何でも言ってやろう

国や政治についてタブーなしに語っています。誰も見なくても、炎上しようとも。

拝啓 安倍晋三様

地球儀

※写真はイメージです

日本では著名人が亡くなると、生前に言われていた批判の声が弱まり、その人の功績に焦点を当てた報道が多くなります。
私は、このような日本の空気感が好きではないのですが、非常に残念なことに、安倍元総理が凶弾に倒れ、帰らぬ人となりました。
モリカケ問題、桜を見る会アベノミクスによる格差拡大など、問題も多い総理大臣ではありましたが、個人的には、総合的に見て安倍総理の功績を評価しております。

 

珍しく、べた褒めのブログ記事になりますが、哀悼の意の代わりに読んでいただければと思います。
改めて安倍晋三元総理のご冥福をお祈りいたします。

 

アベノミクス

以前の記事でアベノミクスの成果を語っていますので、こちらをご覧ください。

hiraoka-toru.hatenablog.com

 

消費税増税

消費税増税は生活者への負担や景気減退などの負の影響があるものの、社会保障の充実のためには、世界標準の消費税率に合わせていく必要があると思います。
8%への増税は、民主党の野田内閣で法律が成立しており、安倍総理は施行のみになりますが、3党合意の約束を守り、2014年に8%への増税を実行しました。
その後、何度か景気に配慮し延期もありましたが、2019年に10%の消費税増税も断行しました。

消費税増税により社会保障が充実しましたが、いくつか事例を挙げておきます。

 ■社会保障の充実

 ・3歳から5歳までの幼児教育・保育の無償化
 ・低い年金収入(年間78万円以下)の高齢者に、年間最大6万円を上乗せ給付
 ・介護離れが問題となる中、介護報酬を改定
  など

 

増税という国民の痛みを伴う政策は、大衆迎合に陥っている政治家の多くが実現できないものになりますが、社会保障を充実させるというビジョンのために、批判を覚悟で実行したことを評価します。
ちなみに、法人税増税して社会保障を充実させるべきだという野党の意見もありますが、法人税の税収は景気に左右され、安定しないため、社会保障は消費税という安定財源で実現するのが正しいと考えております。

 

外交

安倍総理は「地球儀俯瞰外交」を掲げ、国際社会と手を携えて、世界の平和と繁栄に貢献するために、積極的な外交を行いまいした。

 

アメリカのオバマ大統領と友情を育み、広島への招待を実現しました。
アメリカの落とした核爆弾によって多くの命を失った広島、日本が騙し打ちをしたと批判されている真珠湾、この2つの場所は、長年の両国のわだかまりとなっていました。
広島訪問は米国内にも慎重論があったにもかかわらず、同盟関係に献身的に尽す安倍総理の頼み事だったため、オバマも広島の地を踏むことに同意したのだと思われます。

 

安倍総理はインドのモディ首相とも良好な関係を築き、共同声明として「日印ビジョン2025」を発出しました。
それもあって、インド国内の高速鉄道に、日本の新幹線システムの採用が決まりました。

 

TPP

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)により、90%の関税をなくすことで諸外国との貿易を促進し、経済の活性化を目指しています。
また、サービス・投資の自由化を進めることで、アジア太平洋地域でヒト・モノ・資本・情報の交流を活性化し、各国が協力したビジネスを創出することができます。 

 

ちなみに、TPPにより農業が壊滅する等の意見もありましたが、農業は農業者戸別所得補償制度で支えれば良いものと思います。

 

民主党政権時代から参加を検討していたTPPについて、安倍政権が引き継ぎ、農林族などの反対派の抵抗があったものの、「聖域なき関税撤廃が前提ではない」と説得し、国内の調整を図りました。
当初、アメリカが主導していたTPPでしたが、2016年にアメリカ大統領がトランプに交代すると、政権発足から3日後にTPPを離脱することを決定しました。
主導権を握っていた国が離脱する中、安倍総理はTPP加盟11カ国の交渉をとりまとめて、新協定「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」の発効を実現しました。

 

日欧EPA

日本とEUの経済の連携を推進するために、安倍総理経済連携協定EPA)の締結を実現しました。
この日欧EPAにより、世界的な自由貿易につなげ、欧州との経済的な協力により、国際社会の平和にも寄与することを目指しています。

