積極的な融資を行ってきましたが、融資を控えることになり、各企業の資金が不足し成長が止まることなります。
足元で設備投資が持ち直してきていたのに、腰砕けになってしまい、中小企業やスタートアップなどの成長が遅れ、景気は冷え込み、給与も下がってしまうと考えられます。

 

また、日本は、財政の1/3を国債で賄っている借金大国ですが、これだけ国債を発行しても、日本国が破綻しない理由の1つとして、日銀が大量の国債を引き受けている側面があります。
一説には、日銀は国の銀行なので、日銀が国債を購入した場合、返さなくて良く、いくらでも借金できるのだとも言われています。
コロナ化で大盤振る舞いの財政が続いていましたが、日銀が国債の購入を減らしてしまった場合は、政府は緊縮財政に取り組まないといけなくなりますので、それにより補助金や研究開発費が抑制され、中小企業などの支援がなくなります。

 

経済専門家の一部では、このままゼロ金利政策を続けても、原材料価格の高騰により製造業の業績が悪化し、利上げにシフトしても、投資が抑制されて、景気が落ち込むため、どちらの選択肢にも課題があり、日銀は袋小路に陥っているのではないかという指摘があります。
確かにそれは正しいと考えらて、これだけゼロ金利政策を行って企業への投資を促していても、新たな産業やサービスなどが生まれないのは、コアコンピタンスを持たず、新しい発想のできる社員がいない古き中小企業が生き永らえていることが問題のように思われます。
GAFAを中心とする新たな企業がグローバル経済を席巻するようになりましたが、日本も同様に古き企業は再編・整理し、スタートアップなどの新たな企業が成長する必要がありますが、日本政府の中小企業優遇政策により古き企業が守られており、企業の新陳代謝が進みません。
日銀は金をばら撒くか、抑制するかしかできませんので、庶民の暮らしを良くするためには、黒田総裁を糾弾しても意味はなく、当たり前ですが、各企業が努力して成長を成し遂げ、業績を拡大する必要があります。

日本の給与はなぜ上がらないのか?⑧

お金

※写真はイメージです

引き続き、「地方・中小零細企業」の給与向上を検討したいと思いますが、今回は「何でも言ってやろう」というブログのタイトルに相応しく、厳しい内容を書かざるを得ません。
不快な想いをする人もいると思われますので、先に謝罪しておきます。
申し訳ございません。

 

さて、前回と同じデービッド・アトキンソンさんの記事の引用になりますが、コアコンピタンスを有していない中小零細企業が、日本の生産性が低く、給与が上がらない一因になってしまっているように思われます。

合理的な意見過ぎますが、スタートアップ(ベンチャー企業)など、コアコンピタンスを有している企業はその強みを生かしてマルチチャネルによるビジネスを展開し、投資を集め、企業規模を拡大し、コアコンピタンスを有していない企業は吸収合併により編成を進め、または赤字が続く場合は、安易に再生は行わず、整理を行い、市場に人材を流出させて、必要に応じて、国や地方自治体による職業訓練を実施し、人材を育成し、人手不足で喘いでいる企業に再就職した方が良いと考えております。

 

diamond.jp

 

2019年に、国税庁が公表した「国税庁統計法人税表」によれば、法人の7割近くが赤字決算となっています。
中小企業の中には、税金の支払を減らすために、決算書をわざと赤字にして欠損金を出している会社もあると言われています。
例えば、中古ベンツは節税に利用できると言われており、中古品のため、耐用年数が短く、一気に費用計上ができるため、利益調整に最適です。
また、償却後、簿価がゼロ円になっても、中古市場では価値が下がりませんので、本業が上手くいかない際の隠し手(売却して収益を上げる)として利用できます。

 

こうしたテクニック以外にも、中小企業は国から税制優遇を受けています。

コアコンピタンスを持たず、赤字すれすれの企業が、このような税制優遇により延命している現実があります。

 

■交際費課税の特例
・交際費は800万円までの交際費等の全額損金算入が認められています。

 

⇒取引先や従業員の基準が曖昧であり、場合によっては家族・友達との飲食や弁当代なども経費計上可能なため、平等性に問題があると思われます。

 

■欠損金の繰越控除
青色申告書を提出した事業年度において欠損金(税務上の赤字)が生じた場合には、その事業年度の後の事業年度以降に繰り越して、後の事業年度の所得から欠損金を控除することで、法人税の負担を軽減できます。
・また、欠損金の繰戻還付が認められており、遡って前年の法人税減税も欠損金により法人税の負担を軽減できます。

 

⇒何年かに1回大型投資を行って赤字決算にしておけば、欠損金の繰越もしくは繰戻還付によって、法人税の負担を軽減できます。

 

■中小企業投資促進税制
・一定の機械装置等の対象設備を取得や製作などした場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除を行えます。

 

⇒決算月に機械を購入するなどの対策で、費用計上により節税を行うことができます。

 

■少額減価償却資産の特例
取得価額が30万円未満の少額減価償却資産であれば、即時にその全額を経費として算入することができます。

 

⇒決算月に備品を購入するなどの対策で、一括費用計上により節税を行うことができます。

 

■事業承継税制
・株式の贈与・相続に掛かる税額全てについて納税猶予を行うことができ、その後も、株式を売らなければ「納税猶予」を継続することができ、次の後継者にこの制度を使って贈与することで、猶予されていた税金が免除となります。
また、先代経営者の死亡による継承の場合、納税が免除されます。
・将来、事業を売却・廃業する際に株価が下落していた場合には、その株価を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免することができます。

 

⇒つまりは、一般的な家族は亡くなった親族が投資で株式を持っていても相続税を支払う必要がありますが、家族経営の親族の間であれば相続税を逃れる方法があるということです。
親族に限らず、優秀な部下に代表取締役社長を任せれば良いように思われますが、税逃れのために、無能な親族が代表取締役社長に就任することを促してしまいます。
優秀な経営者であれば、後継者育成は常に取り組むべき仕事として認識しているはずですので、高齢になるまで何もして来なかった無能な経営者が運営する会社に、支援は不要と思われます。

 

■消費税の特例
消費税の納税について6か月における課税売上高が1,000万円以下である場合、納税義務が免除されます。

 

⇒スタートアップでまだ売上が少なく、これから成長する企業は支援する必要がありますが、恒常的に年間売上高2,000万円程度の企業を支援する必要がありますでしょうか。
個人では12円のうまい棒を買っても消費税を支払うのに、その預けたお金をお店が懐に入れるのは、税制優遇ではなく、補助金のような気がします。

 

企業全体の99.7%を占める中小零細企業は、大企業よりも生産性が低いと言われています。
生産性向上のため、中小企業の合併・再編が必要と思われますが、国や政府は「雇用維持」という名目で、中小企業優遇策を取り続け、市場から淘汰されるべきゾンビ企業を生き永らえさせています。
外資企業やスタートアップなどの税制に詳しくない企業は、割を食ってたくさんの税金を払い、長らく、地元の税理士と相談を重ねてきた老舗の中小零細企業は、税金を抑えることができるのは、企業の新陳代謝を遅らせているように思います。
中小零細企業の改革を促進するため、不必要な優遇税制は廃止し、平等な環境で、企業が競い合うようにするべきと思われます。

 

■大企業の優遇税制

実は、日本では大企業の法人税率が低い現状があります。
一般に諸外国と比較すると、日本の法人税は高いと言われていますが、それは名目上の税率であって、多くの企業は税制を上手く活用し、法人実効税率(実際に課税される税率)は低く抑えている現状があります。
日本の特有の税制に詳しい経営者だけが優遇されると、日本へ外資企業が参入しづらくなりますので、改善が必要と思われます。

 

大企業で税制改正した方が良い点の1つとしては、「受取配当等の益金不算入制度」になります。
これは子会社が儲けを出したときには法人税を支払うため、親会社が子会社から配当金を受け取る際、受取配当金を益金不算入(課税対象外の儲け)として処理することができます。
サヨクは、この制度自体が大企業の税金逃れだと問題視していますが、例えば、成人した息子が働いてお金を稼いだ時には所得税が掛かりますが、定年退職した親に給与の一部を生活費としてあげた場合に、さらに所得税が掛かるのは不合理だと思います。
こうした二重課税を回避するための特例になりますので、税制そのものは良いと考えています。

 

問題点は、この税制が海外子会社にも適用される点で、海外企業の場合、現地の国で課税されていない場合でも、同様に95%を益金不算入にすることができます。
日本の税制を基準にするという考え方からのようですが、それだと実際にキャッシュアウトしていない場合でも、益金不算入のメリットを享受できるため、日本国内に子会社を作るよりも、法人税が発生しない海外に子会社を作る方が税制上はメリットがあり、企業が海外に流出する可能性が考えられます。
従来の制度では、外国で納めた税額のみ控除し、日本の税率で計算した税額との差額を納税していましたが、平等性を考えると従来の制度に戻すべきと思われます。

 

今回は、日本の税制を語ってきましたが、中小企業向けの税制も、大企業向けの税制(大企業が良く利用する税制)のいずれも問題があると思います。
複雑な税制により、税理士の仕事を増やして儲けさせるためだけの税制になっていると思われます。
弱者救済の名の下に、肥大化した税制は、すでに弱者のためではなく、日本の税制に詳しい人だけが得をする仕組みになってしまっています。
不平等をなくすために不平等を生み出している税制を撤廃し、税制の簡素化により、それなりの競争社会に戻し、企業の成長を促す必要があるように思われます。

オンキヨーの終焉とこれからの音楽について②

スピーカー

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前回、2022年5月13日に「オンキヨーホームエンターテイメント」が破産したことをきっかけにして、これまでのオンキヨーの振り返りや音楽業界について語りました。
今回は、オンキヨーの倒産と関連した話題として、パイオニアギブソンについて補足したいと思います。

 

■パイオニア
イオニアは、1938年に創業して80年程度、老舗の音響機器メーカーとして多くの人々に親しまれてきました。
初の純国産ダイナミックスピーカーを開発して起業し、スピーカーの技術力が評価され、オーディオ御三家と呼ばれて、オーディオファンからは「スピーカーのパイオニア」で親しまれていました。

 

1970年代末に、パイオニアは、ビデオディスク規格競争においてレーザーディスク陣営を勝利に導き、レーザーディスクにより一世を風靡しました。
令和の時代では、レーザーディスクは余り流行らなかったように思われていますが、実は、当時、カラオケを中心に1,000億円を超える出荷金額を記録し、パイオニアの業績に大きく貢献しました。

 

また、パイオニアは、多くの世界初の商品を手掛けましたが、その中でも、1990年に発売したGPS搭載のカーナビ「カロッツェリア」が有名です。
カロッツェリア」は高音質でもあったことから、車で大音量で音楽を楽しむ人たちに好まれていました。
個人的にも、若気の至りですが、「カロッツェリア」でハードロックを爆音で聴きながら、ドライブを楽しみ、大変お世話になりました。

 

その後、2000年代にはプラズマテレビなどの家電で攻勢をかけましたが、液晶テレビとの価格競争が激化し、経営が苦しくなっていきます。
また、プラズマテレビには巨額投資が必要で、資金も続かず、2008年にプラズマテレビは自社生産からの撤退を発表し、テレビ事業からも完全撤退しました。

 

その後、2015年にオンキヨーへホームAV機器を売却し、カーナビなどの自動車事業への集中を図ることで、再起を目指しました。
社運をかけた自動車向け機器への集中でしたが、スマホタブレットをカーナビとして代用する人が増え、市販カーナビの需要が縮小し、販売が落ち込みました。
また、ディスプレイオーディオ(ナビ機能はスマホを代用)も普及し、販売単価が下がり、カーナビ市場は価格競争が激化しました。


2018年、自動車向け事業は55億円の営業赤字に転落し、2019年に上場廃止となり、自力再建は難しいと判断し、香港の投資ファンド「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」の完全子会社となって再建を目指すことになりました。

 

ギブソン
さて、ロックファンの間では、ギブソンと言えば、誰でも欲しがる有名なギターメーカーになります。
エルビス・プレスリージョン・レノン、レッドツェペリンのジミー・ペイジ、ガンズ・アンド・ローゼスのスラッシュなど、数多くの有名ミュージシャンに愛されたギターのメーカーであるギブソンが、2018年に事実上の経営破綻となりました。

 

経営破綻に至った原因としては、ギブソンのギター事業は黒字でしたが、経営の多角化のため、各社を買収し、新たなビジネスとして家電事業に乗り出しましたが、ギブソンには新分野でのノウハウがなく、シナジー効果を出せず、経営難に陥ったと言われています。

実は、各国の企業買収の際、「オンキヨー」も買収していますが、2017年にギブソンが経営難に陥ると、オンキヨーの株式を売却し、オンキヨー側では減損損失を計上することになりました。

 

ちなみに、経営破綻となった2018年に、コールバーグ・クラビス・ロバーツ傘下となり、ギブソンの再建が進められていますので、ギブソンブランドは存続してします。

 

音楽業界の中で、リスペクトを集めていたギブソンオンキヨーの両社ともに、経営破綻した理由としては、この現代では、音楽の楽しみ方が変わったのだと思われます。
コロナ禍もあり、自宅でギターを演奏する人が増えていると言われていますが、お手頃価格のギターを購入するケースが多く、また、ギター代よりもレッスン代により費用を掛けていると言われています(モノからコトへのシフト)。
本格的なギターの音色を楽しむよりも、YouTubeなどに演奏をアップロードしてコミュニケーションを楽しむ時代になったのだと思われます。
現代の若者の音楽の楽しみ方が変わったことは、より音楽が身近になるということだと思いますので、歓迎すべきことだと思います。
従来のレコードやCDを大量に生産後、強行スケジュールで各地でライブを行ってプロモーションするビジネスモデルは、商業的成功に苦しんだニルヴァーナカート・コバーンの葛藤も生み出し、マイケル・ジャクソンから多感な少年時代を奪いましたので、全てが良かったわけではないと思います。
個人でパソコンにて音楽制作できる時代になり、インディーズのすそ野が広がりましたので、ショー・ビジネス界と切り離した純粋な音楽が出てくることを期待しています。

 

――とは言え、昭和生まれの私は、時代の変革に一抹の淋しさを感じてしまいます。
グランジ、裏原系、ブリットポップオルタナティヴ・ロックなどのブームは、良くも悪くもその時代の音を形作っていましたが、こうしたムーブメントはもう来ないのだろうと思います(これからは、個々人が自分が好きなジャンルの音楽を制作)。

さて、最後に、ビジネス視点での考察を行っておきます。現代の音楽の楽しみ方の変革に追い付いていけなくなったのが、オンキヨーギブソンの破綻につながったと思いますが、オンキヨーは若者や環境の変化に対応するため、両利きの経営に取り組み、新たなサービスで活路を見出そうとしていました。
(両利きの経営の詳細については、「日本の給与はなぜ上がらないのか④」をご参照)
両利きの経営を行っていたものの、肝心な既存ビジネスが先細り、新規ビジネスも国内需要と合わず、グローバル市場に攻め込む資本力もなく、倒産する結果となりました。

 

日本では、他にもドコモがiモードなど、イノベーティブなサービスを先行者として行っていましたが、後発のGAFAによって淘汰されました。
激動の令和時代の中で、企業が存続し発展するためには、両利きの経営は必須条件になりますが、さらに、プラットフォーマーとなるために、グローバル化への対応と、経営統合や企業買収などによる規模の拡大が必要なのでしょう。
サービスを始めたばかりでシェアが低いながらも、イノベーティブなサービスで努力している企業が、後発の資本の力でものを言わせる企業に淘汰されていくのは、淋しい思いがします。
近年、GAFAのような企業を生み出すために、日本企業は変わらないといけないと言われていますが、初めはイノベーティブな企業であったGAFAが、ただの巨大財閥になり果て、大資本によりスタートアップの買い占めを行い、市場を占有しようとしているように見えます。
GAFAには倫理的な問題があるようにも思いますので、お手本とするのが正しいのかは一抹の疑問を感じえません。
締めとして、日本ではこの点の議論が少ない気がしますが、「GAFAを標的にした反トラスト法改正案、米下院議員らが発表」の記事を引用して終わりたいと思います。

 

japan.cnet.com

 

オンキヨーの終焉とこれからの音楽について①

スピーカー

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2022年3月28日、老舗のオーディオ機器メーカー「オンキヨーホームエンターテイメント」の連結子会社であるオンキヨーサウンドオンキヨーマーケティングが、大阪地方裁判所へ自己破産を申請して倒産しました。
また、2022年5月13日、親会社の「オンキヨーホームエンターテイメント」も、大阪地裁に破産手続き開始の申し立てを行い、同日付で破産手続開始決定を受けました。
オンキヨーブランドの歴史は、1946年9月の誕生から75年7か月の歴史に幕を閉じることとなり、同じくAV機器ブランドとしてのパイオニアブランドの歴史も、1938年の誕生から84年の歴史に幕を閉じることとなりました。

 

念のため、補足しておくと、2014年に、オンキヨーはパイオニア保有するパイオニアホームエレクトロニクスの全株式を譲受し、パイオニアのAV事業を吸収分割により承継させ、両社のホームAV事業を統合しています。
今回の倒産で、結果的に日本の老舗のオーディオ機器ブランド「オンキヨー・パイオニア」の2つの歴史に幕を閉じたことになります。

 

オンキヨーのスピーカーは、繊細でクリアな高音域を奏でることができ、世界中で多くの愛好家が生まれるなど高い技術力に定評がありました。
イオニアのスピーカーは、音質の高さが有名で、世界にも名前を広めたメーカーで、低音から高音までバランス良く鳴らすことができます。
いずれも、スピーカーの技術力が高く、世界中からリスペクトを集めていた会社ですが、今回の倒産で歴史に幕を閉じる結果となりました。

 

実は、長年、私はオンキヨーのファンで、色んな商品を購入していました。
高音質な機器は高価なものが多いので、リーズナブルな商品を中心に購入していましたが、それでも他のメーカー以上の音質で音楽を聴くことができました。
オンキヨーギブソン(後で書きます)の経営破綻は、時代の流れによるものではありますが、非常に淋しい思いをしています。
その思いを胸に抱きつつ、少し各社の過去を振り返りたいと思います。

 

オンキヨー
オンキヨーはジャズやクラッシック向けの高級スピーカーを販売していた企業と思われていますが、早い段階からデジタル分野に参入し、先進的なサービスの提供に積極的に取り組んでいました。

 

2005年という早い段階から、音楽配信サイト「e-onkyo music」を設立し、ハイレゾのサービスの提供を開始しました。
当初、10曲のみだったe-onkyo musicは、後に国内最大級のハイレゾ音源配信サイトとして成長します。

 

また、2009年にも、ソーテックを買収し、原音レベルの音楽記録・再生を実現するパソコン等、コアな音楽ファン向けの商品を提供していましたが、大ヒットには結びつきませんでした。

 

また、2013年に、スマホアプリ「HF Player」をリリースし、充実したイコライザーにより、再生能力の低いスマホでも、e-onkyo musicから曲をダウンロードし、割と良いイヤフォンを使えば、それなりの音質で楽しむことができるようになりました。

念のため、知らない人に補足をしておくと、スマホをPC接続し、自分が所有しているmp3ファイルをコピーすると、アプリ「HF Player」でmp3を楽しむことができます。

 

イオニアホームAV事業との統合後、共同開発により、2015年に第一弾のデジタルオーディオプレーヤー(DAP)を発売します。
高品質なアンプを使い、ハイレゾに対応するとともに、mp3ですら良い音で再生でき、玄人から一般ユーザーまで、誰もがその音質を認める商品でした。

 

■デジタルオーディオプレーヤー(DAP)

日本では、mp3プレイヤーとしてiPodが流行しましたが、ちょうど今月(2022年5月)に生産中止となり、現在では、iPhoneで音楽を聴く人が増えているのだと思われます。
iPodの洗練されたデザインにより日本では大ヒット商品になりましたが、iPodiPhoneのいずれも音質が悪く、高音域をカットされた劣化したmp3やストリーミングを聴くのであれば、問題ないかもしれませんが、本格的に音楽にこだわって聴くには不向きでした。

 

オンキヨ―が発売したDAPは、前述のとおり、高音質で再生可能ですが、それだけではなく、SIM搭載によりネットに接続でき、各種アプリも利用でき、スマホとしても販売されていました。
実際にはスマホとしての機能のニーズがなく、価格が高いため、販売数を大きく伸ばすことができませんでした。

 

CMやお洒落なデザインにより、日本ではiPodが市場を席捲しました。
iPodは音質が悪い弱点があったものの、カラオケが流行っている通り、日本人はボーカルのメロディーがクリアに聴ければ満足であり、それよりも手ごろな価格で購入できる方が、顧客を惹きつけたと考えられます。
また、良い音質で聴くためには、音楽プレイヤーよりも、まずイヤフォンの方が重要で、高品質のイヤフォンを利用しているコアな音楽ファン以外には、音楽プレイヤーの音質の違いは伝わらかったことも、オンキヨーの高価なDAPが販売数を延ばすことができなかった理由と思われます。

 

ハイレゾ
現在、日本では、ハイレゾが流行らないのではないかと言われています。

 

ハイレゾとはサンプリング周波数が44.1kHz(CD)以上の音源で、CDと比べて約6倍ほどの情報量のため、高品質な音質で音楽を再生できます。
ダウンロードやストリーミングで数多く採用されているmp3は高音域がカットされてしまい、音がかなり悪くなってしまいますが、ハイレゾなら高い音質で音楽を楽しめます。
音楽ファンにとって、ハイレゾは新たな体験を提供するサービスとなりますが、日本での有料のハイレゾ音源の販売は、期待を超えるものになっていないようです。

 

日本で有料ハイレゾが流行らない理由としては、若者は前述の通り、iPodiPhoneで、ダウンロードやストリーミングによりmp3を聞いている人が多いですが、音質が悪くても、特に気にせず、音楽を楽しんでいます。
CDの販売が落ち込む一方、ダウンロードやストリーミングの有料サービスは売上を伸ばしていますので、音楽自体を楽しむ人は減っていませんが、音質にこだわった聴き方は減少しています。

 

また、音質にこだわりを持ち、お金を掛ける中高年世代は、ハイレゾを聴くためのデジタル機器に疎く、デジタルに対する抵抗感もあり、販売が進んでおりません。
元々、アナログ(レコード)ではCDのように44.1kHz(CD)以上をカットしておらず、音質が良いので、満足している側面もあります。
また、ハイレゾを始めるためには、すでにAV機器やレコードを揃えているのに、さらに、デジタル機器とハイレゾ音源の再購入費用の再投資が必要で、ハイレゾに興味があっても、購買行動まで至らないのだと思われます。

 

また、ハイレゾには、ニセレゾと揶揄されている品質の悪い音源がある問題もあります。
厳密には、レコーディングからミキシング、マスタリングまで全てハイレゾで行わないと、本来のハイレゾレベルの音質にならない可能性があります。
実際には、2000年以前の非ハイレゾの原盤を、リマスターしたものをハイレゾとして販売しているものもあります。
それをハイレゾと呼んで良いのかと疑問を呈する人もいます。

ただ、個人的には、古い音源をリマスターしたものも、過去の遺産を現代の最新の技術で高音質化を図っているという点では、意義があるように思います。

当時は、良い機材がなく、ミュージシャンやエンジニアの妥協の中で作られた音源もあるかもしれませんので、過去の名作を新たに甦らせるという点では評価されるものだと思います。
ただ、リマスタリングは出来、不出来があるので、原曲やミュージシャンの意向に合わせたリマスタリングを行ってほしいものです。

 

また、このリマスタリングに関しては、非常に難しい問題もあります。
ビートルズのリマスターが流行った時期に、リマスターそのものに関する問題提起がありました。
ビートルズのリマスターは、マスタリングに留まらず、各トラックに分割し、音を調整し直して、リミックスしたと言われています。
リミックスやリマスタリングにより、アナログレコード並み、もしくはそれを超えた音質となり、ブレスや個々のコーラスの声なども聴き分けられるようになり、音の奥行きも表現され、全体の音のバランスも調整されています。
また、ビートルズのリマスターはエンジニアがかなり気を使っていて、ミュージシャンや原曲の意向にも配慮した素晴らしいリミックス及びマスタリングでした。

ただ、それが音楽として価値のあるものなのかは、個人の判断に分かれ、自分の子供の頃から知っているビートルズの音楽じゃないという意見もあります。
中高年世代の一部は、安いラジカセや、カーステレオのラジオで聞いたのが、ビートルズの原体験であり、音質が悪くても、その悪いことも含めて、ビートルズの曲に感動しました。
ビートルズの音楽は曇った音が混ざり合って、平面的なサウンドで、パワフルな点が魅力なのだという人もいるのでしょう。
音が良ければ、より音楽が楽しめるのかは、誰も答えが出せない課題になります。

また、ビートルズのリマスターは、エンジニアがミュージシャンや原曲の意向に配慮したリミックス及びマスタリングでしたが、通常のハイレゾリマスタリングは、ミュージシャンが関わっていないケースも多いので、その意向を汲んでいないリマスタリングは、ビートルズ以上に批判を受けると思われます。

 

ちなみに、私はビートルズのリマスター版を購入して、素晴らしい音質に感動した派です。
個人的には、亡くなった好きなミュージシャンも多いので、価格が安ければ、過去の名作をリマスタリングすることに賛成します。

 

――さて、今後、ハイレゾはどうなるのでしょうか?
ハイレゾソニーが名付けた用語なので、海外ではそのような基準がないですが、GAFAが高音質の音源の提供サービスを開始しています。

 

Amazon Musicでは、これまでダウンロードやストリーミングでmp3などの劣化した音源を提供していましたが、Amazon Music HDというCDと同レベルの音質の提供を始めました。
まだ、ハイレゾレベルの音質ではありませんが、その内、提供するようになるのではないかと考えています。

 

また、Apple Musicでは、ロスレスオーディオとハイレゾロスレスオーディオの提供を行っています。
ロスレスオーディオはCDと同レベルの音質で、ハイレゾロスレスオーディオはハイレゾレベルの音質になります。
Apple Musicの利用には月額の費用が掛かりますが、入会すれば、ロスレスオーディオとハイレゾロスレスオーディオは追加費用なしで利用できます。

 

日本企業にはイノベーションが必要と言われている昨今ですが、設立当時から変わらず、オンキヨーは新しいことにチャレンジしてきました。
先行者利益を得るはずなのに、後発のGAFA資本力やグローバルの販売網を活用して、先行者を淘汰しようとしています。
経営者の判断が悪かったと言ってしまえば、それまでですが、独立禁止法に抵触する可能性もありますが、オンキヨーソニー合弁会社を作って、日本のプレイヤーを一本化し、日本全体でグローバルに対抗することができなかったでしょうか。
ハードからソフトにシフトする中で、漫画やアニメといったソフトに強いと言われている日本が、ハイレゾの発信国になれなかったのかと、個人的に悔みます。

 