 

EPAでは、将来的に農林水産品と鉱工業製品の関税について、日本側が約94%、EU側が約99%の撤廃を目標に、現在、段階的な関税の撤廃を進めています。
国内でも関税撤廃により、欧州のワインなどを安く楽しめるようになりました。
日本から欧州への乗用車の輸出は、段階的に関税を撤廃する予定です。
また、農家にも配慮し、農林水産品では米は関税撤廃の対象外になっています。

 

一説には、日本のGDPを約5兆円、雇用を29万人創出すると言われています。

 

集団的自衛権

日米安保条約により、多く日本人が、戦争になったらアメリカが守ってくれるのだと思っていました。
恐らく、東西冷戦中、アメリカは仮想敵国としていたロシアとの戦争になった場合、地政学的に日本の国土を橋頭保としようとしていたと考えられます。
そのため、戦争になったらアメリカが守ってくれるという、まことしやかな噂が広まったのだと思います。

 

ちなみに、日米安保条約は対等な軍事同盟であり、アメリカが日本を守るために軍隊を出動させる場合、大統領の判断と上院・下院の議会の承認が必要になります。

 

東西冷戦の終結により、ロシアの脅威が去ったため、アメリカは日本を守る必要がなくなりました。
また、多数のアメリカ兵を犠牲にしても、アフガニスタンイラク対テロ戦争の脅威を解決できず、アメリカは世界の警察官を止めることにしました。

 

方針が変わったアメリカは、日米安保条約の条文に則った役割を、日本に求めたのではないかと言われています。
安倍総理は、これまでの自国を守るための個別的自衛権に限定した考えを広げ、他国を守るために戦う集団的自衛権も現行憲法下で認めるように、安全保障関連法制を制定しました。
これは、野党が戦争につながると批判していますが、上記経緯を考えると、必要だった改正だと考えています。
結果、アメリカと日本は対等な軍事同盟関係となり、安倍総理オバマ大統領とも、トランプ大統領とも強固な協力関係を築くことができました。

 

女性活躍

安倍総理は、女性活躍を推進し、国内外での連携を広げました。
「日本再興戦略」に女性の活躍を位置付けて、2015年、各府省の予算などに女性活躍の加速を盛り込むように「女性活躍加速のための重点方針2015」を初めて策定し、その後、「女性活躍推進法」を可決・成立しました。

 

下記のような成果を達成しました。
・2015年、国家公務員の女性採用割合を30%以上とする目標を達成
・約2年半で、女性の就業者数が90万人以上増加
・2年で、子育て期(25~44歳)の女性の就業率が3.1%上昇(2014年:70.8%)
・民間企業(100人以上)の管理職の女性比率が上昇
 2012年:6.9%⇒2014年:8.3%

 

こうした取り組みが評価され、UNWomenがジェンダー平等を推進する世界の政治的トップリーダー10人に安倍総理を選出しました。
UN Women(国連女性機関)は、ジェンダー平等と女性の活躍促進のための機関で、国連加盟国がジェンダー平等の達成をめざし、国際基準を策定する支援をしています。

 

最後に

 

安倍総理はそれ以外にも、憲法改正、ロシアとの平和条約、北朝鮮拉致被害者問題など、結果は出ていないものの、精力的に活動してきた取り組みもありました。

 

保守派のリーダーであった安倍総理は、憲法改正への意欲が高く、党内の議論を推進し、改正案を策定しました。
安倍総理憲法改正を実現の一歩手前まで進めましたが、党内で影響力を持っていた安倍元総理が凶弾に倒れたことにより、憲法改正はかなり遠のいてしまいました。
8年8カ月の歴代最長の任期であった安倍総理は、支持基盤の後押しにより、憲法改正を進めてきましたが、今後、これほどの支持を維持できる総理は現れないと思いますので、総理主導の憲法改正は難しいでしょう。
改憲勢力と言われている政党が協力し、超党派による憲法改正の可能性はあるとは思いますが、議論には時間が掛かるものと思われます。

 

この辺りで筆をおきたいと思いますが、「美しい国、日本」を目指して、改革に取り組んだ安倍元総理に尊敬の念をささげて終わりにしたいと思います。