長くなりましたので、いったんここで区切りたいと思います。

次回はパイオニアギブソンについて語りたいと思います。

日本の給与はなぜ上がらないのか?⑦

お金

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これまで同じテーマで「都市・大企業」の給与が上がらないのかを検討した後、脇道にそれて「なぜ日本は生活が苦しいのか?」にテーマを変えて語ってしまっていましたが、今回は、本来の「地方・中小零細企業」にスポットを当てて考えたいと思います。

 

地方・中小零細企業」には多数の課題がありますが、給与を上げるためには、まずは企業規模の拡大が必要と思われます。
もちろん、規模の拡大のために、追加で人を雇ったり、新たな仕事を生むのは難しいため、企業合併が必要と考えています。
経済に素人の私が語っても説得力がないため、オックスフォード大学卒業後、ゴールドマン・サックスで「伝説のアナリスト」として名を馳せたデービッド・アトキンソンさんの記事を引用させていただきます。

 

toyokeizai.net

 

グローバル経済の潮流後、近年、社会や投資家の企業に対する要求が高くなっています。
海外進出、海外投資家、コーポ―レートガバナンス(内部統制)、CSRコンプライアンス、DX、セキュリティ、個人情報、SDGs、男女平等、ダイバーシティなど、企業は多面的な課題に対して責任を追わなくてはいけなくなり、良い製品を安価に生産するだけでは成り立たなくなっています。
また、グローバル化及びデジタル化による国境を超えたサービス展開により、日本国内の企業と競うだけではなく、グローバル企業とも争わなくてはならない状況となっています。

社会的な責任の重圧やグローバル競争の激化により、企業の取組むべきテーマが多岐に渡り、人材や物の不足している中小零細企業では対応しきれなくなっています。

 

また、以前にブログで説明した通り、日本企業は生産性が低いため、生産性向上やDXなどに取り組む必要がありますが、それには投資(お金)と人材が必要になります。

中小零細企業では例えばDXを取り組もうとしても、IT担当が1人しかいない企業もほとんどで(兼務で0.5人という企業もある)、リソースに余裕がなく、取組みが難しい状況があります。

生産性向上やDXなどが実現できないと、企業の収益が改善できず、給与アップにも対応できないと思われます。

 

また、同じことを言っている人が見つけられなかったのですが、企業規模を拡大することで、企業間の交渉力強化、及び新サービスの創出に対応できることが、中小零細企業に大きなメリットがあるように思われます。

企業間の交渉力強化、及び新サービスの創出に対応について、それぞれ下記に説明したいと思います。

 

■企業間の交渉力強化

全国展開している小売り vs 中小メーカー、サプライチェーンにおける下請けなどの
企業間の取引では、企業規模の大きい大手小売り・メーカーの交渉力が強く、中小メーカーや下請けは、主要取引先の言いなりにならざるを得ない状況があります。
近年、グローバル化及びデジタル化により顧客ニーズの変化が著しく、さらにはコロナ禍により実店舗の売上が下がり、大手小売り・メーカーは販売に苦戦を強いられていますが、少しでも利益を改善するために、仕入先に対してコストをカットを強く要求しています。
主要取引先の売上に依存している中小メーカーや下請けでは、取引を失うと会社の経営が大きく傾くため、薄利や赤字(将来の種まきや工場の稼働率維持などのため)であっても仕事を引き受けるしかない場合もあります。
また、グローバル化により大手小売り・メーカーは安価に製品や部品を生産できる海外のメーカーや下請けと手を組むこともできるため、国内の中小メーカーや下請けは、給与の安いアジアの工場と単価を競うことになり、給与を上げるどころか、下げることしか考えられない状況があります。

 

中小メーカーや下請けの企業規模拡大により、大手小売り・メーカーとの取引を、現在よりも有利に交渉できるように改善が必要と思われます。
中小メーカーや下請けが主要取引先1社に依存する状況だと、土下座営業のような交渉になってしまうため、企業合併により、その分野では市場を一定程度占有することにより、現在よりも立場を強くすることで、大手小売り・メーカーとの関係を改善することができます。
また、企業規模拡大により、並行して中小メーカーや下請けでもグローバル人材を育成し、海外販路を開拓することも必要になります。

 

■新サービスの創出

中小メーカーや下請けの活路として、新たなサービスを創出し、直接、顧客へサービスを提供する方法もあります。
メーカーではありませんが、動画配信サービスを提供するNetflixが、ビデオ・DVDのレンタルチェーン店「Blockbuster」を倒産させたことは、世界を驚かせました。
同様に、中小メーカーが、大手小売りが取り扱ってくれないイノベーティブな商品やサービスを、デジタルを活用し、直接、顧客へ提供する手段もあります。
下請けはこうした取り組みはできないと指摘されると思いますが、技術転用によりイノベーティブな商品やサービスを生み出す方法や、製造業(ものづくり)マッチングサービスにより新たな販路を探す方法もあると思われます。

製造業マッチングサービスのNOVELを紹介しておきます。

 

n-v-l.co

 

もちろん、新たなサービスの成功のためには、投資及び市場の一定程度の占有が必要になりますので、企業規模を拡大しないと実現が難しいと思われます。

 

マーケティングデータ収集

中小メーカーや下請けもデータドリブン経営に対応する必要があります。
中小メーカーは顧客の情報を直接取得することができず、個別のアンケートなどで市場調査を行っていますが、情報収集の規模が小さく、不確定の情報から新製品の検討を行わなければいけません。
中小メーカーの中には、技術力は高いものの、技術者目線で新製品を開発してしまい、
市場に受け入れられないケースもありますので、ビックデータによるマーケティング分析は取り組まなければいけない喫緊の課題だと思われます。
ECサイトやIoTにより顧客のデータを直接入手し、蓄積したビックデータを活用し、次なる商品やサービスを検討する際の材料に活用する必要があります。
少ないデータでは正しい分析ができませんので、企業規模を拡大し、ビックデータの収集・蓄積が必要となります。

 

■新技術の取組み

中小メーカーや下請けが革新的な技術で商品や部品を作っても、大手小売りが店舗で売ってくれず、大手メーカーが親技術を取り入れた機能を企画しないと部品を購入してもらえず、技術革新が進まない問題もあります。
日本の半導体の凋落は、半導体メーカーが大手電機メーカーの子会社で、先進的な商品を生産していない親会社への納品のため、新技術の創出よりも、コストカットを優先しました。

また、トヨタも同様に半導体メーカーに対して新技術よりも、旧技術で生産した半導体のコストカットを要求しました。

こうした主要取引先の要求により、世界と比較し、日本の半導体メーカーの技術革新が遅れたことが、日本の半導体の凋落の一因と思われます。

 

上記の通り、中小零細企業が様々な課題に対応するためにも、企業規模を拡大し、既存の大手小売り・メーカーとの取引だけではなく、マルチチャネルにより販売を拡大する必要があるように思われます。

それが結果的に生産性向上や収益拡大に実を結び、従業員の給与アップにもつながるように思われます。

 

ちなみに、前述の新サービスやマッチングサービスの需要や市場はまだ少ない状況ではありますが、将来的な投資として今から活用するのも手と考えております。

日本の給与はなぜ上がらないのか?⑥

お金

※写真はイメージです

 

申し訳ございません。
今回は謝罪から始めたいと思います(笑)。

前回、「なぜ日本は生活が苦しいのか?」にテーマが変わっているため、軌道修正すると言いましたが、またまた書くべき点が見つかってしまったので、同じテーマで語りたいと思います。

 

日本では、育児環境がひどく、子育て世代に対する支援がないと言われています。
2021年に内閣府が公開した「令和2年度 少子化社会に関する国際意識調査」では、6割の人が「日本は子どもを産み育てにくい国」と感じているそうです。
「子育て無理ゲー社会」という言葉もネットでは流行っているようです。

 

最近、このブログで口癖になっていますが、これって本当でしょうか?(笑)
エッセイストのハラユキさんが分かり易い漫画で説明していますので引用させていただきます。

 

toyokeizai.net

 

上記は2019年の記事ですが、日本ではそれからも子育て支援は拡充されています。
自民党も、野党も弱者支援を推進しており、同じ思想の元、政策を行っており、実はこれが与野党の差別化が分かりにくく、政権交代が起きない原因の1つでもあります。


ハラユキさんの記事で紹介されていなかった支援について、補足でいくつか挙げておきます。

 

■児童手当
児童手当は子供の人数や所得で変わりますが、ざっくり説明すると、月々下記の児童手当をもらうことができます。
子育てする上で、少額でも支援してもらえるのは非常に助かります。

 

 3歳未満:1万5000円/月
 3歳以上中学生:1万円/月
 ※所得制限限度額以上の場合、5,000円

 

■幼児教育・保育の無償化
幼稚園、認可保育所認定こども園等、3~5歳の全ての子供の利用料が無償になりました。
また、一時保育、ベビーシッター等の認可外保育施設等も、月額3万7,000円を上限に無償となります。

 

児童手当とは別に支給されますので、家計が非常に助かります。

 

■高校の実質無償化
公立高校の授業料は無償化されており、私立高校では授業料の一部が支援されています。
世帯の所得にもよりますが、私立高校は年収590万円であれば、年間39万円程度の就学支援金され、年収590~910万円であれば、年間11万円程度の就学支援金が支給がされます。

 

子供の学費を学資保険などで貯蓄する人もいますが、こうした支援があるのであれば、不要になるかもしれないですね。

 

■大学の給付型奨学金

〇第一種奨学金
学力や世帯年収などの条件を満たす必要がありますが、第一種奨学金の場合、利息なく、奨学金を借りることができます。
さらに、在学中に優れた業績を残した場合、返還を免除されることがあります。

 

〇第二種奨学金
第一種奨学金よりも基準は甘いですが、学力や世帯年収などの条件を満たすことで、低金利での奨学金を借りることができます。

 

また、医療・福祉系の資格を取得する学校では、指定施設で働くなどの一定条件を満たすことで、返還すべき修学資金の全額が免除されます。

また、地方創生などのため、地方で製造業・情報サービス業などに就職した場合に、奨学金の返済を支援してくれる制度があります。

会社の福利厚生の一環として、企業が奨学金の返済を援助する手当を出したり、奨学金を直接返済することがあります。


また、災害・病気や怪我・失職などで返済が困難になった場合は、返済を猶予することができます。

 

■子供の医療費
子供の医療費は全ての都道府県・市区町村で独自の助成が行われており、都道府県では「就学前まで」、市区町村では「15歳の年度末まで」の助成をしている自治体が多いようです。
また自己負担をゼロとしている自治体は、市区町村では6割超と多数派になっています。

 

■産後ケア施設
2021年から改正母子保健法が施行され、産後ケア事業に取り組むことが市区町村の努力義務とされました。
宿泊型の産後ケアは、助産院や専門の施設で行われることが多く、施設や自治体によって宿泊日数が異なりますが、一般的には長くて6泊7日程度の滞在となります。
日帰り型の産後ケアは、各自治体や運営会社が指定ホテルを活用し、サービスを提供することが多いようです。

 

また、市区町村では産後の育児支援ヘルパー派遣にも取り組んでおり、主に育児・家事支援を行っていることが多いようです。

 

■出産祝い
まだ行っている地方自治体は少ないですが、10万円などの出産祝いを支給している市区町村もあります。
また、会社から福利厚生の一環で子供が生まれたときに10000~50000円程度の出産祝い金を渡している会社もあるようです。

 

このように、日本ではこれほど制度が整っているのにもかかわらず、育児環境がひどく、子育て世代に対する支援が少ないと言われるのは、なぜでしょうか。
多くの意見が男性が家事・育児に参加する時間が少ないことを原因として挙げています。
ただ、一般に言われているように男性の労働時間が長いことだけが原因ではなく、前回のブログで書いた通り、女性の家事時間が長く、家事の品質が高すぎる点など、複合的な問題と思われます。

 

日本では、SNS映えする「丁寧な暮らし」が流行している側面もあります。
これは一例ではありますが、日本の古き時代の生活を賛美し、日常の生活を豊かにしたいと考える人が日本では一定程度存在します。

 

■丁寧な暮らし
日本食の伝統である一汁三菜を作る
曲げわっぱで映えるお弁当を作る
・土鍋でご飯を炊く
・パンやお菓子を手作りする
・コーヒーを豆から挽いて香りを楽しむ
・ぬか床を育てて、健康的で美味しいぬかずけを作る
プランター有機野菜やハーブを育てる
・四季折々の生花を飾る
・自家製ジャムやドリンクを作る

 

これは個々人の価値観で決めるべきことなので、「丁寧な暮らし」を選択する家族もいれば、「効率的な家事」を選択する家族もいて良いのですが、問題点は、夫と妻の価値観のずれにより夫婦喧嘩の火種となり、場合によっては離婚の一因となってしまうことでしょう。
ネットニュースでバズっていましたが、「刺身をパックのまま出したら、結婚した意味がないと夫に言われました」というのも、夫と妻の価値観のずれの分かり易い一例だと思われます。

matomame.jp

共働きや、専業主婦でも子育てに手間が掛かる時期などは、「効率的な家事」にシフトするべきですが、男性が「丁寧な暮らし」を求めることで、女性に育児環境がひどいと思わせているのだと推測します。
これは政治や制度で改善することはできず、当人同士が婚前に同棲や半同棲により、価値観を合わせて置くことと、結婚後も定期的な話し合いにより認識合わせを行うことでしか解決できないように思われます。

 

また、日本人の子育てで問題なのは、子供が普通なのか気にする点にあると思われます。
言葉を発するのが遅い、すぐに感情的になる、集中力がない、つまりは発達障害の可能性があるなど、
平均的な物差しに合っていないと、自分の子供に問題があるのではないかと不安になります。

――そもそも普通って何なのでしょうか?
人はそれぞれ個性があって、それぞれの長所を生かしつつ、短所を助けてもらい、社会に貢献しても良いのではないかとと思います。
もちろん、本当に重度な発達障害の場合もありますので、親は冷静に科学的に子供の様子を確認し、必要に応じて専門家の意見を聞くべきですが、必要以上に不安を抱く必要はないように思われます。

 

実は私も、学校では問題児で、先生の話を聞かず、級友の気持ちくみ取ることができず、自己中心的で感情的な子供でしたが、今はお堅い会社で、それなりの年収で仕事をしています。
今でも空気や人の感情を読むことは苦手なので、そういうことは周りに頼っています(笑)。
平均的な物差しは、参考にするべき指標ではありますが、不必要な不安を避けるために、いくつか事例を紹介させていただきます。

 

■偉人の事例
トーマス・エジソンは注意欠陥・多動性障害の疑いがあります。
小学校でなぜ「1+1」が「2」になるのか、先生を質問攻めにしたそうです。
物が燃えるのを不思議に思い、納屋を全焼させたこともあるようです。
担任の先生からは「君の頭は腐っている」と言わていたようです。
モーツァルトは常時手を動かしたり、せっかちに動き回ったり、咳き込むように話していたそうで、発達障害の可能性があったと言われています。
浪費家、ギャンブル好きで、いつも衝動を抑える事ができず、晩年は借金に苦しんだようです。
かんしゃくを起こしたり、下品な物言いでも有名で、大司教や興行主と大喧嘩して悪態をつき怒りをぶちまけていたそうです。
アインシュタインは広汎性発達障がい(PDD)の自閉症であったとされています。
3歳になっても言葉を話さず、9歳になっても自由にしゃべることができず、友達ができなかったようです。
語学や暗記なども全くできないが、数学だけは抜群の成績で、無試験で入れる大学に入学したそうです。

 

今では、GAFAやハリウッド俳優などでも、発達障害であったと言われている人は枚挙にいとまがありません。
発達障害の基準が変わり、多数の人が発達障害という診断を受けていますが、働き改革による教師の労働時間短縮と、各学校の教育の詳細ルール化がもたらした弊害に思われます。
日本は世界的に見ても、発達障害の患者が多い国と言われていますが、日本では国民皆保険で誰もがいつでも好きな病院に行けるため、患者として認定されるケースが多いと考えられます。

また、日本社会では高度に空気を読む必要があり、学校や職場でも少しでも発達障害の傾向のある人は、差別や無視をされて、受け入れない環境があるため、発達障害だと短絡的に診断されてしまうように思われます。
個性に寛容な社会にならないと、母親は過度に子供に普通の人になることを強いてしまうのではないでしょうか。

それが日本の母親に、一人ひとりの子供に付きっきりで育児を行うことを強いていることにもつながっているように思います。

 

最後に、シングルマザーの問題について補足しておきます。
日本では100万人程度のシングルマザーがいると言われており、苦しい生活を送っています。
これがサヨクの庶民は苦しい生活だから福祉を充実させるべきだという論拠の基になることが多いのですが、それは本当に福祉の問題なのでしょうか?

 

日本では元夫が養育費を支払わない問題があります。
養育費の取り決めを行わないことも多いのですが、8割の元夫が養育費を払っていないと言われています。
アメリカやイギリス、オーストラリアでは国(アメリカの場合、州政府が行うことも)が養育費を給与から天引きして強制的に徴収するほか、フランスやスウェーデンでは親が支払わない場合に、国が立て替える制度があります。

滞納した場合には、運転免許の停止やパスポートの発行を拒否するといった対応を取っているケースまであります。
日本が改善するべき点としては、まずは、離婚時に養育費の問題は重要なため、民事裁判を行わないまでも、個人間で取り決めする場合でも書面に起こし、署名捺印する文化を根付かせる必要があるように思われます。
これからも日本の離婚は増え続けると思われますので、離婚なんて考えたくないと、臭い物に蓋をして思考を停止するのではなく、リスクヘッジとして、不幸にも離婚してしまった場合のベストプラクティスの手順を明確にするべきように思われます。

 

■追伸
私は漢字の扱いとして「子供」と書く方針です。

www.j-cast.com

サヨクが指摘している「供」という文字が差別的だという意見は理解しがたく、文科省が2013年に公用文中の「子ども」の表記を「子供」に統一していますので、準拠して利用しています。

 

 

ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー⑥

戦車

※写真はイメージです

ブログ「sissy log」で興味深い記事が掲載されていましたので、紹介いたします。
多くの方に読んでもらいたいと思いましたので、引用させていただきます。

 

■sissy log

relaxing-jazz.hatenablog.com

 

ウクライナ戦争の責任はアメリカにある!――アメリカとフランスの研究者が

news.yahoo.co.jp

 

「ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー」も同じことを言いたくて書いていたのですが、アメリカ関与のエビデンスがはっきりせず、直接書けずにいました。
日本の「ロシア悪」の偏向報道には問題があると思いますので、このような記事が広がると良いと思われます。
民主・自由主義諸国は、ウクライナ朝鮮戦争ベトナム戦争などのように代理戦争に仕立てようとしていますが、代理戦争で悲惨な思いをするのは、ウクライナ国民になりますので、早めの停戦を願います。

 

――世界に平和が訪れることを祈ります。

日本の給与はなぜ上がらないのか?⑤

お金

※写真はイメージです

以前に、日本の給与はなぜ上がらないのかを検討する場合、「都市・大中企業」と「地方・中小零細企業」に分けて考える必要があると説明しました。

 

この都市と地方の問題で重要な点は、東京一極集中と考えられます。
「地方・中小零細企業」の個別のテーマを検討する前に、東京一極集中を検討したいと思います。

 

■東京一極集中

toyokeizai.net

東京都を中心とした1都3県(神奈川県・埼玉県・千葉県)の人口は、おおよそ2,500万人であり、日本全体の20%が東京近郊で生活しています。
東京の一極集中は、世界の都市を見回しても、特異な状況と言われています。
韓国のソウルも同じ状況と言われていますが、それでも都市と地方の偏りは日本以下と言われています。

 

もちろん、東京は便利で、何でも手に入り、また、たくさんの求人があります。
日本食だけではなく、世界中から食が集まり、アミューズメントやイベントなども、東京中心で催されているものが多いです。
東京ディズニーランドは住所は東京ではありませんが、1都3県にあります(笑)。

 

東京に仕事や友人があり、生活基盤ができてしまっていますので、地方に引っ越して新たな生活を開始することは難しいですが、東京で暮らしていて幸せでしょうか?
東京暮らしは下記の課題があります。

 

■東京暮らし
 ・人や車が多過ぎて移動や用事に時間が掛かる
  朝夕の通勤・通学ラッシュがひどく、ストレスが溜まる
 ・生活費が高いから、それなりの給与を得ても、生活が豊かにならない
 ・住宅が高く、家賃で生活費が高くなり、住宅ローンの支払いで首が回らない
  また、高価な住宅を得ても、マンションで土地が財産にならなかったり
  住宅が狭く、部屋数が少なかったり、駐車スペースや庭がないこともある
  マンション暮らしが多く、家で子供が走り回れず、楽器を演奏できない
 ・ちょっと遊ぶにもお金が掛かる
  近くに広い公園がなく、車や自転車で移動する必要がある

  公園や友人宅への訪問でも駐車料金が掛かる
 ・親戚や家族が地方で暮らしているため、一人暮らしが多く、孤独を感じる
  都会は結婚が遅いことも、一人暮らしを助長している
  コンビニ食やチェーン店で食事を取る人が多い
 ・ゴルフ場、釣り場、キャンプ場などが遠い

 

2019年の東京の平均年収620万円であり、全国平均500万円を120万円近くも上回っています。
東京暮らしは多くの求人もあり、それなりの収入を得ることができますが、生活実感として豊かさを感じることは少ないと思われます。
東京一極収集により住宅ローンの支払いに追われて、サラリーマン人生が終わり、豊かな生活を送れないのだと思われます。

 

余談ですが、アメリカのシリコンバレーも生活費が高いと言われています。
シリコンバレーの平均給与は約1,300万円だで、日本人はGAFAのようにイノベーションを起こして給与を上げるべきと言われています。
しかしながら、平均家賃は15~20万円で東京の二倍であり、平均給与をもらっていても家賃を払えずに、車で生活する人もいるようです。
シャワーや食事提供を行っているIT企業も多いため、寝るだけであれば、車で済ませる人もいるようです。
こうした状況から、会社と安い住宅地(片道1~2時間)の間で、専用のシャトルバスを運営しているIT企業もあるようです。

東京だけではなく、世界のどこでも一極集中は弊害を生んでいると思います。

 

新型コロナにより、リモートワークが加速し、出社する必要がなくなり、都内に住宅を持つステイタスが下がり、地方で自然に恵まれた豊かな生活を希望する人が増えているようです。
日本では給与が上がらず、豊かな生活ができないと言われていますが、それほど多くの収入がなくとも、幸せな生活が送れるようにすることも重要かと思います。
長期的な改善が必要になりますが、東京一極集中から脱却し、自然豊かな地方へのシフトが必要と思われます。


また、日本でそれなりの給与をもらっても、豊かな生活ができないのは、専業主婦が多く、世帯年収が低いことも要因の1つと考えられます。
フランスやデンマークなどでは共働きが多いと言われています。
最近は日本でもパワーカップルという言葉も生まれていますが、夫婦二人で働く世帯を増やして、世帯年収を向上させる必要があるようにも思われます。

 

■日本は専業主婦が多い

すももさんが個人ながら素晴らしい研究をしていますので、ブログを引用させて頂きます。

 

note.com

日本と海外の感覚のずれで驚くべき点としては、海外では専業主婦への評価が低く、OECDの統計ではニート扱いとされています。
また、日本では主婦として家事をすることも、働いて収入を得ることも、同様に重要な仕事だと考えますが、海外では明らかに家事を下に見ています。
社会の中に、共働きを選択せざるを得ない雰囲気があり、自尊心の維持のため、夫婦で社会に働きに出るのだと思われます。

 

また、日本で共働きが進まない問題として、男性社員の残業が多いため、家事への参加時間が少なく、「同一労働同一賃金」ではないから時短や派遣労働が評価されていないためだと言われています。

 

それもあるかもしれませんが、個人的には日本の家事が品質が高すぎるからだとも考えています。
ある程度、家事の品質を下げ、かつ、共働き世帯は世帯収入にも余裕がありますので、効率的な方法を上手く活用して、仕事と家事の両立を図った方が良いと考えます。

 

■日本の家事

 

〇食事

海外では、特に朝食は、パンにハムを挟んだシンプルなサンドイッチや牛乳をかけるだけのシリアルなど、簡単な食事で済ませることが多いです。
昼食は外食で済ませ、再び夕食にはパン、ハム、チーズ、カットフルーツといった簡単な食事が並んだり、美味しいレトルトや冷凍食品を活用したりもします。
火を使った料理する場合でも、ミールキット(カット済み食材にソースが掛かっている)を焼くだけだったり、かたまり肉を焼き、サラダを盛り付けるだけだったりします。
また、日本でも増えてきていますが、野菜などの生鮮食品も、具が切られた状態で売られています。

 

ダシをカツオ節や煮干しから取って、一汁三菜を調理する日本食とは大違いです。
キャラ弁なども、やりすぎ家事は止めて、もう少し効率良く家事を行った方が良いと思われます。

 

〇スチームオーブン
スチームオーブンで肉、野菜、冷凍食品を焼くだけで、ヘルシーかつ美味しい料理が出来上がります。
通常の電子レンジよりも時間が掛かりますので、早めにスイッチを入れて、お風呂掃除や皿洗いなど、別の家事を行いましょう。
日本の狭いキッチンでは置くことが難しかったり、それなりの初期費用が掛かる課題もありますが、レンチンでおいしい料理ができるので、料理が得意ではない人には特にお薦めです。

 

なお、海外では住宅に備え付けのオーブンがあることが多いですね。

 

〇食器洗い乾燥機(食洗機)
海外の住宅では、鍋まで洗うことが可能な備え付けの大型の食洗機が付いていることが
多いです。
日本の狭いキッチンでは置くことが難しかったり、それなりの初期費用が掛かったり、余洗いが面倒だったりで、使わない家庭がまだ多いです。
余洗いはそれほど必要ではなく、家事時間の短縮につながりますので、ぜひとも奮発して使ってほしいです。

 

ECサイト・ネットスーパー
Amazonを中心にECでの買い物は普及しましたが、ネットスーパーは活用している人は1割程度で、まだまだ活用が進んでいないようです。
ネットスーパーは送料は高いですが、隙間時間に買い物ができ、家事を効率化することができます。
まとめ買いにより、送料が無料になるケースもありますので、上手く活用しましょう。

 

〇出前・テイクアウト
いまだに日本では抵抗感が強いですが、忙しい日は、出前やテイクアウトを活用しましょう。
Uber Eatsなどの出前は送料だけではなく、メニューも割増しになっているケースがあり、総額がかなり高くなることがありますが、控えめのお値段のゴーストレストランやテイクアウトを上手く活用しましょう。

 

アメリカドラマ「スーツ」を観ていたら、道端の露店で食べ歩きをしたり、箱入りの中華テイクアウトを食べていました。
さもしい場面ではありますが、忙しい人は食事も時短で取っているという例なのでしょう。

 

〇ロボット掃除機
広い床面積の住宅に住んでいる方は、ロボット掃除機が有効になります。
便利さは言わずもがなですが、ロボット掃除機は奮発して上位機種を購入することをお薦めします。
以下の機能があった方が良いです。

 ・マッピング機能(複数の部屋が掃除できない)
 ・カメラセンサー
 ・コード絡まり防止機能(からまって良く止まる)
 ・自動ゴミ収集
 ・パワーブースト(カーペットやラグ)
 ・段差対応

 

なお、日本と世界のロボット掃除機の普及率は、それほど差はなく、世界平均よりもやや低い程度と言われています。
海外はハウスキーパー(実際には掃除がメイン)の活用が多いと思われます。

 

〇ベビーシッター・家事代行サービス
イギリスではメイド文化があったため、アメリカやイギリスなどではハウスキーパーやベビーシッターの利用者が多いです。
また、南アジアの上流中産階級では、住み込みの家政婦を雇うのが一般的です。

 

日本ではこのような伝統がないため、ベビーシッターや家事代行サービスを頼むことについて、後ろめたさがあり、まだ敷居が高い状況があります。
時間をお金で買うために、日本でも気軽にベビーシッターや家事代行サービスを活用した方が良いと思います。
家事代行サービスで水回りの清掃を頼むときには、コーティングしてもらうことで、きれいな状態を保つことができ、カビ予防にもなり、しばらく掃除も楽になります。

 

〇洗濯
海外では乾燥している地域が多く、服やタオルを毎日洗わなくても、それほど不衛生ではなく、あまり匂いもしないと言われています。
また、洗濯物を外干しする文化がない国もありますので、全自動洗濯機で洗濯・乾燥を行うことが多いようです。
外に干す手間が省けるので、海外では家事の時間短縮につながっています。

 

〇子供の食事
女性に訊くと、母乳の方が楽だという意見もありますが、外出中や母乳があまり出ない人もいますので、液体ミルクの活用を促進するべきです。
ちなみに、人肌ではなく、常温でミルクを飲ませても、医学的には何も問題がありません。

 

離乳食は市販のベビーフードを活用しましょう。
プロの栄養管理士がレシピを作成しているので、栄養価が高く、バランスもよく、鉄や亜鉛が上手に取れるように対応しています。
自分で作る方が、夫婦の食事のために魚料理をした手で、子供の食材を触るなど、危険な行為をしてしまう可能性があります。

 

前述のとおり、日本の正規雇用の平均年収は500万円ですが、当該年収の専業主婦世帯では生活が苦しいと言われています。
私が意見することではありませんが、2019年度から保育園の無償化も始まっていますので、苦しい生活を抜け出す方法として、初期投資(時短家電など)は必要になりますが、後で働いて回収する前提で、家事を効率化し、空いた時間を活用して働きに出て、共働きにより世帯年収を増やすのはいかがでしょうか?

 

言いそびれたことを補足しますが、日本では、男性の家事負担率が低いと言われていますが、家事の総時間が多すぎるのも、その一因ではないでしょうか。
効率的な家事を行うことで、女性の家事時間を減らし、継続して男性の家事時間は減らさず、負担率を改善する方法もあるように思われます。


また、男性が、難しい日本料理などが作れなかったり、不器用で皿洗いに時間が掛かる事情もありますので、スチームオーブンによるレンチンでの料理を取り入れ、食洗器を活用することで、家事の難易度を下げ、男性の家事への参加を促すこともできるでしょう。

 

ちなみに、時短家電を導入して、夫がスイッチを押すだけだと、妻からは「スイッチ1つで家事を手伝っていると思わないで」と怒られます(笑)。

感情的にはどうであれ、夫婦の時間が浮けば、結果オーライでしょう。

 

最後に、「日本の給与はなぜ上がらないのか?」というテーマから「なぜ日本は生活が苦しいのか?」にテーマが変わってしまい、申し訳ございません。

次回は軌道修正したいと考えております。

 

■追伸

それほど給与が高くない方が、民間の医療保険に加入することはお薦めしません。

高額医療費制度がありますので、平均年収の程度の方は、30万円の自己負担(100万円の医療で3割負担)をしたとしても、212,570円がキャッシュバックされます。
また、詳しくは解説しませんが、医療保険は経済合理性がありません。

 

www.b-minded.com

もちろん、高所得者が税金対策で医療保険に入ることは意味があります。
家計を圧迫しないためにも、無駄な保険には入らない方が良いと思われます。

 

なお、医療保険は先進医療が高額であることを宣伝の1つとしていますが、先進医療を受ける確率は0.02%(1万人に2人)になりますので、無駄金以外の何物でもないでしょう。

toyokeizai.net

 

 

日本の給与はなぜ上がらないのか?④

お金

※写真はイメージです


今回も、引き続き、「都市・大企業」の日本の給料はなぜ上がらないのかを語りたいと思いますが、第4回目になってしまいました。
……長いですね(+_+)。
「都市・大企業」については、今回で最後にしたいと思います(地方・中小零細企業にテーマを変更します)。

 

「都市・大企業」はどの企業でも多かれ少なかれ、大企業病に罹っていると思われます。
大企業病は企業の宿命であり、組織が大きくなり、何千人も、何万人も従業員が増えると、必ず発生するものと思われます。

日本の古き大企業ではイノベーションが起きず、既存ビジネスも先細り、大企業病に侵されて、ゆっくりと死に絶えになっていこうとしています。
多くの大企業が改革しなければいけないと焦り、何かヒントを得ようと、GAFAなどのシリコンバレーのIT企業の日本人ツアーに参加したりしています。

 

それでは、大企業病を治癒するために、シリコンバレーのIT企業のような働き方を取り入れば、大企業病が改善しますでしょうか?

 

シリコンバレーのIT企業のような働き方を取り入れば、日本の大企業病が治癒するのか?

www.recruit-ms.co.jp

Googleは新卒はあまり採用しておらず、ほとんどの社員は中途社員となります。
また、新卒でも博士号や修士号などを取得している人が中心で、優秀な人のみを採用しています。 
スキルが高く、自分のやりたいことと、会社の業務が合っている人材を集め、三食・遊技場を提供し、勤務時間すら自由にし、働きたいように働かせ、ただし、成果だけは出さないといけない仕組みにしてます。

 

GoogleではOKRで目標と作業状況がすべて公開されています。
他プロジェクトのOKRを読み込んで、成功するチームに参加し、成果を上げる必要があります。
それは制度しても、設けられていて20%ルールで自分のプロジェクト以外にも、参加したい他のプロジェクトがあれば参加することができます。
実際には、成果を出すために残業することもありますので、20%ルールを効果的に利用できないと言いますが、人事評価の対象でもあり、本業以外の成果を生み出すことを期待されています。
なお、Google実力主義のため、ボーナスにも差があり、成果に応じて年間84~780万円と幅広いものとなっています。

 

Google米国の元副社長であり、日本法人元社長であった村上憲郎さんは
帰宅しなくても生活できるようにして、寝食を忘れて働いているんだから、Googleってブラック企業だよね
とおっしゃっていたそうです。

 

また、Googleは莫大な広告収入があるので、それを投資に回すことができ、潤沢な予算の中で、上記の楽しんで働き、新たなイノベーションを生み出しているのでしょう。
企業として投資する原資が潤沢になければ、このような働き方を取り入れることは難しいと思われます。

 

上記のことから、日本の大企業が安易にシリコンバレーのIT企業の働き方を取り入れても、成功しないものと思われます。
シリコンバレーのIT企業の働き方を取り入れる場合、出島戦略や社内ベンチャーなどの工夫が必要だと思われます。
両利きの経営を取り入れて(後述)、既存ビジネスの収益の安定と業務効率化、柔軟な新規事業の創出が必要になります。

 

■正社員は守られている

 

日本は平均賃金が少ないものの、失業率は102/106位に抑えられており、安定した仕事に長く務めることができます。

 

ecodb.net

収益により企業が支払う人件費の枠は決まっており、社員単位の給与を増やすためには、二人分も、三人分も実績を上げる優秀な社員に給与をたくさん払って、他の成績の悪い社員はリストラするしかありません。
給与アップと安定した雇用は、相反するものになります。
日本では正社員は守られているため、弱肉強食と言えるまでの競争はなく、大きな成功による大きな報酬を得ることはありませんが、横並びで一定程度の生活を送れる給与をもらうことができます。

 

社会主義国の中国生まれのジャーナリストの周来友さんが面白い記事を書いていました。

日本は世界に誇るべき「社会主義国」です。

 

www.newsweekjapan.jp

法律上は正社員も事前通告及び退職金を支払えば、自由に解雇できるのですが、「判例」という曖昧なものにより、司法が正社員を守っています。
「労働契約法第16条」では
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする

となっており、合理的理由の説明が難しく、正社員は解雇できない状況にあります。
例えば、「営業成績が悪い」という理由だけだと「合理的な理由」にはならず、「本人に成績が目標以下であることを説明し、努力を促し、1年間程度、上司や先輩によるOJTや外部研修などにより支援し、それでも結果が出ない場合」といった説明が必要になります。
会社側が改善のために誠心誠意努力した事実が必要で、また、個人の恣意的な判断ではないことを証明する必要があります。

 

判例という曖昧なものでは、客観的かつ合理的な判断はできず、企業は司法を慮り、機動的な人材の新陳代謝を行うことができません。
正社員を派遣契約と同じレベルにし、簡単に解雇できるようにするべきではないとは思いますが、正社員の解雇基準の明確化を行い、より客観的かつ合理的に解雇を行うことができるようにするべきだと思います。
解雇後の再就職の問題は、企業の問題ではなく、国のセーフティネットや学び直しの制度が担うべきと思われます。

 

また、「都市・大企業」について最後に2つの論点を語っておきたいと思います。

 

■日本人は残業ばかりしているのか?

 

日本のサラリーマンは残業ばかりしていて、男性が家事や子育てに参加せず、長時間労働によって健康を害し、過労死や鬱病につながっていると言われています。

 

これって本当でしょうか?

世界・平均年間労働時間ランキングを見てみましょう。

 

top10.sakura.ne.jp

日本は平均値に近く、平均値との差は20時間しかなく、1日に換算すると3分17秒(1,200分÷365日)になります。
誤差の範囲になりますので、ほぼ平均と考えてよいでしょう。

日本のサヨクがこの統計に反論していて、非正規雇用、短時間労働のパートタイムワーカーも含んでいるため、男性単体の労働時間で比較するべきという意見もありますが、それでは本末転倒と思われます。
諸外国では男性であっても、「ワークシェアリング」「週休3日」「ジョブ型雇用」の制度が普及している国もありますので、それ以外の要因でも男性単体の労働時間に差が出ます。
単純に日本ではジェンダーギャップがあり、家族構成として、男性が正規社員、女性が「時短で働く」もしくは「専業主婦」のケースが多いだけです。

 

■日本人は有給休暇を消化していないのか?

海外では仕事が一段落したら長期のバカンスを取得するのが一般的で、日本人は有給休暇をぜんぜん消化することができないと言われています。
世界的に見ても、日本の有給休暇取得率は最下位とも言われています。

 

これって本当でしょうか?
世界の休暇日数を見てみましょう。

 

ascii.jp

平均値よりも2日程度低い状況がありますので、ゴールデンウィークやシルバーウィークの飛び石で休暇を取ったり、年末年始休暇に有給休暇をプラスしたりして、年に2日くらい休むようにした方がよいですね。
ただ、一般に言われているような長期のバカンスは不要にも思われます。

 

有給休暇取得率は最下位とも言われていますが、日本では祝日や夏休みといった制度があるので、有給休暇を消化する必要がないのです。

日本ではゴールデンウイークやシルバーウィークがあり、また、お盆休みもありますが、海外では夏休みという制度自体がないケースがあります。
海外ではバカンスを取らないと休む機会がないので、日本でゴールデンウイーク・シルバーウィーク・お盆休みで休んでいる分を、長期休暇としてまとめて休んでいるのだと思われます。


日本でも、年に追加で2日程度、有給休暇を消化するようにした方がよいですが、よく聞く、何週間もバカンスを取るべきだという意見には賛同しかねます。

 

今回を併せて、私のブログでは4回「都市・大企業」の給与が上がらない点について、批判を繰り返してしまいました。

国会で野党が叫ぶように批判は簡単ですし、建設的な意見ではないので、何も意味がありません。

 

それでは、「都市・大企業」は何を改善するべきか、最後に語りたいと思います。

 

■ピアボーナス制度

 

ピアボーナスとは「peer(仲間)」と「bonus(報酬)」を組み合わせた言葉で、従業員同士が感謝の気持ちを報酬としてプレゼントできる制度になります。
日々の業務の中で、従業員同士でそれぞれの仕事やヘルプを評価し、「報酬」を贈り合うことができるのが特徴で、前述のGoogleでも導入しています。
Uniposというツールもありますが、こちらのWebサイトではピアボーナスのメリットも分かり易く説明していますので、紹介しておきます。

 

unipos.me

運用方法にもよりますが、他部門が行った仕事やヘルプに限定し、一度に贈れる金額も上限を決め、上司承認の元、ピアボーナスを贈れるようにすることで、大企業病セクショナリズムが横行している企業では、組織の壁を壊すことの一助になるでしょう。
薬だけでは治らない病もありますが、大企業病をある程度改善する薬になると考えられます。

 

大企業では人事部は、管理職のレポートや取得資格でしか人材を評価することができません。
また、上司もイエスマンや仲の良い部下を評価し、部下のスキルを詳細まで分析できず、印象評価を行い、すべての業務を把握して冷静に能力を分析・評価できる上司はいません。
部下同士では縁の下の力持ちといった目立たない人も含め、仕事ができる人、できない人の評価を把握していますが、それは人事や上司の評価とは異なっていることがままあります。
現場で直接ボーナスを支払って、報酬で人材の評価を行うことで、公平な報酬に近付けることができると思われます。

 

■両利きの経営

グローバリゼーションや変化の激しい市場に対応するために、企業は新たなイノベーションを生み出す必要があります。
両利きの経営では、現在の主力事業も効率化を行い、より深化させつつ、積極的に新規事業にも投資を行い、新たなビジネスを生み出していきます。

 

www.hrm-service.net

新規ビジネスを「知の探索」と呼び、既存ビジネスを「知の深化」と呼んでいます。

 

「知の探索」とは、新規ビジネスを考案するために積極的にアイデアを探し、既存ビジネスで得た利益を積極的に投資し、将来儲かる可能性のあるビジネスを実験的に行っていきます。
企業は成功体験から抜け出せず、収益を生む既存事業にばかりに人材と投資を行います。
また、新規ビジネスはノウハウやリテラシーがないことから、失敗を恐れて尻込みして「知の探索」が疎かになります。
「知の探索」を会社の命題として位置付けることで、中期経営計画よりも、先にある将来のビジネスに投資することができます。

 

また、両利きの経営では「知の深化」も重要視しており、成功している既存ビジネスを効率化したり、既存の製品のモデルチェンジ等による収益向上を目指したりします。

 

社内ベンチャー or 出島組織

 

両利きの経営で重要な点は、既存ビジネスと同じ組織、同じ制度、同じ評価などでは、新規ビジネスが上手くいかないということです。
新規ビジネスは顧客のニーズ検証や開拓から始める必要があり、数年間、結果が出ないこともあります。


また、新規ビジネスの成功率として参考になる数値として、例えば、20年後のベンチャー起業の成功率は約0.3%と言われていますので、大企業の社内の新規事業であっても、同程度の可能性が高く、1,000のアイデアを試して、成功するのは3つ程度と考えられます。
短期的に個人や新規ビジネスを評価しても、すぐには結果が出ず、ビジネスが中止となり、参加している社員も評価されず、モチベーションが下がってしまいます。

 

また、大規模な組織を作ってしまうと、既存ビジネスと同じように判断が遅くなり、セクショナリズムが横行し、新規ビジネスの判断に時間が掛かるため、新規ビジネスは少数精鋭で組織を構成し、イノベーションに必要なスピード感に対応できるようにします。
既存の社内ルールや前例主義は、新規ビジネスの邪魔者以外の何物でもありません。
新しい環境やルールの中で、権限や予算も与えなければ、新規ビジネスは成功しません。
そのため、新規ビジネスの立ち上げのためには、企業内の社内ベンチャーや出島組織が必要になります。

 

さて、これまで4回に渡り、日本の「都市・大企業」の変革について語ってきました。経営者を擁護するような論調で語ってきましたが、もちろん経営者にも課題があるのは明らかです。

ピアボーナスや両利きの経営などの方法論も述べましたが、方法は何でも良く、要するに、変革を実現するためには、努力している現場を支援する仕組みが必要で、経営者がそれをフォローするべきと考えられます。
ピアボーナスは現場同士で支援させる方法であり、両利きの経営は小さい組織により、経営層にも現場を見える化し、スピーディな判断や必要な支援を行えるようにする方法です。
大企業になると、経営層が現場まで理解することは難しいかもしれませんが、それを改善しない限りは日本企業の変革の実現はできず、日本人の給与も上がらないと考えられます。

 

簡単そうに見えて、難しいことを語りましたが、「都市・大企業」については、以上としたいと思います。

 

次回からは、「地方・中小零細企業」を語りたいと思います。

 

日本の給与はなぜ上がらないのか?③

お金

※写真はイメージです

前回に引き続いて、日本の給料はなぜ上がらないのかについて、「都市・大企業」に焦点を当てて語りたいと思います。

 

日本の「都市・大企業」の問題として、新卒一括採用によるメンバーシップ型雇用により人材を採用し、研修やOJTで会社に染まり切った人材を作り出し、年功序列や終身雇用という旧来の制度により、会社に貢献できていないオジサンに高い給与と権限を与えています。
デジタル導入や改革に積極的な若い優秀な人が権限を与えられず、給与も低いため、モチベーションが上がりません。
また、正社員と契約社員派遣社員・アルバイトなどの間では、同じ仕事をしていても、待遇面で大きな格差があり、従業員に不平不満があったことから、政府は「働き方改革」のテーマの一つとして「同一労働同一賃金」を掲げています。

 

同一労働同一賃金」とは聞こえがよいですが、これは従来の「メンバーシップ型雇用」から、海外と同様に、業務に人を割り当てる「ジョブ型雇用」へ制度を変革することを目指しています。
デジタル化などの変革の中で高度人材が不足する一方、新たな仕事のやり方に切り替えができず、知識の吸収が難しい中間層が改革を阻害しており、日本企業が海外企業と競争していくために、企業の人材の新陳代謝を促す必要があります。

 

さて、大企業はメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変更すれば、日本の大企業は海外と肩を並べるまでに復活しますでしょうか?

 

■メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変更すればよいのか?

 

www.persol-group.co.jp

ジョブ型雇用とは企業と個人が仕事内容や役割をもとに雇用契約を結び、その仕事の難易度や責任の重さなどによって報酬が定められています。
会社の中の各組織の仕事内容や役割が一つひとつ定義されていて、ポスト(席)の数が決まっています。
ポストが空いた場合は社内で公募を行い、応募する人がいなかったら、社外から採用します。

 

自分の仕事の範囲が決まっていますので、基本的にそれ以外の仕事は行いません。
仕事には雑務やそれぞれの役割の間に落ちてしまうものもありますが、柔軟な対応は行いません。

また、ジョブ型雇用では仕事と報酬が決まっていますので、
「昇進」するためには、今より上のポストに移る必要があり、ポストが空くのを待つのか、誰かをポストから追い出すしかありません。

 

メンバーシップ型雇用では手取り足取り、仕事を教えますが、ジョブ型雇用ではその仕事ができるから、そのポストに座っているはずなので、人を育てることはありません。
より上の仕事にチャレンジするにも、事前に自分でスキルを身に付けておき、チャンスを待ち、やっとお鉢が回ってきたら、自分の力だけでその仕事の成果を上げる必要があります。
新たなポストに就いたときのプレッシャーは、これまで以上になるでしょう。

 

また、ジョブ型雇用が当たり前のアメリカでは、上司にとても気を使い、ゴマスリを行うと言われています。
仕事の結果を出せなければ、ポストから外して別の人材を充てる必要がありますので、いつでも上司は部下をクビにします。
実際にはアメリカでは意見が合わなかったり、会社の方針で組織変更を行う場合でも、部下をクビにします。
アメリカではジョブ型雇用の社会が長らく続いており、社外からも簡単に人を集めることができるので、今の社員を大切にしようと思う気持ちはありません。
アメリカの企業で成功するタイプの人は、「人の足を引っ張るのが上手い」「強いコネクションを持っている人」とも言われています。
アメリカでは「一緒に仕事をしたい同僚は、僕より能力の低い人だよというジョークもあるそうです。

 

また、日本でジョブ型雇用を取り入れた企業もそれに習っていますが、住宅手当・家族手当などの仕事の責任の重さに関係のない報酬はありません。
アメリカでは育休も、通勤交通費の支給もないそうです。

 

派遣社員は給与が低いように言われていますが、例えば、デジタルに関しては月単価150~300万の人たちもいます。
派遣社員の誰もが、給与が低いわけではありません。
派遣社員はジョブ型雇用になりますので、会社の制度としてジョブ型雇用を採用した場合、正社員の給与を下げることにはつながりますが、派遣社員の給与アップにはつながりません。
派遣社員の問題は、派遣会社の営業力のなさ(単価を下げてでも派遣するなど)、派遣会社がピンハネを行う点です。
また、派遣社員・アルバイトは事務処理など簡単な業務が多く、ジョブ自体の単価が低いため、会社としてより価値のないと判断し、もっと報酬を下げるかもしれません。

 

確かに、これまで日本ではメンバーシップ雇用を採用し、型にはめた社員を作り出してきましたので、組織が硬直し、成長ができなくなってしまった問題があります。
また、定期的に異動を行って、様々な部署を経験したジェネラリストばかりを育てました。
ジェネラリストは、柔軟な思考力やコミュニケーション能力があり、人をまとめる力がありますが、日本の大企業では、スペシャリストの育成を疎かにしていました。
各業務の専門性が高くなる中、各分野のスペシャリストが必要になってきていますが、スペシャリストの育成プランや評価制度を設けておらず、自己努力でスキルを身に付けても評価・報酬が見合わず、社外に人材が流出しています。

 

それでは、制度としてジョブ型雇用を取り入れて、高い報酬を払って、スペシャリストを集めれば良いでしょうか?

それである程度は改善するかもしれませんが、効果は限定的です。
例えば、デジタル人材の必要性が急務と言われてますが、デジタルだけに詳しければその会社を改革できますでしょうか。
デジタルを活用し、その企業を改革するためには、企業文化や現行業務を理解し、適合したシステムや新たな業務フローを再定義する必要があります。
デジタルは単なるツールであり、そのツールを使って何を成すかが重要です。
また、変革には必ず反対派も現れますので、社内に協力する仲間(コネ)も必要になり、デジタルの知識があるだけでは企業の変革は実現できません。
高いコンサルティング費用を払って、高尚なビジョンや新たな業務フローを作っても、絵に描いた餅になってしまい、結果、社内は何も変わらなかったというのは、DXあるあるでよく聞く話です。
会社を変えるためには実行力が必要ですが、それはプロパー(新卒から採用した社員)の生え抜き社員にしか、それは担えないと思います。
ジョブ型雇用で人材が流動的な会社でそれを実現できるのでしょうか?
部分最適は可能ですが、全体最適ができない問題が残ると思われます。

 

会社を変革しようとすると、魔法の杖のようなものを欲しがります。
ジョブ型雇用さえ、導入すれば会社がより良くなると勘違いしてしまいます。

 

本当に取り組むべきなのは、これまで多くの企業が取り組んできた成果主義を、より効果的な制度になるように改善するべきなのではないでしょうか?
平等かつ会社の変革を促す成果主義を生み出すことは困難ですが、その難問から逃げてはいけないのではないでしょうか?
また、スペシャリストを正しく評価し、報酬も中途採用の市場や派遣社員の契約金額に近付ける努力を行う必要があります。
現在の人事制度のすべてが悪いわけではないと思いますので、魔法の杖を探すのではなく、今の人事制度の課題に真っ正面からぶつかって、改善するべきではないでしょうか?

 

日本の給与が上がらない問題は根が深いですね。

引き続き、次回も同じテーマで語りたいと思います。

 

日本の給与はなぜ上がらないのか?②

お金

※写真はイメージです

前回に引き続いて「日本の給与はなぜ上がらないのか?」を考えていきたいと思います。

前回、「都市・大企業」「地方・中小零細企業」に分けて考える必要があることを説明しました。
今回は「都市・大企業」にスポットを当てて考えたいと思います。

 

■日本の「都市・大企業」の経営者が能力が低いのか?

 

経済学者やコメンテータの中には、日本の経営者の改革への対応の遅さや能力の低さなどを指摘する人がいます。

日本の「都市・大企業」は、サラリーマンから成り上がった経営者が多く、出世コースから外れないように失敗しなかった人が社長まで上り詰めるため、経営者になった後も事なかれ主義で、リスクを取った抜本的な改革ができないと言われています。

また、任期もあり、自らが代表取締役社長のポストに座っていられる年数も限られていることから、自分の担当中に問題を起こさず、次へバトンを渡すことを重視し、長期的な改革ができないと言われています。

 

私もサラリーマンなので、思い当たることが多々ありますので、総論としては大賛成しますが、各論としては誤っていると思われます。

 

日本の「都市・大企業」の経営者はそれなりに優秀であり、多くの経営者がDXや働き方改革などの必要性を感じ、経営理念として掲げ、会社を挙げて成長に取り組んでいます。
また、経営者が万能ではなくとも、大企業では優秀な部下も一定程度はいますので、ボトムアップでも改革を促進することができます。

また、実際の改革は、社長がトップダウンで決定すれば、会社が変わるわけではありません。
DXの失敗あるあるで、社長が「デジタルやAIを使って何かやれ」と指示し、形だけのPoCを行って失敗するケースがあります。
部長や課長といったミドルマネジメントがビジョンを打ち出し、優秀なリーダーや若手に企画の具体化を任せ、現場担当と協議し、業務プロセスやシステムを見直して、やっと改革が実現します。
社長が途中で変わろうが、実際には現場の社員が改革の成否を握っていますので、あまり関係ありません。

 

また、リスク面を気にして判断が遅いという指摘もありますが、改革にはお金も、人的リソースも投資する必要があり、失敗したら大損害を受けますので、経営者としては部下にリスクの説明を求め、時間を掛けてリスクと費用対効果を熟考しないと判断できません。

社長のポストは一時的なものだという制約もありますが、経営者に話を聞くと、足掛けだと思っている経営者は少なく、自社をより良く改革し、永遠に続く企業にしたいと願い、日々経営を行っています。

 

■日本の教育制度が悪いからカリスマ経営者が生まれない?

 

president.jp

上記のとおり、日本ではそれなりに優秀な経営者がいますが、世界トップのプロ経営者やカリスマ経営者と比べると見劣りするのは否めないでしょう。
日本の経営者は傾向として優等生タイプが多く、リスクを取った判断やドラスティックな改革ができません。
そもそも教育制度が悪く、スティーブ・ジョブズみたいなカリスマ経営者が生まれる土壌が、日本にはないと言われています。

 

一例に過ぎないので、スティーブ・ジョブズだけを取り上げても仕方ないですが、日本でスティーブ・ジョブズのようなカリスマ経営者が必要でしょうか。
スティーブ・ジョブズは下記のエピソードのとおり、異端児になります。

 

スティーブ・ジョブズのエピソード
 ・ヒッピー文化に心酔し、アタリ社や大学を長髪・裸足やサンダルで歩く
 ・風呂にあまり入らない
 ・菜食主義
 ・LSD愛用
 ・下らないプレゼン、反対意見を言う、週90時間働かない社員は、その場でクビ
 ・すい臓がんは手術せず、東洋医学代替医療で治療

 

スティーブ・ジョブズは本にも、映画にも取り上げられるような、世界的に有名な異端児になりますが、こんな人を教育で生み出せるでしょうか。
また、スティーブ・ジョブズは大学に半年間通いましたが、興味のない必修科目の勉強が嫌になって中退しています。 
教育でできることは限られており、ましてやカリスマを生む教育なんてありません。

 

■日本の「都市・大企業」の経営者は何も改革を行っていないのか?

 

「都市・大企業」の経営者は、歩みは遅いかもしれませんが、改革を行っています。

一例として「DX銘柄2021」「DX注目企業2021」を引用しておきましょう。
遅れていたと言われているDXも、少しずつ日本企業は取り組んで、結果を出しつつあります。

www.meti.go.jp

日本人には、日本人の長所があり、やると決まれば、真摯に改革に取り組みます。
リスクヘッジや改革への抵抗感などを解決する必要があり、実行までには時間はかかりますが、改革が始まれば少しずつ結果を出していくのが、日本人だと思います。
日本人には「がんばる」という努力の精神がありますので、その強みを生かして、会社を変えるべきではないでしょうか。

 

最近はシステム開発だけではなく、製品開発などでもアジャイル手法を活用するケースが増えています。
アジャイルで一番有名な開発手法はスクラムになりますが、スクラムトヨタウェイとトヨタ生産システムを参考に作られたフレームワークになります。
カイゼン(KAIZEN)という言葉も、海外で知られるようになりました。
日本にも、日本人が生み出した素晴らしい仕事のやり方がありますので、日本人らしく、がんばって良い仕事を行って、会社を変える方法もあると思われます。

 

今回は、根性論で終わってしまいました(笑)。

大企業には多面的な問題がありますので、引き続き「都市・大企業」の改革について検討していきたいと思います。

 

P.S.

アジャイルスクラム、PoCなどを詳しく解説せずにすみません(ググってください)。

 

日本の給与はなぜ上がらないのか?①

お金

※写真はイメージです

岸田総理は、国会の施政方針演説で「近年、賃上げ率の低下傾向が続いていますが、このトレンドを一気に反転させ、新しい資本主義の時代にふさわしい賃上げが実現することを期待します」と宣言しました。
安倍政権のときから継続になりますが、企業への賃上げ要請を行うようです。

 

総理大臣たちが賃上げを求める背景には、日本人の給料は、1997年から20年間変わっておらず、世界における日本の平均年収の順位は4位から22位にまで落ちたことが要因でしょう。
一方、アメリカの平均年収は2倍にもなっています。

 

president.jp

お金だけがすべてではありませんが、幸せに生きていくためには、豊かな生活を送れるだけの給料が必要になります。
誰でも自分の給与を増やしたいと考えているはずです。

 

それでは、日本の給料はどうすれば上がるのでしょうか?

 

昔の統計で恐縮ですが、2014年の統計では、全国382万企業のうち、99.7%が中小企業、85.1%が小規模企業となっています。
小売、宿泊・飲食、生活関連サービスなどは、個人経営の小規模企業の割合が高くなっています。
また、資本金一億円以下の中小企業の90%は、同族会社がほとんどで、家族経営が大半と言われています。

 

つまり、日本の企業のほとんどが中小零細・個人経営の企業と言えましょう。

 

また、全体の従業員数4,794万人に対して、大企業は1,433万人、中規模企業が2,234万人、小規模事業者は1,127万人です。
割合で示すと、大企業が29.9%、中小企業が70.1%になります。

 

これは都市と地方の傾向とも一致します。
日本の各地の就業者の割合は、東京都を代表とする主要都市の就業者は3割程度で、それ以外の7割が大都市以外で働いています。
大都市では大企業が多く、地方では中小零細・個人経営の企業が数多く存在している傾向があります。

 

最近、連合(日本労働組合総連合会)は、岸田総理の奨励の追い風も受けて、ベースアップをより声高に叫んでいます。
日本の労働者の代表のように大声で叫んでいますが、連合は労働組合を有する大企業の労働者の代弁者であって、3割程度の労働者の意見しか反映していないと考えられます。

 

また、3割の「都市・大企業」の改善も必要ですが、日本全体の平均給与を上げるためには、3割を改善しても全体への影響は小さく、7割を占める「地方・中小零細企業」を改善する必要があります。
また、3割の「都市・大企業」の社員はそれなりの暮らしができていますので、社会問題となっている生活困窮者を救うためには、7割の「地方・中小零細企業」の社員の賃上げが急務と思われます。

 

賃上げの議論になると、サヨクの人たちは大企業を仇のように批判し、搾取されている従業員の給与を上げるべきだと言います。
100年以上前に書かれたマルクス資本論」のようなことが、現代の日本でも起きていますでしょうか?

 

現代では、大企業は影響力の大きさから社会的責任を負わされており、また優秀な人材を集める必要があることから、給与や福利厚生が充実している傾向にあります。
ホワイト企業の一覧を見ても、大企業が多く、労働基準法などのコンプライアンスを遵守しなくてはならないことから、大企業の方が給与も高く、従業員に還元しているのではないでしょうか?

 

www.recme.jp

また、サヨクがよく指摘する点としては、大企業は内部留保を増加しているのに、社員の給与は増やしていないと言われています。
投資目的ではなく、利用予定のない内部留保を貯めているだけであれば、社員に還元するべきだという論調が見受けられます。

 

近年、交通・物流の改善、インターネットによって経済のグローバル化が進行しました。
グローバリゼーションの台頭の中で、日本企業も株主重視が必須となり、株主価値の最大化が強く求められるようになってきました。
また、日本企業の不祥事や想定外の下方修正により、株価が下がり、株主が損失を被るという問題も起こり、海外投資家や若い投資家の中には「もの言う株主」が増え、企業はより一層、コーポレートガバナンスに注力する必要が生じました。
いまだに海外投資家は、日本企業のコーポレートガバナンスに満足していないと言われており、グローバルな株式取引所の競争の中では、東証の地位が低下していると言われています。

 

上場企業は自己資本比率が40%以上であれば、平均以上に健全な財務体質であると言われています。
このような株主重視の中、株主にアピールするために、他の指標よりも安易に、利益を続ければ達成することができる自己資本比率40%以上を目標にしてしまうのではないでしょうか。
(それを目標にすることが、日本の経営者が有能ではないことを証明していると言う人もいるかもしれませんが……)

債務超過黒字倒産のリスクを避け、経営の安全性を株主や取引先に示すためにも、自己資本比率を高める必要があります。

 

大企業にも課題は数多くあり、より良い経営・社員への還元は必要ですが、何もかも大企業のせいにしても、賃上げの問題は解決しないものと思われます。
小零細企業はブラック企業も一定程度存在しますので、優先順位としてはまずはそちらを改善するべきと考えられます。

 

テレビでも、インターネットでも、「日本の給与はなぜ上がらないのか?」をテーマに数多くの意見が交わされています。
簡単には語りつくせませんので、次回以降も、このテーマで検討したいと思います。

 

最後に、カタカナで「サヨク」と表記していますが、漫画家小林よしのりさんが作った造語を利用させていただいています。
従来の「左翼」は社会主義共産主義といった政治的立場を示す用語として使っていましたが、最近は、イデオロギー的な議論を避け、「平和・国際協調・人権・民主主義・環境保護」といった口当たりのよいスローガンを掲げて活動する思想・立場の人たちが現れていますので、旧来の「左翼」と意味を分けるため、「サヨク」と表記しています。
非常に的を得た用語のため、利用させていただきました。

小林よしのりさんに感謝します。

 

ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー⑤

戦車

※写真はイメージです

日本のテレビでは、プーチン大統領は精神状態に異変が生じているとか、頭がおかしくなったのだと、冷静な分析ができておりません。
ここでは、プーチン大統領の言う通り、ウクライナにネオナチはいるのか? について、あらためて検討したいと思います。

 

念のため、私は親ロシアでも、プーチン擁護でも、ネトウヨでもありません。
こういった記事も参考しているという例として、先に古谷経衡さんの記事を引用しておきます。

 

news.yahoo.co.jp

 

プーチン大統領がネオナチとして指摘している組織で、最も有名なのはアゾフ連隊だと思われます。
他のグループについても、いくつか下記にまとめさせていただきます。

 

■アゾフ大隊

2013年、親ロシア派であったウクライナ大統領ヤヌーコヴィチが、EU欧州連合)加盟を見送ったことにより、デモが発生し、組織的な政治運動は革命として成就し、ヤヌコビッチとその政権を退陣させました。
ヤヌコビッチを支持するウクライナ南部の一部の人達は、この革命を認めず、ロシアとの緊密な関係を支持して抗議活動を始め、行政庁舎を占拠し、分離独立を目指しました。
クリミアではウクライナを離脱してロシア連邦への加盟を支持する様々なデモが行われ、ウクライナからの独立を宣言することにつながりました。
その間、民族主義派の民兵組織「アゾフ」は、分離主義者(親ロシア派)と争い、港湾都市マリウポリの庁舎を奪還しました。
2014年4月、アルセン・アバコフ内務大臣代理は、南東ウクライナでの親ロシア派騒乱を鎮圧するために、特別警察大隊を創設しましたが、その一つとして、兵組織「アゾフ」をアゾフ大隊として正式に任命しました。

 

アゾフ大隊は、「パトリオット・オブ・ウクライナ」と「ネオナチ・ソーシャル・ナショナル・アッセンブリー(SNA)」と呼ばれる過激主義グループから生まれたボランティアグループです。
アゾフ大隊には欧米出身者を中心とした白人至上主義を信奉する人が所属しており、ユダヤ人やその他の少数民族を「人間以下」とみなしているとも言われています。

また、ネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされています。
同部隊を含め、ウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされています。
なお、アゾフ大隊の名前は、最初に大規模な戦闘を行ったアゾフ海沿岸に由来しています。

 

ウクライナ政府高官のアルセン・アヴァコフ内務大臣とその副官アントン・ゲラシチェンコは、アゾフ大隊およびパトリオット・オブ・ウクライナの司令官であるアンドリー・ビレツキーの国会出馬を積極的に支援し、キエフのオボロンライオンの選挙区で当選させました。
大隊のメンバーのオレフ・ペトレンコも、同選挙でチェルカシの選挙区で勝利後、ペトロ・ポロシェンコブロックの議員にもなりました。
アゾフ幹部でパトリオット・オブ・ウクライナのメンバーでもあるヴァディム・トロヤンは、最近キエフ地域の警察署長に任命されました。
ウクライナではアゾフ大隊のメンバーが、政治家や政府組織に入り込んでいます。

 

アゾフ大隊は、音楽コンサートやSNSなどによって、ヘイトメッセージや陰謀論を振り撒き、テロを美化し、若者や白人極右を惹きつけて、義勇兵として参加するようにリクルート活動を行っています。
安全保障コンサルタントで元FBI捜査官のアリ・スーファンは、過去6年間に、50カ国から1万7,000人以上の外国人戦闘員がウクライナに渡ったと推定しています(極右との関係性は不明)。

 

また、アゾフ大隊は、欧米から参加した義勇兵の軍事訓練も行っています。
ウクライナの首都キエフで、一般市民向けの軍事訓練会も主催しています。
自動小銃を模した木型を用いて、基本的な銃の取り扱いから指導しています。
子供やティーンエイジャーがウクライナナショナリズムに関する講義と、戦闘訓練を受けるサマーキャンプも主催しています。

 

アゾフ大隊の資金援助としては、世界上位2,000人に入る億万長イーホル・コロモイスキーが有名です。
金属王で前ドネツク州知事のセルゲイ・タルタも、アゾフ大隊の資金と装備を援助したと言われています。
それ以外にも、アメリカでは、2015年、2人の下院議員が下院国防歳出法案の修正案を作成し、「ネオナチのウクライナ民兵、アゾフ大隊への武器、訓練、その他の支援」を制限することを提案しましたが、「ペンタゴンからの圧力」により修正案は削除されたそうです。
アメリカから提供した武器や資金は、直接ネオナチであるアゾフ大隊には提供していないと言われていますが、それならば修正案を削除する必要はなかったと思われます(状況証拠でしかありませんが……)。

また、ロシアのウクライナ侵攻後、ヨーロッパの極右民兵組織の指導者たちが、インターネット上で資金集めや戦闘員の勧誘、侵略者と対峙するための前線への渡航計画などの活動を活発化させていると言われています(エビデンスなし)。

 

また、以前からアゾフ大隊は世界中のテロとの関連性を疑われています。
2019年、米国の議員が、国務省に宛てた書簡の中で、「アゾフ大隊と米国内でのテロ行為の関連性は明らかだ」と指摘しています。
アゾフ大隊に協力しようとしていた米国のネオナチ集団「アトムワッフェン師団」のメンバー2人を、米国の議員は国外退去させたと言います。
アゾフ大隊と親しい組織としては、「Rise Above Movement」(RAM)という極右ギャングがおり、そのメンバーの一部はカリフォルニアの暴力事件でFBIに起訴されています。
RAMのリーダーであるロバート・ルンドは、ウクライナのアゾフ大隊からインスピレーションを得たと語っています。
2017年9月にロバート・ルンドは右派系ポッドキャストでこう語ったそうです。
「アゾフ大隊は自分たちのクラブを持っていて、彼らなりのファッションスタイルがある。彼らは本物の文化をもっている。アゾフ大隊こそが、私たちの未来の姿だ」

 

ウクライナの国家警備隊のアゾフ戦士は、イスラム教徒であるカディロフのチェチェン軍を標的にする際には、ラードで弾丸に油を塗ったそうです。
イスラム教では、豚肉は不浄なものとされいるため、ラードが塗られた弾丸で銃殺されたイスラム兵士は穢れた存在となり、天国へ行くことができなくなると言われています。

 

2019年に、ニュージーランドで、28才のオーストラリア国籍のブレントン・タラントが、モスクにいた51人を大虐殺するテロが発生しましたが、以前に、タラントはアゾフ大隊で訓練していた可能性を疑われています(関連性は論争中)。

 

■アンドリー・ビレツキー
2014年、新政権に就いたウクライナの指導者たちは、最初の公式任務として極右扇動者を含む23人の囚人に特赦を与えました。
その中に、殺人未遂の罪で2年間を刑務所で過ごしていたアンドリー・ビレツキーも含まれていました。
過去に、アンドレイ・ビレツキーは人種差別・反ユダヤ主義を表明していたと言われています。
釈放後、数日のうちに、ビレツキーは極右民兵の組成に乗り出し、アゾフ大隊を創設しました。


ビレツキーをはじめとするアゾフ大隊の指揮官たちは、東ウクライナの親ロシア派騒乱の鎮圧に参加し、戦場での勇敢な行動から、国民的英雄として称賛され、当時のウクライナペトロ・ポロシェンコ大統領から軍事勲章「勇気勲章」を授与され、内務省警察部隊の中佐に昇格しています。
また、前述のとおり、キエフのオボロンライオンの選挙区で当選し、ウクライナ議会議員となっています。

 

■セルヒイ・コロツキー
セルヒイ・コロツキーは極右のロシア民族統一党の党員であり、ロシアのネオナチ国家社会主義協会(NSS)の創立メンバーでもあったと言われています。
ウクライナの学者アントン・シェホフツォフによると、NSSの主な目的は「人種戦争に備えること」とのことです。
シェホフツォフによると、コロツキーは2007年にモスクワ中心部で起きた爆破事件に関与したとして起訴され、2013年にはベラルーシの首都ミンスクで反ファシスト活動家を刺殺したとして拘束されたが、証拠不十分で釈放されたそうです。
なお、 コロツキーはアゾフ大隊のメンバーでもあります。

 

親露派(分離主義者)がドネツク州の主要空港を占拠しようと攻撃した際、コロツキーを含む戦士たちが必死で防衛しようとしました。
後日、ウクライナの指導者はその防衛戦を称賛し、コロツキー含む戦士たちにメダルを授与しました。
ポロシェンコ大統領はコロツキーを「勇気ある無私の奉仕」として称賛し、ウクライナ国籍を与えました。

 

■C14
C14は、イェフヴェン・カラスがリーダーとして創設した極右・ネオナチグループで、ウクライナの首都キエフで、警察と協力してパトロールを行っています。
また、アゾフとともに退役軍人省が主催する審議会のメンバーでもあります。

C14は米国務省からテロ組織と指定されています。
C14の「14」は、アメリカのネオナチ、デヴィッド・レーンが作った14の言葉を指しており、オナチや白人至上主義者の有名な暗語になります。

 

We must secure the existence of our people and a future for white children.
日本語訳:我々は、我々の種族の存続と白人の子どもたちの未来を確かなものにしなくてはならない

 

C14は、ウクライナのインド系少数民族ロマーニ族のキャンプを破壊し、ロマ人排斥の暴行に関与したと言われています。

 

C14は青年スポーツ省から資金供与されて「愛国教育プロジェクト」を主催しており、
その中で子供たちの教育訓練キャンプを行っています。
プロジェクトを通じて、愛国心を芽生えさせ、新たなメンバーをリクルートすることで、組織を拡大しています。

 

■右派セクター
右派セクターは、極右団体トライデントのリーダーであったドミトリー・ヤロシが中心となって設立されました。
設立時のグループには、「パトリオット・オブ・ウクライナ」のホワイト・ハンマー、カルパチア・シッヒも含まれています(後にグループから脱退)。

右派セクターは、ウクライナの右翼から極右の準軍事組織であり、民族主義ネオナチ政党にも発展しています。
2013年、キエフで発生したユーロマイダンの反乱において、複数の過激な民族主義組織の準軍事連合体として発足し、機動隊との衝突に参加しました。
2014年、政党に発展し、およそ1万人のメンバーを擁していると主張しています。

 

デモの間、右派セクターは、政敵を「ジド(ユダ)」と呼び、ネオナチのシンボルの旗を掲げ、反ユダヤ的事件を起こしたそうです。
右派セクターは独立広場のデモ隊に「我が闘争アドルフ・ヒトラー)」と「シオンの長老の議定書(世界の不都合をユダヤ人のせいにする陰謀計画書)」の翻訳版も配布していたと言われています。

 

2014年のウクライナ議会選挙では、右派候補としてのヤロシが1人区で29.8%の得票を獲得し、議会の議席を獲得しました。
右派のスポークスマンであるボリスラフ・ベレザも無所属候補として29.4%の得票率で議席を獲得しました。

 

このブログをまとめるにあたり、同じことを言っているような人がいましたので、共有しておきます。

 

www.youtube.com

 

ウクライナ政府はネオナチと指摘を受けないように火消しを行い、欧米ではロシアのウクライナ侵攻以降、極右やネオナチの報道を控えるようになりました。
上記情報がどこまで真実なのか不明ではありますが、プーチン大統領の言う通り、ウクライナをネオナチ勢力が蝕んでいるのは、ある程度事実と思われます。

 

ゼレンスキー大統領は、ミンスク合意2でウクライナの分割に合意しましたが、手のひらを返して、ウクライナの統一を叫ぶようになりました。
私の所感では、これには政府内で勢力を伸ばしている右派が、ウクライナ分割に強硬に反対したのではないかと思われます。

 

民主・自由主義諸国は、極右には目をつむり、ウクライナ朝鮮戦争ベトナム戦争などのように代理戦争に仕立てようとしています。
近い将来、物量で勝るロシアが戦況を有利に進め、ウクライナはゲリラ戦にシフトするでしょう。
代理戦争で悲惨な思いをするのは、ウクライナ国民です。
この悲劇を回避するためには、フランスおよびドイツが検討に参加し、深夜まで疲れた身体に鞭を打って妥協点を探し、やっとこさ締結したミンスク合意に戻すしかないのではないでしょうか。

 

戦争アレルギーで客観的に思考できない日本では、こんな意見は、ウクライナ国民の愛国心を無視していると批判されると思いますが、この戦争の悲劇を少しでも小さくするために、誰も見ないかもしれないブログで伝えておきたいと思います。

ロシアのウクライナ侵攻と日本の戦争アレルギー④

戦車

※写真はイメージです

 

戦後、日本では軍事のことを話題に上げると、アレルギーのごとく過敏に反応し、考えることすらタブーとなっていました。
専守防衛しかできない日本では、戦争になった場合の戦術を考えることはできませんでした。
他国から侵略されたら、敵を押し戻し、増援部隊を送ってくる本国を攻めるのが正攻法ですが、日本は相手国に攻め込むことを禁止しており、地政学的な議論を行ってきませんでした。

 

戦争アレルギーの日本では、地政学的な議論を封印してきましたが、そんな日本にはロシアのウクライナ侵攻を理解するのは不可能と思われます。
アメリカの核の傘で安全を保障されている日本では、ロシアやウクライナの問題を考えることはできないでしょう。

 

ウクライナ地政学的な位置付けを振り返ってみましょう。

 

ユーラシア大陸全体から見ると、ヨーロッパは突き出した「半島」となっており、そのヨーロッパ半島の付け根が、東欧であり、ウクライナに当たります。
ヨーロッパ半島の付け根(東欧)が政治的に不安定になると、モンゴルの騎馬民族が内陸から攻め込んだように、ヨーロッパは脅威にさらされることになります。
また、敵国にヨーロッパ半島の付け根を占領されると、陸路ではどこにも出ていくことができなくなり、ヨーロッパの各国は狭い半島に閉じ込められることになります。
現代地政学の事実上の開祖のハルフォード・マッキンダーは、東欧を「ハートランド」と名付け、「東欧を制する者がハートランドを支配し、ハートランドを制する者が世界島を支配し、世界島を制する者が世界を支配する」と言っています。
ハートランドシルクロードの一部であった通り、陸上交通の要衝であり、世界を制するために、アレキサンダー大王も、ナポレオンも、ヒトラーも、ハートランド(東欧)を掌握しようとしました。

 

地政学上、東欧は最重要な地域のため、現在のウクライナが存在している地域は歴史上、繰り返し勢力争いが行われました。

 

9~12世紀にキエフ公国が誕生し、この地域に安定をもたらし、ウクライナ・ロシア文化の基礎となりましたが、13世紀になると、モンゴル帝国の侵攻によりキエフ公国が滅ぼされてしまいました。

その後、ポーランド・リトアニア共和国オーストリアハンガリー帝国、オスマン帝国ロシア・ツァーリ国など、様々な国によって支配されて分割されました。
17~18世紀にコサック・ヘーチマン国家が誕生しましたが、最終的にポーランドロシア帝国の間で分割されています。
ロシア革命後、ウクライナ民族自決運動が起こり、1917年、ウクライナ人民共和国が宣言されましたが、第二次世界大戦後、ウクライナウクライナソビエト社会主義共和国に合併され、国全体がソビエト連邦の一部となっています。
その後、ソビエト連邦の崩壊に伴って、やっと1991年にウクライナは独立を果たしています。

 

また、ウクライナでは、ウクライナ語が公用語となっていますが、いまだにロシア語も使われています。
東側はロシア語しか話せない住民もいて、首都キエフでも、仕事中はウクライナ語で話すが、自宅での会話はロシア語といった人もいます。
ウクライナ語には、ロシア語も、ポーランド語も混ざっていて、同じような単語がたくさんあります。

 

また、島国で同一人種の日本にはイメージしにくいですが、ウクライナ人(77.8%)、ロシア人(17.3%)、ベラルーシ人(0.6%)、モルドバ人、クリミア・タタール人ユダヤ人等の様々な人種が暮らしています。
また、ひとえにウクライナ人と言っても、コーカソイドイラン系スキタイ人サルマタイ人、東スラヴ系などと混血を重ねたことによって形成されたと考えられています。
ロシアも東スラブ系と言われており、2021年に「キエフ国際社会学研究所」がウクライナ国内で行った調査では、回答者の5人に2人が「ロシアに近い親類がいる」と答えたそうです。

 

以前にも書きましたが、こうした背景からウクライナとロシアは兄弟国と言えます。

 

歴史を振り返ると、様々な国家の支配を受けてきたウクライナ人はしばしば「歴史なき民」と形容されてきました。
時の為政者によって様々な文化の下に置かれることで、独自文化は薄れ、いくつかの文化の混ざり合ったモザイク国家として成り立ちました。

 

現在、ウクライナはロシアからの侵攻により、ナショナリズム一色に染まっていると、日本のニュースでは報道されています。
一般市民の女性も銃を取って、ロシアに立ち向かおうとしている映像が流れる等、愛国心を応援する報道が繰り返されています。
恐らくは民族や文化の背景からではなく、「やっと平和な国家を手に入れたのに、武力行使で平和を乱すロシアを許さない」といった気持ちでナショナリズムが台頭していると思われます。

 

まるで日本の報道は西側のプロパガンダのようで、ウクライナのすべての国民がナショナリズムに傾倒しているかのように報道していますが、個人的には疑問が残ります。

 

ウクライナには経済の問題があります。
1998年にロシアのデフォルトにより、ウクライナも経済危機に直面し、2008年に生じたリーマンショックにより、またもウクライナは経済の危機に陥りました。
欧米のIMF、もしくはロシアのどちらに支援を求めるのかで、ウクライナ国内は揺れていました。
残念ながら、経済的にはGDPで韓国よりも下で、第11位のロシアを頼るよりは、欧米の経済圏につく方がよいでしょう。

(申し訳ございません。本ブログではなるべく事実を書きたいと思っており、ウクライナは文化や民族的背景よりも、お金で国の方向性を決めたと書いてはいません)

 

日本では偏った報道がなされていますが、上記のとおり、ウクライナはモザイク国家であり、ドニエプル川を挟んで東ウクライナと西ウクライナでは文化や経済的背景などが異なると思われます。

他国の私が言うことではありませんが、ゼレンスキー大統領はウクライナの統一を理念としていますが、かなり難しいのではないかと考えております。

 

今回は上手く書けませんでしたが、西谷公明さんが分かり易くまとめてくださっていますので、紹介させて頂き、終わりたいと思います。

 

西谷公明さん(ウクライナ日本国大使館専門調査員)

n-relations.com

 

上記にリンクもありますが、いい記事ですね。

https://n-relations.com/pdfs/sekai_20220315.pdf